トヨタが来年3月までに燃料電池車を発売!! 水素充塡時間はたった3分、実用航続距離700㎞(JC08モード)以上の利便性は大いに魅力的だ
■ハイブリッドなみに力を入れていくという
トヨタは当初2015年としていたFCV(燃料電池車)の発売を2014年度内に前倒しすることを発表した。しかもエクステリアデザインと700万円程度という販売価格、トヨタ店、トヨペット店で販売することも合わせて発表するという異例の姿勢は、トヨタがハイブリッドに続いてFCVもリードするという強い意志が見て取れる。
トヨタとしては’97年に発売したプリウスと同様の体制でFCV普及に向け、力を入れていくというから頼もしい。
細かなスペックは公表されていないが、航続距離はJC08モードで700㎞を確保、水素充填時間3分というからEVのように待たされることはない。さらに経済産業省が5月末に水素ガスの充填圧力を約700気圧から875気圧まで緩和するとしたことで、約20%多く水素をタンクに装填できるようになるといい、さらに航続距離は伸びるかもしれない。
この緩和によって国際基準に合致することになり、FCVが海外でも販売しやすくなるという。トヨタはアメリカとヨーロッパで来年夏頃の販売を予定している。
■ランニングコストはハイブリッドと変わらない
気になるランニングコストは1充填で4000~5000円(実走行500㎞で4000円なら8円/㎞)ほどと、50ℓで1000㎞走るハイブリッド(ガソリン1ℓ160円とすれば8円/㎞)と同じくらいになると予想されている。
価格に関してもトヨタは以前から500万円台でFCVを普及させたいとしており、まだ補助金の額は決まっていないが、仮に100万円強出るなら、500万円台で手に入ることになる。これは国産ならレクサスGS、輸入車ならメルセデスベンツEクラスやジャガーXFといった高級車と同等だ。
気になる走りのほうも、事前に行われた役員向けの試乗会では「加速もハンドリングも従来のクルマにないもので、とにかく新鮮だ」という声が相次いだというから楽しみだ。
とはいえ、現在稼働している水素ステーションはわずかに全国で17カ所、来年には100カ所、’25年には全国1000カ所に整備されるという青写真が描かれているが、不透明。クルマとして魅力的であればインフラ整備の要望も高まるはず。とにかく試乗してみたい!!
★自民党の「資源・エネルギー戦略調査会」の水素社会推進委員会がまとめた提言によれば、2025年には200万円台まで段階的に引き下げ、6年後の’20年に年間4万台、’30年には年間40万台の販売を目指すとしている。ちなみに平成24年度に販売されたEV&PHVの総台数は貨物を入れて3万台弱だから、目標はかなり大きい。
FCVに期待大! EVよりも面白そう
燃料電池車とEVは従兄弟とか親子関係にあるといわれるが、それは両車が駆動力をモーターで生み出しているからで、各社の燃料電池車はいずれもEV特有のトルクフルな動力性能が味わえた。その点は今回のFCVも同じ。でもFCVには大きな期待を寄せている。それはトヨタが目指したハンドリング性能とスタイリング、そして将来的に追加されるであろうボディバリエーションにある。
昨年秋に試乗したFCVのプロトタイプはそれまでトヨタの燃料電池車として披露されていた「FCHV-adv」(車両重量1880㎏)から大幅な軽量化が図られていた。関係者の声から推察するに1600㎏台前半だろう。
仮に1640㎏とすれば13%程度軽くなる計算だ。これだけ軽くなれば、「走る・曲がる・止まる」の基本性能は劇的に向上する。しかもFCVでは新型FCスタック(90kW→100kW以上)を搭載し、出力密度も従来比2倍の3kW/ℓと高い性能をもつ。プロトタイプは装着タイヤを選定している段階だったので若干アンダーステアが強い傾向にあったが、乗り味にこだわる近年のトヨタらしく、FF版「86」のような打てば響くような走りに仕上がっているはず!!
市販されている和製EVは使い勝手こそいいもののデザインにトキメキは感じられない。i-MiEVが健闘するもi3のぶっ飛んだカタチを見せられると平凡だ。その点FCVは流麗でクーペと融合したかのような専用ボディを持ちなかなか奇抜。5人乗りになるかどうかも気になる。
また、そう遠くない時期にステーションワゴンやミニバンボディにもチャレンジするという。昨年のTMSに出展された「アクア・エアー」みたいなオープンモデルにも期待したい!!
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