タイヤチェーン規制と冬用タイヤ規制はどう違う? 雪道で安全に走るための最新ルールとは

タイヤチェーン規制と冬用タイヤ規制はどう違う? 雪道で安全に走るための最新ルールとは

 スキーなどで冬の山間部や高速道路へクルマで出かける際、よく耳にする「冬用タイヤ規制」と「タイヤチェーン規制」。名前は似ているが、その意味するところや走行ルールは大きく異なる。雪道ドライブを安全に楽しむために、両者の違いをわかりやすく解説していこう。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(iriya@Adobe Stock)

【画像ギャラリー】タイヤチェーン規制と冬用タイヤ規制はどう違う? 写真でチェック!(6枚)画像ギャラリー

冬用タイヤ規制とは? オールシーズンタイヤは走っていいの?

高速道路の電光掲示板に冬用タイヤ規制が表示されたらどうする?(写真AC)
高速道路の電光掲示板に冬用タイヤ規制が表示されたらどうする?(写真AC)

 冬用タイヤ規制とは、積雪や凍結が予想される区間において、路面の滑り止め対策が必要な場合に発令される交通規制である。

 具体的には、スタッドレスタイヤやスノータイヤなどの冬用タイヤ装着、あるいはノーマルタイヤでもタイヤチェーンなどの滑り止め装置を装着していなければその区間を走行できないという規制だ。

 規制対象となる区間では、標識や電光掲示板で案内され、必要な装備がないクルマは最寄りのインターチェンジなどで降りる必要が出てくる。冬用タイヤ規制は高速道路だけでなく一般道でも適用されることがある。

 この規制の目的は、雪や凍結路面でのスリップ事故を未然に防ぎ、安全な走行を確保することにある。装着義務がある装備を満たさない場合、そのまま走行を続けると違反となる可能性があるので注意したい。

 ちなみに「スノーフレークマーク」のあるオールシーズンタイヤであれば、高速道路の「冬用タイヤ規制」でも走行可能。ただし、凍結した道路の走行には適しておらず、そのような状況の道路を走行する場合はスタッドレスタイヤの装着が推奨される。

右がスノーフレークマーク、左は「M+S」という表記はオールテレーン(A/T)タイヤやSUV向けタイヤに多く打刻されており、アメリカの認証規格“Mud and Snow” の略。「ぬかるんだ泥」や「浅い雪」でも走れることを示す
右がスノーフレークマーク、左は「M+S」という表記はオールテレーン(A/T)タイヤやSUV向けタイヤに多く打刻されており、アメリカの認証規格“Mud and Snow” の略。「ぬかるんだ泥」や「浅い雪」でも走れることを示す

チェーン規制とは? スタッドレスタイヤを装着していても走行できない

タイヤチェーン規制はスタッドレスタイヤなど冬用タイヤを装着していても、チェーンを装着していなければその区間を通行できない(naka@Adobe Stock)
タイヤチェーン規制はスタッドレスタイヤなど冬用タイヤを装着していても、チェーンを装着していなければその区間を通行できない(naka@Adobe Stock)

 チェーン規制は、冬用タイヤ規制とは異なる別の規制であり、特に大雪など異例の積雪状況において発令される。国土交通省や警察庁が定めるチェーン規制は、従来の通行止めより柔軟に対応するための仕組みで、積雪による全面通行止めをする代わりに、タイヤチェーンを装着した車両だけが通行できるようにする制度である。

 条件によっては、スタッドレスタイヤなど冬用タイヤを装着していても、チェーンがなければその区間を通行できない。つまりスタッドレスタイヤのみではチェーン規制区間を突破することはできないのだ。

 この規制は、チェーンを装着することで立ち往生や事故を防ぎ、雪による道路の全面閉鎖時間を短縮することを目的としている。規制が発令された区間の手前では係官がタイヤチェーン装着の有無を目視でチェックすることもあるため、規制情報を事前に調べて準備することが重要である。

チェーン規制の実施区間、高速道路、一般道

NEXCO中日本管内のチェーン規制区間(出典:NEXCO中日本)
NEXCO中日本管内のチェーン規制区間(出典:NEXCO中日本)

 チェーン規制が実施される区間は、全国で特に雪や積雪による立ち往生が多発した区間が選定されており、高速道路だけでなく一般道でも設定されている。高速道路では、上信越道・中央道・北陸道・米子道など複数の区間でチェーン規制が設定されており、勾配がきつい峠など雪害のリスクが高い区間が対象となっている。

 一般道でも国道112号(月山道路)や138号(山中湖・須走)などでチェーン規制が行われることがある。これらの区間は過去に大規模な立ち往生や通行止めの例があり、装着場所や待機スペースがあることから選定されている。

 チェーン規制は、発令されるタイミングが大雪や異例の降雪時など限定的であり、通常の冬用タイヤ規制とは別に区間ごとに発令される。そのため、走行前に目的地周辺や通過区間の道路交通情報を必ず確認することが大切だ。

ノーマルタイヤで雪道を走行すると違反!

2018年1月22日、都心部で4年ぶりに20cmを超える大雪が降った。写真はスタッドレスタイヤを履かずに走ってスリップするクルマを警官が押している
2018年1月22日、都心部で4年ぶりに20cmを超える大雪が降った。写真はスタッドレスタイヤを履かずに走ってスリップするクルマを警官が押している

 ノーマルタイヤで雪道や凍結路を走行するのは大きなリスクであるだけでなく、都道府県ごとの道路交通法施行細則で禁止されている場合がある。

 積雪や凍結により路面が滑りやすい状態と判断された場合、タイヤチェーンや冬用タイヤ装着などの滑り止め措置を講じなければならないと定められている自治体もある。これは道路交通法71条の規定により安全な走行を確保するための措置であり、装備していない場合は交通違反となる可能性がある。

 実際、ノーマルタイヤで雪道を走ると、トラクション不足や制動距離の増大など事故のリスクが飛躍的に高まるため、冬季の雪道走行時には必ず冬用タイヤかチェーンを用意しておきたい。

 実際、ノーマルタイヤ装着で雪道を走行すると、反則金6000円(普通車の場合)が科せられるケースもある。これは高速道路や一般道を問わず適用される。

雪が降ったら首都高速では予防的通行止めが行われる

2024年2月5日~6日にかけて最大で8cmの積雪を記録した際、首都高速は予防的通行止めを実施した(出典:首都高速)
2024年2月5日~6日にかけて最大で8cmの積雪を記録した際、首都高速は予防的通行止めを実施した(出典:首都高速)

 首都高速道路では、雪が降ると「予防的通行止め」が実施される場合がある。これは、積雪や凍結によりクルマが路上で立ち往生したり交通の滞留が発生したりするリスクを避けるために、雪が本格化する前の早い段階で通行止めを行う措置である。

 予防的通行止めは、必ずしも全線が雪で覆われている必要がなく、降雪予報や気象条件を見て実施されることがある。通行止め情報は首都高ドライバーズサイトや公式SNS、道路情報板などで発信されるので、雪の日やその前後はこまめに確認することが大切だ。

 このような予防的な措置により、事故や立ち往生を未然に防ぎ、除雪作業の効率化を図るとともに、結果的にドライバーの安全確保につながっている。

 冬の雪道ドライブを安全にこなすには、単にスタッドレスタイヤを履くだけでなく、規制内容を正確に理解して適切な装備を選ぶことが重要だ。冬用タイヤ規制とチェーン規制を混同せず、通行予定の道路情報をチェックして、安心・安全なウインタードライブを楽しんでもらいたい。

PR:かんたん5分! 自動車保険を今すぐ見積もり ≫

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

2026年に登場するクルマたち!「レストモッド」の世界へようこそ『ベストカー1.26号発売!』

2026年に登場するクルマたち!「レストモッド」の世界へようこそ『ベストカー1.26号発売!』

ベストカー1.26号 価格650円 (税込み)  カレンダーも残りあとわずか。今号が202…