ヒョンデアイオニック5の海外での炎上事故が報じられ、EVは燃えるのかどうかなのかが注目されている。しかし、基本的に問題となるのはEVの積む電池の特性なのだという。そこで、電池ごとの危険性の正しい認識について国沢光宏氏が分析した。
文/国沢光宏、写真/ベストカーWeb編集部、トヨタ、ホンダ、AdobeStock(トビラ写真:KK@AdobeStock)
■GMとヒョンデは3元系リチウムイオンバッテリーが原因だと発表
電気自動車についてポジティブな記事を書くと、必ず「燃えるクルマを紹介するな!」という声が上がる。電気自動車、果たして燃えるのだろうか?
結論から書くと「電池のタイプとメーカーによって燃えることもあります」となる。ちなみに私は燃える可能性のある電池&クルマをポジティブに紹介したことはない。以下、現時点でわかっていることを説明してみよう。
まず、デビュー直後から燃えまくったのが、A123システムズのリチウムイオン電池を採用した『フィスカー』というアメリカの電気自動車。普通に使っていて燃えたし、ハリケーンで水没したクルマも多数燃えた。原因は製造上の問題ということ。アウトランダーPHEVが生産途中、床に落として衝撃受けた電池を「3秒だからいいか」と使って発煙事故を起こしたのと同じようなもの。
テスラも燃える事案が少なくない。2023年1月28日にもアメリカのカリフォルニア州サクラメントのハイウェイを走行中のモデルSから発火し、全焼。グーグルでテスラの炎上事故を検索すると、アメリカだけでなく中国や韓国などでも少なからず発生している。
テスラによれば、「ガソリン車の炎上事故より割合的に少ない」。そりゃそうだ。20年以上経つようなガソリン車はゴムの劣化で燃える危険性大きくなります。
そのほか、GMのボルトやヒョンデのコナも何件か炎上事故を起こしている。まったく情報を出さないテスラと違い、GMもヒョンデも韓国LG製のリチウムイオン電池が原因と発表。リコールを出している。オランダで燃えたVWのID.3は原因を探ってみたらLG製のリチウムイオン電池だったことがわかった。一時期のLG製のリチウムイオン電池って品質に問題を抱えていたように思う。
ちなみにホンダはアメリカでLGと組んでリチウムイオン電池を生産する。ソニーホンダモビリティの電気自動車もホンダLGの電池を使うものの、ホンダがしっかり生産管理を行うだろうし、工場も韓国じゃなくてアメリカ。そういった意味では不安感を持たなくていいと思う。日本の自動車メーカーは韓国よりずっと安全や品質に対する要求レベルが高い。
私が高く評価しているアイオニック5だけれど、韓国で炎上事故を起こしている。状況を調べてみたら、運転席と助手席のいずれもシートベルトはしておらず、ノーブレーキの約96km/hで中央分離帯に衝突していると韓国の管轄警察から鑑定結果が出ている。居眠りかと。
電気自動車も燃料電池車も、乗員が死亡するような衝撃までは担保していない。意味ないですから。そういった点では最新世代のLG電池の自然発火は報告がない。
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