内装は互角も収納と小回り性はスペーシア!! 王者N-BOXに勝てるのか!? 徹底比較してみた

■走行性能ではN-BOXが有利!! いっぽうのスペーシアは燃費で負けない! 

新型になったことで、エンジンの制御といった運転感覚の性能が進化した。アクセル操作に対して使いやすさが増した
新型になったことで、エンジンの制御といった運転感覚の性能が進化した。アクセル操作に対して使いやすさが増した

 動力性能は同程度だが、エンジンの制御はN-BOXが洗練されている。アクセルペダルを戻したり踏み込んだりした時の反応に、遅れが生じにくい。

 ターボエンジンについても、N-BOXは、アクセル操作に対して駆動力が忠実に増減するから速度を調節しやすい。スペーシアでも不満はないが、N-BOXの洗練度が際立つ。

 スペーシアは、N-BOXに比べて車両の向きが変わりやすい。街中や峠道をキビキビと走るのに適している。

 N-BOXは機敏な印象はないが、後輪の接地性が高く安心感が高い。高速道路で横風に煽られた時も安定性を損ないにくい。車線変更を行った時のボディの揺り返しも少ない。

 またスペーシアは、直進状態からステアリングを回し始めた時の反応が若干曖昧だが、N-BOXは正確に反応する。運転感覚を上質に仕上げた。

 スペーシアは乗り心地が硬めに感じる。路上の細かなデコボコを伝えやすく、段差を通過した時の突き上げ感も気になる。この傾向は14インチタイヤ装着車で強く感じられ、15インチは硬めながらも重厚感が強まる。

 N-BOXは14インチタイヤ装着車が快適だ。足まわりが柔軟に動いて粗さを感じさせない。15インチは足まわりが少し硬いが、乗り心地の不快感はない。

 スペーシアは自車が右左折する時でも、対向車や横断歩道上の歩行者を検知して、衝突被害軽減ブレーキが作動する。両車を比べると、制御の仕方に若干の違いがあるか、大きな差はない。

 スペーシアは全車にマイルドハイブリッドシステムを搭載する。WLTCモード燃費は、ノーマルエンジンを搭載する主力グレードが23.9km/Lだ。ベーシックな標準ボディのハイブリッドGは25.1km/Lに達する。ターボは21.9km/Lだ。

 新旧モデルで売れ筋になる標準ボディのハイブリッドX同士を比べると、先代型から新型に乗り替えた場合、ガソリン代を11%節約できる。

 N-BOXのWLTCモード燃費は、ノーマルエンジンの標準ボディが21.6km/L、カスタムは21.5km/Lだ。ターボは20.3km/Lになる。ノーマルエンジンで最良の21.6km/Lでも、スペーシアターボの21.9km/Lに見劣りする。

 スペーシアでは、最も買い得な標準ボディのハイブリッドX(170万5000円)に、運転支援機能を含んだセーフティプラスパッケージ(6万6000円)を装着すると、合計価格は177万1000円になる。

 N-BOXの買い得グレードは標準ボディの標準グレード(164万8900円)で、右側スライドドアの電動機能などを含んだコンフォートパッケージ(6万6000円)を加えると、合計171万4900円になる。

 この状態でスペーシアハイブリッドXの価格が約6万円高いが、後席にエアコンの冷気を送るスリムサーキュレーターなど、装備はスペーシアが充実する。

 以上を踏まえると、両車の買い得度は互角だ。価格競争の激しい軽自動車の人気車とあって、両車とも限界ギリギリまで買い得度を突き詰めた。そのために差が付かない。

なお納期についても、販売店では両車とも「2カ月から3カ月」とのこと。ほとんど差はない。

■総合評価の行く末は?

 スペーシアは、車内の機能から走行性能まで、市街地を中心とした日常的な使い勝手を重視する。小回りの利きが優れ、交差点をキビキビと曲がり、収納設備も多彩だ。実用性が高く、新型では燃費性能を大幅に向上させた。

 N-BOXは、新型になって運転感覚の質を高めた。アクセル操作に対するエンジンの反応や操舵感が自然な印象で、乗り心地も快適だ。機敏ではないが、直進安定性が優れている。街中でも扱いやすいが、特に高速道路を使った長距離を移動する時の安心感を高めている。

 つまりスペーシアが街中の移動に焦点を絞って日常的な機能を充実させたのに対して、N-BOXは行動半径を広げた。

 このようにスペーシアとN-BOXは、ほぼ同じサイズの似通ったクルマに見えるが、用途に応じて選び分けることが可能だ。スペーシアの販売台数はN-BOXの半分だが、商品力は互角だ。

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