これまで多くの悪質な手口でクルマが盗まれてきた。それに対しイモビライザーなどの暗号化装置でエンジン始動をできなくするなど自動車会社も対策を練ってきた。
しかしイモビライザーも専用の端末を使えば、ものの数分で駐車場から持ち去ることが容易になるなどまさにいたちごっこ。
さらに今回紹介するリレーアタックは鍵に触れることなく、電子的に鍵をコピーしてしまう。つまり正規の鍵が増えるのと変わらず普通に乗って立ち去ることができるのだ。
2019年に明らかになったケースでは、自宅玄関の中に置いてあった鍵のデータを屋外からコピーされそうになったというもの。対策はあるのか?
文:国沢光宏/写真:ベストカー編集部
ベストカー2019年2月26日号
■ファミレスで食事中にクルマが消える可能性も
2019年1月頃からニュースになっていた東大阪のリレーアタック盗難未遂の概要が判明した。もはや驚くべきことになっているようだから、詳細を紹介しよう。
最大の驚きはスマートキーを玄関から直線距離で8m離れた場所に置いたのにリレーアタックされたこと。
これまでスマートキーから出る電波は微弱のため70㎝くらいしか届かないといわれていた。
けれど東大阪で使われたリレーアタック機器、1mほどある電線タイプのアンテナ使い、ガラス越しに8mの距離にあるスマートキーにアプローチしてます(上記動画参照)。
ファミリーレストランで待ち構えていたとしよう。狙った〝獲物〟が駐車場にクルマを止め、レストラン内に入った時点でリレーアタックの射程圏内に入る。
リレーアタックで使う送受信機、基本的にはトランシーバーと同じでパワーあれば遠くに届く。
装置のスイッチを入れ電波飛ばせば、瞬時に車両の近所でスタンバイした送受信機を持ってる輩が解錠ができ、車内へ入ればエンジンだって掛かってしまう。
そのまま乗っていって終了だ。
■対策を重ねても窃盗団はしつこく攻めてくる
2つ目の驚きは東大阪のクルマ、3回も盗まれそうになったということ。1回目は玄関にスマートキーを置いておいた。
盗まれる寸前、通りがかったオーナーの知り合いが声を掛け未遂に。この一件でスマートキーを玄関から離れた場所に置き、監視カメラ付け、機械式のハンドルロックも付けたそうな。
TVなどで公開されている映像は2回目の時のもの。ハンドルロックを外すのに手間取り未遂になったのだろう。ハンドルロック、外されていたというから技量持つ海外の窃盗団か?
また、同じ輩が3回も同じクルマを狙うということは考えにくい。おそらく別の窃盗グループだ。
さらに狙われたレクサスLSを偶然見かけた、なんてあり得ないです。被害者宅の前は細い一方通行だ。窃盗団の間にLSの所在リストが出回っているということ。
LSに限らずハイエースやランクルなど盗難被害の多い車種は御指名で狙われると覚悟したほうがいいかもしれません。
ちなみに警察庁のデータによれば2017年は1年で7600台盗まれている。うち約1000台がプリウス。
2代目のマイナーチェンジ以降のプリウスってすべてスマートキー。簡単に盗もうとするならリレーアタックだ。
つまりプリウスだけで1000台近くリレーアタックで盗まれていると考えていい。
そのほか、ランクルやアル・ヴェルの大半がスマートキー。これもリレーアタックだと考えてよい。
7600台の半分をスマートキーだとすれば3800台! 凄い台数です!
盗難の多い車種については転売ルートも確立していると思う。リレーアタックで使う〝道具〟だってたくさん出回っているだろうし、窃盗グループも東大阪だけで3つあるということ。
さらに今やスマートキーを短い時間で複製可能に。盗まれたクルマは無傷で海外などに転売できるワケ。恐ろしい時代です。
今や新車の3台に2台はスマートキー。スマートキーを金属缶やタバコの携帯灰皿の中に入れるなど防御策を!
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