2023年の人気ジャンルといったら、SUVか軽スーパーハイトワゴンを思い浮かべる人が多いのではないだろうか? いっぽうの10年前の2013年では? すさまじく移り変わる自動車業界においてどう変動があったのか、解説していく。
文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、SUZUKI
※本文内に掲載されている販売順位等は、主に2022年までとなります。
■10年でスーパーハイトワゴン人気上昇!? 国内販売の上位は小型車と軽自動車が独占!
軽自動車の売れ筋も変わった。2013年の時点では、全高が1700mmを超えるスライドドアを備えたスーパーハイトワゴンは、3位のN-BOXと9位のタントだけだ。
残りのムーヴとワゴンRは、全高を1600~1700mmに設定したハイトワゴンで、ミラ&ミライース&ミラココアとアルト&アルトラパンは、さらに天井の低い立体駐車場の利用が可能なベーシックタイプになる。
これが2022年には、1位のN-BOX、6位のタント、7位のスペーシアはすべてスーパーハイトワゴンだ。
残りのムーヴとワゴンRは全高が1700mm以下のハイトワゴンだが、スライドドアを装着したムーヴキャンバスとワゴンRスマイルの人気が高い。さらに5位のルーミーも、小型車サイズのスーパーハイトワゴンだ。
そして2022年の販売上位に入ったヤリス/カローラ/ノートは、複数のボディを合計したシリーズ全体の台数になる。
ヤリスとヤリスクロスを分けるなど、ボディ単体に分散して販売台数を算出すると、国内販売の総合1位はN-BOXで、2位はルーミー、3位はタント、4位はスペーシアと続く。
つまり今の国内の販売上位は、すべて軽自動車と小型車のスーパーハイトワゴンで占められる。
この背景には、1990年代の中盤からファミリーカーとして急速に普及したミニバンの影響がある。
■平均所得と関係あり? スーパーハイトワゴンが人気な理由とは
今の35歳以下には、幼い頃から自宅のミニバンに親しんで育った人が多い。乗降性などの使い勝手が優れたスライドドアと背の高いボディに愛着があり、2列シート車にも同様の機能を求める。
また子育てを終えたミニバンからの乗り替え需要でも、スーパーハイトワゴンは人気が高く、販売の上位を独占している。
また今の新車には、衝突被害軽減ブレーキを中心とした安全装備、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなどの運転支援機能、各種の環境技術が投入されている。これらの先進機能は、新車を購入する大切な価値だが、価格も上昇した。
例えば2013年に販売されていた初代アクアGは187万円だが、2023年に用意される2代目の現行アクアGは223万円だ。消費増税もあり、アクアGの価格は10年前の1.2倍に高まった。
プリウスも2013年に売られていた1.8LのGは252万円だったが、現行型のGは2Lに拡大されて装備も充実するから320万円だ。比率に換算すると、プリウスGの価格は10年前の1.3倍に上昇した。
このようにクルマが値上げされる一方で、日本の平均所得は、2013年と比べてあまり高まっていない。ピークだった1990年代の後半に比べれば、下まわる状態が続く。
そうなると252万円だった3代目プリウスGから320万円の現行プリウスGに乗り替えるには困難も伴う。
そこで購入予算を増やさないために、軽自動車のN-BOX、コンパクトカーのルーミーといった実用的なスーパーハイトワゴン、あるいはヤリスシリーズなど小さなクルマに乗り替えるユーザーが増えた。
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