西鉄グループのスピナが、同社創業70周年を記念した新商品『くろがね堅パン「鐵(くろがね)」』を開発開始した。北九州のソウルフードである堅パンとはいったい何なのか? 素人には危険な食べ物をみてみよう。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■素人さんには危険な美味しい堅パン
くろがね堅パンは、大正末期に官営八幡製鐵所(現在の日本製鉄株式会社九州製鉄所八幡地区)で働いていた従業員の栄養補給を目的に開発された商品だ。
創業以来、堅さや甘さにこだわり続け、100年の歴史を持つ北九州の「ふるさとの味」として愛されている。本品は人口減少により活気を失ってきた北九州市にもう一度活気や賑わいが戻ることを祈念して開発された。
今回発売する「鐵(くろがね)」は、“健康はアゴから”という通常商品と変わらないキャッチーなコンセプトのもと、堅さ(頑固さ)も味もそのままに、鐵を連想させるブラックで仕上げた。
子供のアゴの発育や歯固めに、登山・ハイキングのお供に、災害時の非常食・保存食に、北九州の手堅いお土産にぴったりの、くろがね堅パン「鐵(くろがね)」だ。
しかし、素人には危険すぎるとは何とも大げさな!とお思いの方もいるかもしれないが、これは冗談ではなく本当の話だ。同社は「なお、たいへん堅い商品ですので、お召し上がりの際は十分ご注意ください」と公式に注意喚起している。
北九州市民は子供のころから堅パンを食べているので、食べ方は経験で熟知している。子供のころに乳歯を堅パンに持っていかれた経験がある方もいるのではないだろうか。
基本的には大人であっても最初は奥歯で適当な大きさに割り、口の中に残ったかけらを唾液を含めてこん身のあごの力でかみ切りながらボリボリと食べ進めていくのがオーソドックスな食べ方だ。
素人さんが初めて食べるときには、牛乳やコーヒーや紅茶に浸し、ふやかして食べることをおススメするが、本当の美味しさは、そのまま割り食べないとわからない。
ちなみに手で割ろうとしても、それは無駄な努力だ。どうしても奥歯で割りたくない場合は、金属製のハンマーかペンチや万力等の道具を利用して割る手もあるが、それではあまりにも大げさすぎるので、自分の歯とあごの力を信じて割るしかない。