ホンダアクセスが開発したシビックタイプRの純正アクセサリーの「テールゲートスポイラー」には、「鋸歯状(三角形が連続するギザギザ形状=シェブロン形状)」の実効空力デバイスが搭載されている。
この実効空力デバイスを車両後部の適切な位置に設置すると(速い空気の流れによる車体後部の乱流が整えられて)「走り」が大きく変わる、それは低速でも、ファミリーカーでも実感できる、という。
本当か? 本当にハッキリ分かるのか?? ベストカーはこのデバイスの性能(いわゆる「実効空力」)を確かめるため、ベストカー本誌連載陣のひとり、テリー伊藤氏にこのパーツの「体験」をお願いした。
文/ベストカー編集部、テリー伊藤、写真/奥隅圭之、森山良雄
■2024年で30周年のプライドと確信
ホンダアクセスといえばホンダ純正アクセサリーを開発するメーカーだが、その一方でグイグイと開発を進めてきたのが「Modulo(モデューロ)」ブランドのエアロパーツ。
実は2024年で30周年を迎えるモデューロだが、近年はコンプリートカー「Modulo X」にも注力してきた。そのModulo X、そして純正アクセサリーにも投入されてきたこだわりの技術が「実効空力デバイス」。
空力といえばレースなどの超高速域での話と思いがちだが、実際は街中でもその効果が非常に高い。コッテリ濃厚な開発陣の力も借りつつ、今回は開発アドバイザーの土屋圭市さんがテリー伊藤さんに「実効空力とはなんぞや」を伝授します!!
■「塩コショウ」でホンダ車の楽しみをさらに引き出す
テリー伊藤(以下、テリー)/はい皆さんこんにちは、『テリー土屋のくるまの話』のお時間がやってまいりました!!
土屋圭市(以下、土屋)/違うから! 今日はベストカー+ホンダアクセスの仕事で「実効空力」を学ぶ仕事だから!
テリー/あ、そうなんですか! なるほど!! それで…ええと、なんですかその「実効空力」というのは?
土屋/これはわたしも長年ホンダアクセスさんと一緒にさまざまな開発に関わってきて、行き着いた考え方のひとつなんですよね。
本日は「実効空力」の開発にずっと携わってきた、最高責任者を連れてきました。福田正剛さん(元ホンダアクセスModulo開発統括)です。
福田正剛(以下、福田)/テリーさん、はじめまして。本日はどうぞよろしくお願いします。
テリー/わざわざありがとうございます。それで早速ですが、「実効空力」ってなんなんですか?
福田/はい、まず「空力」というと、皆さんレースの世界の話だとか、スーパースポーツカーの最高速度域での効果の話だと感じると思うんですね。
そこで我々は、そうではなく、普通のクルマで普通の生活圏内での速度域でも体感できる空力の効果がある、それを「実効空力」と呼ぼう、ということで、この言葉を使っております。
テリー/普通の速度でも空力の効果が分かる…。
福田/そうです。当たり前の話ですが、クルマってノーマル状態でもいろいろな「味」があるじゃないですか。
その「味」を、空力を使って少し変えてあげましょう、たとえばノーマル状態がプレーンな肉料理だとしたら、そこに塩コショウを振るだとか、「出汁」のようなものを入れて旨味を増やすとか、そういうことを空力でやる、ということです。
テリー/そんな魔法みたいなことが本当にできるんですか? 普通のクルマで?
福田/ちゃんと説明すると「タイヤの前後荷重バランスを空力で整える」ということですけれども、風が当たるとクルマにとって「抵抗」になります。そうした時に、タイヤにかかる荷重が変化するんですね。
もちろん風の強さによっても路面によっても変化するんですが、そのバランスを整えてあげると、走りやすくなって乗り心地もよくなる、というのが、長年の開発で分かってきたんです。
それで、じゃあ我々はこれを突き詰めていこう、土屋さんに手伝ってもらって、クルマ好きの感性にピタッと合わせるように整えていこう、というのが開発の狙いです。
テリー/それは、先ほど言っていたように、普通のクルマでも分かるものなんですか?
土屋/それを本日、テリーさんに試してもらいたいんです。
テリー/分かりました、では実際に乗ってみましょう。よろしくお願いします!
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