すっかり当たり前になったセルフ式ガソリンスタンド。愛車にガソリンを入れ終わってふと見たら、給油ノズルの先に小さな穴が開いている。どうやらどの給油ノズルにも付いているようだ。この穴はいったいなんだろう。その存在理由を調べてみた!
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部
■ガソリンが満タンをなったことを知らせる検知口だった
いきなり正解をいうと、給油ノズルの先にある穴は、燃料が満タンになったことを検知するための穴だ。ガソリンスタンド給油機(正しくは計量機というそうだ)は満タンになると自動でストップするが、この仕組みを機能させるための重要な「穴」なのだ。
仕組みを説明しよう。給油ノズルの内部は当然ガソリンが流れるわけだが、実は二重構造になっていて、内部にもうひとつ細いチューブが通っている。このチューブの先が問題の「穴」に繋がっている。
そのチューブをなにが通るのかというと「空気」。給油ノズルはガソリンを吐出するのと同時に先の穴から空気を吸い込み、内部にあるセンサーでその圧力を図っているのだ。
では満タンになるとどうなるか。ガソリンがクルマのタンクに貯まるとその液面が給油ノズルの先に届き、穴が塞がる。すると穴からは空気が取り込めなくなるため、チューブ内の圧力が負になる。これをセンサーで感知して、給油を止めるというわけ。口にくわえたストローの先を指で押さえるのと同じ仕組みだ。
■継ぎ足し給油を行うと停止装置が作動しないことも
ノズルの先に、直接圧力センサーなどを付ければいいのでは? と考える人がいるかもしれない
しかしこれが給油設備の難しいところ。いかなる小さなセンサー類でも電気が必要となれば、通電によって微小な火花などが生じる可能性が否定できない。そこれで計量機メーカーはこの危険を回避すべく、前述した仕組みを採用しているのだ。
ちなみに、一度給油が停止した後、継ぎ足し給油を行うことが危険とされるのは、空気の負圧が感じ取れずに、停止装置が働かない恐れがあるため。ガソリンをチョロチョロとつぎ足すと、ガソリンが流れる本管側を空気が逆流し、負圧が生じなくなるのだ。
なお世界的な計量機メーカーとして知られるタツノは、この不具合を解決すべく、負圧発生構造を二重化した給油ノズルを開発した。その効果は非常に大きく、優れた給油ノズルとして2011年には発明大賞本賞も受賞したほどだ。
というわけで、ガソリンスタンドの計量機には二重三重の配慮がなされていることが分かった。ただし油断は禁物。ルールを守って慎重に給油すべし。
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