1971年に配備され、今も現役で使われている日産FS780型消防ポンプ車
「おお、ボンネット型の消防車とは懐かしい!」。
上の写真を見て、そう思われた方は50代以上でしょうか? しかも、車庫の建物も相当古そうだ。これは〝昭和〟をテーマにした博物館の消防車か? というと、そうではない。火事が起こった際には今でも現場に駆けつける現役の消防車だというではないですか!
この消防車が配備されているのは、青森県黒石市の中町にある第三消防部屯所。
黒石市中町は伝統的建造物やアーケードが藩政時代からほぼそのままの形で残っている全国的にも類例がないといわれる街。日差しや吹雪から人を守るアーケードがあるこみせ通りは日本の道百選にも選ばれている。
そんな風情のある町並みのなかに立地した屯所の車庫に収まるこの消防車は〝日産FS780型消防ポンプ車〟。なんと、1971年から使用され、現在まで40年以上もの間、黒石市の風景を見守り続けてきた現役では最古参の消防車になるという。
なお、消防車や警察車両に詳しい大塚正諭氏によると
「現在、現役のFS型消防車はFS680型はなく、そのモデルチェンジ版のFS780型がこの黒石市のほか、新潟県の加茂市田上町消防衛生組合にも1台あります。’70年代の消防車が今、現役で使用されているのはとても珍しいし、当時の消防車はいすゞ製が圧倒的に多くて、ボンネット型はすでに少なかったはずです」とのこと。
ボンネット型消防車の生き残りとしても、とても貴重な存在といえる。
そして、このFS780型消防ポンプ車は年に10回くらい出動しているという。
「消防車は、消防訓練礼式や火災予防運動などでも使われ、今でも快調に走ります。ちなみに運転は普通免許でもできますが、常時運転しているのは4人の団員です」
と話してくれたのは、第三消防部団員の村上さん。
キャビンにドアがないため、雨風のなかでも吹きさらしで走ることになるFS780型消防ポンプ車だが、団員たちは地元の寄付で買った大切なこのクルマで黒石の安全を守ることに誇りを持っているとのこと。
黒石まち歩きツアー開催!
木造のアーケード「こみせ」や商家が今も残り昔ながらの風情を感じさせる町・黒石。
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