トヨタは、2022年から、クラウン4車種やランクル250、レクサスLMなどといった新車を続々と発表。これからの発売が待ち遠しい。そのなかでも一番の注目株は、クラウンスポーツだろう。トヨタ陣営は、クラウンに新たに設定されるスポーツSUVをどう売っていくのか。さらに話題のレクサスLBXに関しても考察していく。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA、池之平昌信
■シリーズ中核を担うクラウン初スポーツSUVの期待度はいかほど?
間もなくデビューを迎えるクラウンスポーツ。春に行われたプロトタイプカーのお披露目では、メディア関係者やジャーナリスト以外に、一般ユーザーにも試乗機会が与えられた。
開発陣は「生の声を開発にフィードバックしたい」と意気込む。プロトタイプカーでも完成度は高かったが、完成版では商品力にさらなる磨きかかっていることだろう。
ボディサイズは全長4710mm×全幅1880mm×全高1560mm。ボディ全長は、クラウンクロスオーバーと比較して220mmショート、全幅は40mmワイドになり、全高は20mm高い。
クラウンシリーズ4タイプの中では、最もコンパクトでスポーティな1台だ。
クラウンクロスオーバー登場時に懸念されていた「クラウンのSUV化」は、なんなくクリアした。クラウンというクルマの大きな変貌で、一時は販売への影響が懸念されたが、クラウンクロスオーバーは納車待ちが続く大人気モデルになっている。
続いて登場するクラウンスポーツへ寄せられる期待も大きい。
販売前から大きな話題を作ってきたクラウンシリーズ。本命のセダンに負けず劣らず、クラウンスポーツは、クラウンシリーズの中核を担うクルマになっていくだろう。
■絶対売れるからこそクラウンスポーツの販売戦略は2本柱で進める!!
パッケージングは、ロー&ワイドなハリアーといった感じだが、車格的にはハリアーの上に位置することになるクラウンスポーツ。
トヨタ以外の上級SUVに乗るユーザーが乗り換えに選ぶのは間違いないし、トヨタからトヨタの自社代替も充分に期待できる。
間違いなく売れる方向性しか見えないクラウンスポーツだが、販売現場ではどのような作戦が練られているのだろうか。
いくつかのトヨタディーラーで話を聞いてみると、販売方針の柱が2つ見えてきた。
一つは、高齢化の進む既存クラウンオーナーの買い替え推進だ。先代までのセダンに乗るユーザーが買い替えの時期を迎えているが、これまで適当な車種が見つからなかった。
また、子育ての時期を終え、夫婦2人暮らしとなるオーナーが増える中で、2人乗りをメインで考えられるショートプレミアムカーを提案できなかったのだ。
クラウンスポーツの登場は、クラウンという最上級から格を落とすことなく、大きすぎず使い勝手のいいクルマを提案できる最大のチャンス。
クラウンからクラウンへの乗り換えを希望する中高年のクラウンオーナーへ、最高のクルマを提案できるタイミングが来たと意気込む営業マンが多い。
もう一つは、トヨタへの定着が遅れ気味な若年層への取り組みだ。クラウンスポーツは高残価率が期待でき、残価設定ローンでの買いやすさを訴求できるクルマになる。
販売現場では、ハリアー・RAV4はもちろん、ヤリスクロス・ライズといったコンパクトSUVからの格上げも提案していきたい様子。
特に代替時に他社流出が増えるコンパクトカーのユーザーに対して、トヨタとの付き合いが長くなるような営業活動を進めていきたいと感じられた。
いい意味で「トヨタに乗ると他社に乗り換えられなくなる」と感じるユーザーは、クラウンオーナーに多い。
クロスオーバーやスポーツという買いやすく使いやすいクラウンで、広い年代の囲い込みを強化するのが、クラウンスポーツ販促の合言葉となりそうだ。
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