トヨタが幼児送迎バス置き去り防止システム発表 エラーは「仕組み+α」で防げ!!

トヨタが幼児送迎バス置き去り防止システム発表 エラーは「仕組み+α」で防げ!!

 2023年2月28日、トヨタが送迎用バスの置き去り防止を支援する装置を発表。販売店装着の純正品として、同年4月から発売予定とのことだ。このような商品が発売された経緯をくわしくみていこう。

文/ベストカーWeb編集部、写真/TOYOTA


■痛ましい「送迎バス置き去り事故」を防ぐための国の方針とは

 2021年、2022年と幼児が送迎バスに置き去りにされ、死亡する大変痛ましい事故が発生した。

 2022年12月には置き去りを防止するために、国土交通省から「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」が発表された。このガイドラインには、置き去り防止装置の設置などの対策が記載されている。

 ヒューマンエラーを補完する目的として、降車時に確認後に押すボタン方式と自動検知式が挙げられている。また、ガイドラインに適した安全装置製品のリストが公表された。

降車確認の音声が流れたのち、送迎職員やスタッフが車内を確認し、送迎バスの最後尾にある「降車確認ボタン」を押すことで、幼児等の置き去りを防ぐ。この装置が2023年4月にトヨタから発売される
降車確認の音声が流れたのち、送迎職員やスタッフが車内を確認し、送迎バスの最後尾にある「降車確認ボタン」を押すことで、幼児等の置き去りを防ぐ。この装置が2023年4月にトヨタから発売される

 そして、2023年1月27日は、内閣府より「こどものバス送迎・安全徹底プラン」の進捗状況が発表された。その発表資料によると、内閣府・⽂部科学省・厚⽣労働省の府省令等の改正を行い、乗降車時の安全装置の義務を徹底することになった。

 主に「乗降車の際による点呼等の方法により園児等の所在確認」、「送迎用バスへの安全装備の装備および当該装置を用いての降車時の所在確認(置き去り防止装置)」の義務付けが、2023年4月1日より施行される。

 置き去り防止装置に関しては、2023年4月から1年間の経過措置を設定し、各自治体によるが補助金の交付も行われることになった。

■「車内置き去り防止支援システム」とはどのような装置か

 前述の発表から約1カ月後の2月28日に、トヨタが送迎用バスの置き去り防止を支援する装置を発表。販売店装着の純正品として、「車内置き去り防止支援システム」をコースター(幼児専用車)、ハイエース(幼児バス)向けに4月から発売予定とのことだ。

 対象となる年式は、コースターが2004年7月以降、ハイエースは2004年8月以降となり、設置価格は、10万円前後を予定している。

 エンジン停止後、送迎職員やスタッフに車内の確認を促す音声案内と降車の確認未実施の場合(降車確認ボタンの押し忘れなど)や、幼児等が取り残された場合に、車外へ警報を発するシステムとなっている。

 降車確認の音声が流れたのち、送迎職員やスタッフが車内を確認し、送迎バスの最後尾にある「降車確認ボタン」を押すことで、幼児等の置き去りを防ぐ。

 また、音声案内から一定時間が経過しても、このボタンが押されない場合は、ホーン(クラクション)が鳴り、ハザードランプの点滅が行われ、車外へ警報を流す。

万が一、幼児が置き去りされた場合は、幼児が自ら「ここだよボタン」を押して車外へ警報する。それにより、ホーンが鳴り、ハザードランプが点滅する
万が一、幼児が置き去りされた場合は、幼児が自ら「ここだよボタン」を押して車外へ警報する。それにより、ホーンが鳴り、ハザードランプが点滅する

 そして、万が一、幼児が置き去りされた場合は、幼児が自ら警報ボタン(名称:ここだよボタン)を押して車外へ警報するという。集中ドアロックタイプのハイエースの場合は、「ここだよボタン」によってドアロックが解除される仕組みになっている。

 しかし、幼児自ら警報ボタンを押すというのは難しく思う。保育園、幼稚園等で、どのように使用するのか教えることになるだろう。

 このような装置は、ヒューマンエラーを補うものであって、これに頼り切ることは避けたい。さらに政府には、幼児たちを預かる保育士、幼稚園教諭などの職員への送迎の関する対策、賃金値上げや、労働環境の改善をぜひとも積極的に行ってほしい。未来を担う子どもたちがすくすくと成長するためにも。

【画像ギャラリー】トヨタ送迎バス置き去り防止の対象車であるコースターとハイエースをみる(6枚)画像ギャラリー

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