高性能でライダーに優しい、マルチパーパスモデル「XLディグリー」

高性能でライダーに優しい、マルチパーパスモデル「XLディグリー」

 セルフスターター付きの水冷DOHCエンジンを搭載し、高性能と扱いやすさを両立されたオフロードバイクであるホンダXLディグリー。このバイクはライバルであるヤマハ セローと共にオフロードバイクの間口を広げたと言える存在だ。

 
文/後藤秀之 Webikeプラス
 

オフロードバイクの可能性を広げたマルチパーパスモデル

 林道などの未舗装路をを走るために作られたオフロードバイクは、「ハード」で「マニアック」な乗り物だった。そのイメージを覆したのはヤマハ セローであり、扱いやすさや足つき性の良さで多くの女性ライダーに愛用された。もちろんその扱いやすさは本来のステージであるオフロードでも遺憾なく発揮され、ベテランのオフロード乗りたちの間でも長く愛された。このセローの人気に拍車をかけたのは、1989年のモデルチェンジで装備されたセルフスターターで、このモデルは当時「セルオ」などという呼び方もされていた。そんなセローの独壇場であったマルチパーパスオフローダーカテゴリーに、ホンダが投入したのがXLディグリーだ。

 

20240424_XLDIG

オフロードバイクらしいシンプルなデザインだが、タンク前方のラジエターシュラウドが水冷エンジンを主張している。

 


20240424_XLDIG

20240424_XLDIG

 XLディグリーの特徴と言えるのが、その「扱いやすさと高性能の両立」だ。セルフスーターの装備や足付き性の良さは女性ライダーはもちろん、ベテランからの支持も得るに至った。エンジンは最高出力25PSと4ストロークのオフロードバイクとしてはハイパフォーマンスと言えるもので、高速道路での走行にもライバル車よりも余裕があった。

 

20240424_XLDIG

オフロードバイクならではの軽快さを持つハンドリングは、街乗りなどでもそのキャラクターが生かされる。

 


20240424_XLDIG

20240424_XLDIG
 
 
 

自由度が高く、足付き性の良いポジション

 ほぼ直立となるオフロードバイクらい上半身のポジションは、自由度の高さからあらゆるシーンに合わせたライディングポジションを取れる。モデルは170cm/65kgの体格だが、フロント21インチ、リア18インチのホイールサイズながら、790mmという低シート高によって足つきは非常に良好。角が落とされた形状のシートや、よく動くサスペンションも足付き性を良くしている要因だ。

 

20240424_XLDIG

モデルは身長170cm、体重65kgの体型で、上半身はほぼ直立となるオフロードバイクらしいポジション。

 

20240424_XLDIG

両足はかかとまでべったり付き、膝にも余裕がある。取り回しの良さは、このバイクのアドバンテージと言えるだろう。

 

20240424_XLDIG

シート高は790mmとオフロードバイクとしては低めで、よく動くサスペンションと相まって足付き性は良好だ。

 

AX-1譲りの水冷DOHCエンジン

 1991年に登場したXLディグリーは、マルチパーパスバイクAX-1譲りの水冷DOHCエンジンを採用していた。排気量はセローよりも余裕のある250ccで、25ps/8,000rpm、2.5kg-m/6,500rpmという高性能を発揮し、セルフスターターも装備されていた。さらにこのエンジンのトピックとして、ワークスレーサーNS500譲りのNSメッキシリンダーが採用されたことであり、当時のホンダの本気度が感じられる。AX-1のエンジンをベースにしているとはいえ、バルブ周りの設定変更やCVキャブレターの採用などで、実用域でより扱いやすい特性を持たせている。

 

20240424_XLDIG

エンジンは水冷式のDOHC4バルブの単気筒で、25PSの最高出力と2.5kg-mの最大トルクを発生する。

 

20240424_XLDIG

セルスターターを装備したことで、オフロードだけではなく街乗り用としても活躍した。

 

20240424_XLDIG

水冷エンジンの証明とも言えるラジエターは、シュラウド内に装着される。

 

乗り手に優しく、走行性能の高い車体

 シート高は79mmとオフロードバイクとしては良好な足つき性を確保、燃料タンクは9.3Lとロングツーリングもこなせる航続距離を確保した。ホイールサイズはフロント21、リア18インチの本格オフロード仕様であり、車重も129kgと装備を考えれば充分に軽量に仕上げられていたと言えるだろう。フレームは丸鋼管と鋼板を組み合わせたセミダブルクレードル形式で、スキッドパイプとしての機能を持たせたボルトオンタイプのアンダーフレームが組み合わされる。ブレーキはフロントに240mm径のディスクブレーキ、リアには100mm径のドラム式を採用。1995年にはマイナーチェンジが行なわれ、リアブレーキのディスク化を中心とした装備の充実が図られている。

 

20240424_XLDIG

フロントホイールは21インチで、シングルディスクブレーキを装備する

 

20240424_XLDIG

リアホイールは18インチで、サスペンションはプロリンク式だ。

 

20240424_XLDIG

リアブレーキは前期型ではドラムブレーキだったが、後期型ではディスクブレーキを採用した。

 

オフロードバイクの可能性を広げたマルチパーパスモデル

 オフロードバイクではあるが、足付き性の向上やセルスターターの採用などで実用性を高めたXLディグリーは、オフロードから市街地まで走りを楽しめるマルチパーパスバイクとして愛された。後継モデルとして登場したXl230も生産中止となった今、1台のバイクに幅広い用途を求めるユーザーに乗って欲しい1台だ。

20240424_XLDIG

樹脂製のライトカウルに、小型のヘッドライトを装備したシンプルなフェイス。

 

20240424_XLDIG

シンプルな角形のスピードメーターと、インジケーターランプが並ぶコクピット。

 

20240424_XLDIG

小ぶりな燃料タンクの容量は9.3Lと、250ccのオフロードモデルとしては充分なもの。

 

20240424_XLDIG

シートはオフロードバイクらしい形状だが、角が落とされているため足付き性は良好だ。

 

20240424_XLDIG

樹脂製のリアフェンダーにテールライトユニットが取り付けられ、スマートなデザインのリアセクション。

 

20240424_XLDIG

オフロードバイクらしいアップタイプのマフラーを装備する。

 

XLディグリー(1991)主要諸元

・全長×全幅×全高:2,100×815×1,155mm

・ホイールベース:1,360mm

・シート高:790mm

・車重:129kg

・エンジン:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 249cc

・最高出力:25PS/8,000rpm

・最大トルク:2.5kg-m/6,500rpm

・燃料タンク容量:9.3L

・変速機:6段リターン

・ブレーキ:F=ディスク、R=ドラム

・タイヤ:F=2.75-21 45P、R=4.60-18 63P
・価格:37万9,000円(1991年)

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/371736/

高性能でライダーに優しい、マルチパーパスモデル「XLディグリー」【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=371736

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

 ベストカーWebをご覧の皆さま、ちわっす! 愛車がどれだけ部品を交換してもグズり続けて悲しみの編集…