ジャガーなど高級車の販売好調の裏側には何が・・・
今回のお題は「輸入車のなかでも、なぜ超高級車は売れに売れているのか!?」。
昨年末の衆議院選挙は自民党の圧勝に終わり、安部政権発足時から続けている〝アベノミクス〟を今後も推し進める見通しだ。デフレ脱却はいいのだが、どうにも庶民には〝景気のいい風〟が流れてこず、好景気の実感はまったくといってない。そんななか、一部の高額所得者は〝景気のいい風〟を受けているようで、’14年の輸入車販売好調にもそれが表われているもようだ。
景気はよくないが高級車販売は安定している
日本自動車輸入組合(JAIA)によると、’14年4〜9月には、前年の同じ時期より26%多い6896台が売れたという。こんな厳しい世の中なのに、だ。
メルセデスベンツ日本に聞いてみると「この時期は新型Sクラスが日本導入され、販売を後押ししましたね」というが、Sクラスは一番安いグレードでも1090万円。それが販売を後押しとは一部だけバブル状態!?
「いやいや……、決してそうではなく’14年の消費増税後、一般的には景気がいいわけではないですが、高級車は安定しているんです」と付け加えてくれた。
さらに聞いていくと、’08年のリーマン・ショック以降、買い替えを控えていたユーザー(高級車オーナー)が、質感や乗り味はもちろん、最新技術を装備した新たなモデルを買い始めている傾向にあるという。
自動ブレーキを筆頭に、先進の安全技術が備わった新型車が世界的流れになっているゆえ、〝安全技術満載のブランド買い〟もある程度納得できる。
……と、ここまで書くと、輸入車ならすべからく’14年の販売は絶好調だったかというと実はそうでもない。一部のブランドが販売台数を伸ばすいっぽうで、年間1万台以下の中盤以下のブランドは伸び悩みを抱えている状況だ。
つまり、同じ輸入車でも〝ブランドで明暗〟を分けたのが’14年のカタチといえそうな気がしてきた。
マセラティは212.2%の伸び率!
〝ブランドで明暗〟を分けた……。
象徴としてひとついえるのは、輸入車のなかでも’14年は超高級車がかなり売れたということだ。マセラティ、ベントレー、ロールス・ロイスといった、庶民には縁遠いブランドが販売台数を伸ばしているではないか。なかでもマセラティは超絶の212・2%の伸び率!!
この超高級車の絶好調な販売は販売の現場でも如実で、ベントレーやロールス・ロイス、フェラーリなどを取り扱う「コーンズ」の方も、「どのブランドも’13年より’14年とここ数年前年比で着実に伸びています。中古車も扱うんですけど、新車のほうが伸長率はいいです」と、景気いい話が飛び出す。
では、なぜ超高級輸入車がこれほどまでに売れているのか? 「そりゃ、アベノミクス効果で高額所得者がさらに懐具合がよくなったからでしょ」と冒頭の話に戻ってしまうが、それだけではない。日本にある輸入車メーカー側の戦略と努力が、その背景にあるらしいのだ。
地道にイベント活動を続けて・・・!
まずはベントレーモーターズジャパンに聞いてみた。
「ここ数年の動きですけど、’14年は特にお客様に車両に触れていただこうと、全国6店の正規ディーラーで大小合わせて約50回もセールスイベントや試乗会を実施しました。全般的に高級車へのお客様の関心も高く、これらのイベントが奏功したといえますね」
一見派手に思える超高級車の世界だが、このような地道な積み重ねがあって二桁伸長率を打ち出したわけだ。お客へのPRのためにイベントに力を入れるのはロールス・ロイスも同じとのことで、特に’14年はロールス・ロイス創業110周年を記念し、ブランドと歴史を伝える「アイコンツアー」を各国に続けて東京でも開催。顧客の満足を得られたという。
マセラティは’14年、100周年を迎え、それを軸にしたイベントを多彩に開催した効果が212・2%もの伸長率になったことは認めつつも、もっと大事なことがあると語ってくれた。
「マセラティジャパンは’11年から活動し始めたのだけど、その時、日本のお客様に約束した3つのことを実現してきた結果が、現在の好調のカギになっていると思います」。
- それは、
- ①コミュニケーションチャンネルの拡充
- ②アフターサービス体制の構築
- ③ディーラー網の再編
’14年12月、日本人メカニック2名が本国の「マスターテクニシャン」認定を取得するなど、顧客を満足させる技術とサービスにも自信があふれる。
超高級車のバカ売れは、日本で地道に続けてきたブランド訴求活動が開花した証と言えそうだ。
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