量産車メーカーとして長く存在し続けてきたスズキとダイハツ(スズキは1909年、ダイハツは1907年創業。ダイハツは量産車メーカーとして長い最も歴史を持つ会社だ)。
軽自動車としての雄としての両者の活躍はもちろんのこと、そのガチンコ勝負の舞台は東京モーターショー(TMS)、ケータリングカーのように特定の職域における使いやすさを追求した「特装車」の分野にまで及ぶ。
そこで今回は、東京モータショーのコンセプトカーと特装車たちからピックアップし、両社がしのぎを削って積み上げてきたその歴史を垣間見てみたい。
こうしてみると、両社がいかに使う人の生活を考え試行錯誤しているかがわかるし、その帰結として軽自動車という分野で今の地位を築き上げたのは必然だったんだなという思いも新たになる。
※本稿は2019年2月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年3月10日号
■東京モーターショー(TMS)で披露された個性的なショーモデルたち
各メーカーが2年ごとに威信をかけて製作するコンセプトモデル。そんな“作品”ともいえるショーモデルのなかから、ここではベストカーが選んだ個性派を両社5台ずつ紹介したい。
振り返ってみると、スズキは2011年から現在人気モデルとなっているコンパクトSUVモデルを立て続けに出展。対するダイハツは、クルマにプラスアルファの要素を持たせた、実用性に重きを置いた車両が多い傾向であることがわかる。
■TMSコンセプトカー・スズキ編
●スズキ レジーナ(2011年 東京モーターショー)
800ccの直噴ガソリンターボを搭載し、32km/Lという低燃費を実現。デザインと緑色のカラーリングも相まって、まるでカエルのようだった。
●スズキ エアトライサー(2015年 東京モーターショー)
どことなく提携していたフォルクスワーゲンのクルマに見えなくもないデザイン……。ラウンジでくつろぐようにリラックスできるシートレイアウトがウリだった。市販化を期待する声は多かったが叶わず。
●スズキ エックス・ランダー(2013年 東京モーターショー)
レンジローバーのイヴォークコンバーチブルが発売される前だったので、これを市販化していたら、間違いなく世に衝撃を与えただろう。ん~、惜しい。
●スズキ イー・サバイバー(2017年 東京モーターショー)
スズキはオープントップのSUVが好きなようだ。ジムニーの近未来版といったデザインのEVだが、電動化が進めば「こうなるんじゃない?」という現実味を感じさせる。
●スズキ マイティデッキ(2015年 東京モーターショー)
名前もデザインも「マイティボーイ」を確実に意識したであろう1台。デザイナーの遊び心を感じさせるが、正直市販化されても、4人乗りであっても実用性は微妙だっただろう……。
■コンセプトカー・ダイハツ編
●ダイハツ FC凸deck(FCデコデッキ/2013年 東京モーターショー)
最高出力が35kWの貴金属フリー液体燃料電池などの技術を搭載した軽トラック。デザインはキワモノ的だが、中身は最先端技術を使い大マジメだった。
●ダイハツ TEMPO(2015年 東京モーターショー)
人気だったミラ ウォークスルーバンを彷彿とさせる移動販売に特化したコンセプトモデル。LED照明の付いた大型ガルウィングドアやデジタルサイネージなど、近未来感と実用性を両立させていた。
●ダイハツ マッドマスターC(2007年 東京モーターショー)
マウンテンバイクのサポートを考えて作られたコンセプトモデル。3面大型ガルウィングドアなど、ユニークながらも実用性も高かった。
●ダイハツ DNプロカーゴ(2017年 東京モーターショー)
「ミゼット」の使い勝手のよさと高い拡張性を継承し、軽自動車が持つ便利さを徹底的に追求した商用EVモデル。デリバリーやパン屋さん、車いすがそのまま積めるのでウェルフェアビークルとしても活用できる。
●ダイハツ DNコンパーノ(2017年 東京モーターショー)
往年の名車「コンパーノ」を現代風にリメイクしたのだが、50歳前後のオジサンたちには大人気だったそうだ。電動化などとは無縁の、デザインだけで勝負した最近では珍しい存在のコンセプトカーだった。
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