2023年には、さまざまな新車が登場した。人気ジャンルである軽スーパーハイトワゴンでも、「N-BOX」と「スペーシア」が最新モデルになった。そこで今回は、ライバル車であるこの2台が、どう変わったのか、そしてどう違うのか、比較してみた。
文/渡辺陽一郎、写真/HONDA、SUZUKI、奥隅圭之
【画像ギャラリー】本稿未掲載多数!! 新型スペーシアと新型N-BOXの2台を見比べる!!(30枚)画像ギャラリー■新型に生まれ変わったN-BOXとスペーシアの差は?
クルマの世界にはさまざまなライバル対決があるが、今、最も注目される組み合わせはスズキスペーシア対ホンダN-BOXだろう。両車とも、全高が1700mmを超えるボディにスライドを装着した軽自動車のスーパーハイトワゴンになる。
N-BOXは2023年10月に、スペーシアは11月にフルモデルチェンジされ、両車とも新型車だ。N-BOXは国内の最多販売車種で、2022年には、モデル末期ながら1カ月平均で1万6850台を届け出した。スペーシアは8350台だから約半数に留まる。
それなら新型の勝負はどうなのか。新型になったスペーシアとN-BOXを項目別に徹底比較したい。
先代型ではN-BOXのフロントマスクは存在感が強く、スペーシアは大人しいデザインだった。しかし新型では、特にスペーシアカスタムがスポーティで精悍な印象に変わっている。
逆にN-BOXは、存在感を抑えてシンプルな上質感を重視する。つまり両車のデザインの性格が入れ替わったように感じる。
視界は両車とも同程度だ。先代型では、N-BOXのメーターが高い位置に装着され、小柄なドライバーが運転すると前方を見にくかった。そこを新型では、配置を見直してインパネの上端を70mm下げたから視界は良好だ。
それでも最小回転半径は、スペーシアが4.4~4.6m、N-BOXは4.5~4.7mになる。同じタイヤサイズ同士で比べると、スペーシアの小回り性能が優れている。
■インテリアはほぼ互角!? マルチユースフラップの装備の差はあるのか?
インパネ周辺のデザインは、スペーシアが新型になって立体感を強めた。N-BOXは外観と同じくシンプルな印象に変わり、内装の質感はスペーシアが高い。
前席の座り心地は、N-BOXが少し優れている。背中から腰、大腿部までをしっかりと支える。後席は、後端までスライドさせると、足元空間はN-BOXが少し広い。それでもスペーシアにもタップリした余裕がある。
そして両車とも、後席のスライド位置を後端にセットすると、乗員の頭部がリヤゲートに近付いてしまう。これでは追突された時に心配だ。
そこで後席に座る乗員の膝先空間が握りコブシ2つ分になるように、スライド位置を少し前寄りに調節すると、頭部とリヤゲートの間隔も適度に広がる。
スペーシアの後席で注目されるのは、主力グレードに装着されるマルチユースフラップだ。少し張り出させると、ふくらはぎが支えられて膝先が安定する。その代わり座面の前側が少し硬く、座り心地は好みが分かれる。
ベーシックなグレードには、マルチユースフラップが装着されないが、スライドドアの電動機能など必要な装備まで省かれてしまう。
マルチユースフラップを非装着にできるセットオプションを用意すると親切だ。いずれにしろ後席の座り心地を確認したい。総合的に見ると内装と居住性は互角だ。
収納設備やトレイはスペーシアが豊富だ。助手席の前側には、コンビニ弁当などを乗せられる大きなトレイが備わる。その下にはボックスティッシュが収まる引き出し式の収納設備があり、さらにその下側にはグローブボックスも装着した。
またスペーシアは、メーターの上側、ドアノブの付近などにもトレイやポケットを備える。助手席の下側には大型の収納ボックスも装着され、車外に持ち出すことも可能だ。
N-BOXは、新型になって収納設備の数を減らした。その代わりにグローブボックスの容量を2倍に増やすなど、工夫を施している。
両車ともに後席の背もたれを前側に倒すと、座面も連動して下がり、ボックス状の広い荷室に変更できる。
路面からリヤゲート開口下端部までの高さは、スペーシアが510mmで、N-BOXは470mmと低い。自転車を積む時も、N-BOXであれば前輪を大きく持ち上げる必要はない。
またN-BOXの後席を格納すると、広げた荷室の床に窪みがある。そこに自転車の車輪を通すと収納しやすい。
コメント
コメントの使い方