2019年5月9日、マツダは決算報告会見の場で、今後の商品開発の展開として、直6エンジン、FRプラットフォームの正式に発表した。
本誌スクープ班がつかんだ情報によると、その裏には、トヨタとの提携による”密約”が隠されていたのだ。
その密約とはズバリ、トヨタはマツダとの提携によって、マツダが開発する直6エンジンとFRプラットフォームを手に入れようとしているのだった。
さて、トヨタはどのような青写真を描いているのか、迫ってみたい!
文/ベストカー編集部
写真/ベストカー編集部(CG)
初出/ベストカー2019年6月26日号
トヨタはマツダの技術力を評価しパワートレーン開発はマツダに!
ベストカー本誌では以前からマツダが直列6気筒エンジンを開発していると、スクープ情報をお伝えしてきた。
アテンザクラスのDセグメントの新型車に搭載する計画で、エンジン開発と並行して、FRプラットフォームの開発も進められ、縦置き後輪駆動のプレミアムサルーンを開発し、これが次期型アテンザ(ネーミングは変更される可能性が大)となる……というもの。
もちろん、ベストカースクープ班の地道な取材による、確固たる情報があってのレポートだったわけだが、にわかには信じられないという声も多く寄せられていたのもまた事実であった。
ところが2019年5月9日、マツダは2019年3月期決算報告会見の場で示した中期経営計画のなかで、「ブランド価値向上への投資」として商品開発の展望を明かしたのだが、ここで『Largeアーキテクチャー』について、以下の開発項目を挙げた。
●直列6気筒SKYACTIV-X
●直列6気筒SKYACTIV-D GEN2
●縦置きアーキテクチャー化(i-ACTIV AWD含む)
●48Vマイルドハイブリッド/プラグインハイブリッド
すなわち、Dセグメントを想定したラージプラットフォームは縦置きエンジン後輪駆動で開発。エンジンは直列6気筒を新開発し、ガソリンエンジンはSPCCIエンジンのSKYACTIV-Xを、さらにディーゼルエンジンはクリーンディーゼル第2世代へと進化させたものとする。
さらに48V電装システムを使ったマイルドハイブリッドを用意し、プラグインハイブリッドへの展開も視野に入れている、ということである。これまでに本誌スクープ班が掴んでいた情報とほぼ一致する。
2022年頃に投入が計画されるアテンザ後継車(マツダ6)、あるいはアテンザのより上級に位置するプレミアムサルーンとして投入されるニューモデルに採用される新アーキテクチャーとなるはずだ。
SKYACTIV-Xとは、5月24日に発表されたマツダ3に搭載される新開発エンジンだ。
ガソリンエンジンの燃焼方式に特徴があり(SPCCIと呼ばれる)、圧縮比をガソリンエンジンとしては高い15とすることでディーゼルエンジンのような圧縮着火を実現したもの。
ポイントは圧縮による完全な自己着火ではなく、点火プラグを併用することで、高次元で圧縮着火を制御するということ。
高いレスポンスとトルクを発揮しながら、燃費に優れるのが特徴。マツダ3では横置き直列4気筒、1997㏄の排気量だが、今回開発が明らかにされた直列6気筒では、このモジュラー化された4気筒に1気筒あたり499.25㏄のシリンダーが2気筒プラスされることで総排気量2996㏄となることが予測される。
また、マツダ3では24Vバッテリーを搭載し、ベルト式ISGを使ったマイルドハイブリッドが組み合わされるが、直6エンジンにはより強力な48Vシステムが組み合わされることになるというわけだ。
さらにこのエンジンの新世代クリーンディーゼルも同時並行で開発されることになる。
このとても魅力的な新開発パワートレーンをプレミアムカーにふさわしい後輪駆動プラットフォームに搭載するというのだから、楽しみなのだが、マツダの生産規模の自動車メーカーで、こうしたパワートレーンとシャシー/プラットフォームを同時開発するコストメリットはあるのだろうか!?
車種の横展開にも限りがあり、巨額の開発資源を投入することのビジネス的なメリットが見えてこないのだ。
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