老若男女を問わずに運転が苦手という人は意外に多い。しかし、事情により運転する必要がある場合はどのようなクルマを避ければいいのか? 今回は、そんな“要注意なクルマの条件”を検討していきたい。
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、日産、マツダ、ランボルギーニ、BMW、写真AC
■なぜ運転を難しく感じるのか?
具体的なクルマについて見ていく前に、まずは運転が苦手というのがどういうことなのかを考えてみよう。
ひと言で「運転が苦手」といってもさまざまな理由が考えられる。ハンドル操作が難しいという人は少ないだろうが、行動での運転では、周囲の状況に気を配りつつ、ハンドルとアクセル&ブレーキの操作をうまく連動させなければならない。
こうした操作は、慣れている人には特に苦にならないものだが、自動車教習所に通いたてのときには難しく、なかなかスムーズにできない場合もある。
速いスピードが苦手という人も多い。生身の人間が出せる速度をはるかに超えるクルマのスピードもまた、恐怖を感じさせる要因になる。特に高速道路でのレーンチェンジや合流は難易度が高い。
車両感覚がうまくつかめないというのも、運転が苦手な要因になりうる。クルマの前端や後端がどこにあるのかわからず、壁やガードレールに擦ってしまった人もいるはずだ。
狭い場所での駐車や縦列駐車も、スムーズに行うには優れた車両感覚が要求される。もちろん慣れの問題もあるが、どうしても苦手に感じてしまう人はいる。
ここまでなぜ運転を苦手に感じるのかを考えてきたが、逆にいえば、運転が苦手な自覚のある人は、こうした不得意分野を助長させてしまうクルマを避ければいいということになる。
■運転に自信がつくまで避けたほうがいいクルマとは?
ここからは、運転が苦手な人は避けたほうがよいクルマを具体的に見ていこう。
●動きの機敏なクルマ
ハンドルやアクセル&ブレーキ操作の連動がうまくできない人は避けたほうがよいのが、キビキビと動くクルマだ。
ドライバーの操作に瞬時に反応し、アクセルペダルを踏み込めば小気味良いレスポンスを発揮。さらにブレーキもすぐに利く。と、ここまではまるでクルマをほめているように思えるが、もちろんそうしたクルマが歓迎されることも多い。
だが、操作が苦手な人はハンドルの切り加減やアクセル&ブレーキの踏み加減がうまく調整できない場合があり、操作に対して過敏に反応するクルマでは動きがギクシャクしてしまう。
純粋なスポーツカーはもちろん、スポーティさをうたっているクルマは総じて操作に対する反応が速いので、運転が苦手な人は乗らないほうがいい。
●パワーのあるクルマ
ハイパワーなクルマはある意味高級車の証であり、ひとつのステータスともいえる。そして高出力車は憧れの的でもある。
だが、運転が苦手な人にとってはパワーがありすぎるのも考えもの。そのパワーに運転手が振り回されてしまう可能性もある。
先にあげたペダルの踏み加減をうまく調整できない人が高出力車に乗ると、アクセルの踏みすぎで予想以上のスピードが出てしまい、自分ばかりか周囲の人やクルマまで危険を及ぼしかねない。
また、高トルクなクルマは重い車体を軽々と加速させてしまうことからスピード感をつかみにくく、これも危ない場面を招くかもしれない。
●サイズが大きく、着座位置が低いクルマ
車両感覚に乏しい人が大きなクルマに乗るのは危険だ。車体の四隅がどこにあるのかきちんと把握していないと、壁や他のクルマと接触する可能性がある。
交差点を曲がる際にも、車体サイズと曲がり方がわかっていないと危ない。クルマには内輪差があり、自分が乗っている運転席と、4つのタイヤがどういう位置関係にあるかを感覚的にとらえていることが重要になる。
大きなクルマは旋回時の内輪差も大きく、さらに四隅の把握もしにくい。運転に自信のない人は、自分か扱いきれるサイズのクルマを選ぼう。
とはいえ、ミニバンなど、比較的サイズの大きいクルマは着座位置が高く、自然に視界も高い位置からになる。これは周囲の状況を把握するのに好都合ではある。
この反対に、スポーツカーなどのように車高の低いクルマは視界面では不利。ある程度の視線の高さがあったほうが安心して運転できる。
●ノーズが長いクルマ
意外に運転しづらいのが、運転席から前端までの距離があるクルマだ。スポーツカーによくあるロングノーズは、スタイリッシュではあるものの、クルマの長さは把握しにくい。
反対にノーズが短すぎる車を運転しにくく感じることもあるが、ノーズの長いクルマに比べれば慣れやすい。
また、長さはそこまででもなくても、ノーズ形状がストンと落ちているクルマは、狭い道や駐車場でどこまでがノーズの前端なのかわかりにくい。
●マニュアルトランスミッション(MT)車
現在の日本はオートマチックトランスミッション(AT)車が全盛で、新車に占める割合は99%になるほど。また、AT限定免許の取得割合も60%を超えている。
つまり、MT車に乗ろうと思っても難しく、そもそもAT限定免許では公道でMT車を運転できない。
MT車では運転手自身がギアを選択し、シフトレバーとクラッチ操作を自分で行わなくてはいけない。実はこれがなかなか難易度の高い操作ではある。
自身の免許がAT限定ではなくても、運転が苦手な自覚のある人が進んでMT車を操作することはまずないだろうが、やはりMT車は避けるのが得策だ。
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