「自転車への反則金導入」に効果はあるか? クルマと自転車、大事なのはどっちも特性を知ること

「自転車への反則金導入」に効果はあるか? クルマと自転車、大事なのはどっちも特性を知ること

 いよいよ、自転車にも交通反則通告制度、いわゆる「青切符」制度が導入されることになる。これまでは自転車を含む軽車両については対象外とされていた交通反則制度だが、近年の自転車が関係する交通事故の増加を受け、警察庁は、自転車にも交通反則通告制度を導入する方針を固めた。

 新たに導入される、自転車の交通違反に対する交通反則通告制度の内容をご紹介しながら、その効果について考察しよう。

文:エムスリープロダクション
アイキャッチ画像:写真AC_FreeBackPhoto
写真:写真AC

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交通事故の原因になりうる悪質性・危険性・迷惑性が高い違反が対象

 交通反則通告制度とは、交通違反のうち、比較的軽微な交通違反をした運転者に対して、一定期間内に反則金を納めることで、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けることなく事件が処理される制度のこと。警察官から反則行為を告知されると、交通反則告知書、いわゆる青切符と仮納付書が渡され、それをもって、金融機関で納付期限内に反則金を納付することで、刑罰が科されることを免れることができる。

 導入が検討されている反則行為となる自転車の違反行為は、クルマやバイクにおいても反則行為とされている信号無視や通行区分違反、一時不停止といった交通事故の原因になりうる悪質性・危険性・迷惑性の高い違反行為を中心とする約110種類の違反行為のほか、歩道徐行等義務違反などの自転車固有の違反行為5種類。クルマやバイクにおいても反則行為とされていない酒酔い運転などの反社会性・危険性が極めて高い違反については、これまで同様に交通反則通告制度の対象外(いわゆる赤切符)となる。

 対象となる運転者は、16歳以上。16歳未満の者は、引き続き交通反則通告制度の対象とはならず、個別の事案の実情に即した違反処理が行われるという。

対象となる運転者は、16歳以上。16歳未満の者は、引き続き交通反則通告制度の対象とはならず、個別の事案の実情に即した違反処理が行われる(PHOTO:写真AC_himawariin)
対象となる運転者は、16歳以上。16歳未満の者は、引き続き交通反則通告制度の対象とはならず、個別の事案の実情に即した違反処理が行われる(PHOTO:写真AC_himawariin)

自転車が関係する交通事故は、自転車側が違反しているケースが多い

 警察庁によると、全国の交通事故発生件数は年々減少している一方、自転車が関係する交通事故は増加傾向が続いているそう。また、2022年に自転車が関係した死亡もしくは重傷事故のうち、およそ4分の3は自転車に違反行為があったとのこと。

 現在、自転車の交通違反に対しては、警察官が現認していても、多くが、交通ルールが書かれたカードを違反した運転者にみせる「警告」にとどまっているという。反社会性や危険性が極めて高い悪質な違反に関しては、いわゆる「赤切符」が交付されているようだが、そのほとんどが起訴されることはない状況。このため自転車の運転者は、ルールを知らない人も多いと思われることに加えて、ルールを知っていたとしても、守ろうという行動に結びついていないことも考えられる。

 こうした状況を考えると、交通ルールを守らないことは道路交通法という法律に違反することであることを自転車の運転者が認識し、自転車も(「軽」がつくものの)車両であるという意識を持ってもらうためには、自転車への交通反則通告制度導入は必要なことだと思う。

 自転車の交通違反に対する指導取り締まりに関しては、通勤通学時間帯や、薄暮時間帯を重点に行われるとのこと。場所についても、自転車利用者が多い駅周辺や、過去に自転車が関係する事故が発生した場所を重点に行われるそうだ。

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