排気量13リットル級のモンスターマシンに伍して、日野チームスガワラの排気量8.9リットルのHINO600シリーズは、後半戦に入っても好調を維持している。
ステージ7~ステージ8の長丁場の競技の模様をお伝えしよう。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/日野自動車
後半戦初日のロングステージをトラック部門7位で快走
1月14日、ダカールラリー2024は後半戦に入り、リヤド~アル・ドゥワディミの間で483kmの競技を行なった。
この日のルートはドゥワディミ南方の丘陵を巡るもので、砂丘も通過するが、全体の約6割がグラベル路。砂埃が酷く、ナビゲーションの難度の高いステージであった。
HINO600シリーズでトラック部門に参戦している日野チームスガワラは、前日の中間日にリフレッシュした車両で快走し、SS(競技区間)をトラック部門7位でゴールした。
この結果、14日までの累積順位は見事部門8位まで浮上。エンジン排気量8.9リットルのコンパクトな車両ながら、排気量13リットル級のライバル勢に吾してトップ10に食い込む快走で気を吐いた。
この日は中間日の整備を行なったリヤドから255kmのリエゾン(移動区間)で西南西に向かった丘陵地でSSがスタート。
序盤は岩山に囲まれたオフロードで路面はフェシュフェシュからハイスピードのグラベル、さらに砂地へと変化。途中ワジ(枯れ川)や岩場、後半には砂丘も登場する変化に富んだステージだった。
菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組のHINO600シリーズはトラック部門の10番手で競技をスタート。トラブルなしに安定したハイペースを保ち、徐々にポジションを上げていった。330km地点の砂丘越えにも日没前に間に合い、日が暮れたあとはペースを抑えたものの午後8時頃に無事7番手でゴールした。
SSを終えた車両は136kmのリエゾンで北上してアル・ドゥワディミへ。この日の走行距離は874kmと、今大会最長のロングステージであった。
後半戦の2日目は北部の山間地へ 快調にSS10番手でゴール
1月15日、ダカールラリー2024はサウジアラビアのアル・ドゥワディミ~ハイル間で458kmの競技を行なった。
SSの前半部は砂地のピストに始まり難易度の高い砂丘も登場。しかし、ハイル近郊の山間部を行く後半になるとグラベル路となり、最後は岩場を越えるなど路面は大きく変化した。
日野チームスガワラは好調を維持してこのSSを快走。大きなトラブルもなくトラック部門10位でゴールした。この結果により累積順位は部門8位のポジションを保っている。
この日はアル・ドゥワディミのビバークから125kmのリエゾンで北上したあと、西北西のハイル郊外に向かう458kmのSSに臨んだ。
日野チームは序盤の砂丘と砂地の区間を副変速機のローレンジを活用して手堅く抜けると、165km地点から344km地点までのトランスファー区間へ……。この179kmは舗装路で、競技ではなく指定された時間(トラック部門は130分間)で移動する決まりである。
その後はグラベル路となりスピードに乗って走れたが、砂埃が酷くナビゲーションも分かりにくい箇所があった。最後は黒く大きな石がごろごろしているガレ場を低速でクリアしてSSゴールに到着。95kmのリエゾンを走ってハイルの空港近くに設けられたビバークに到達した。
明日16日は大会スタート地のアルウラへ戻る行程で417kmの競技が予定されている。残りステージは4つとなり、ダカールラリー2024も終盤戦へと向かう。トラック部門上位入賞の目標に向けて日野チームのメカニックたちは気持ちを引き締め、日が暮れて気温10℃以下に冷え込んだハイルのビバークで粛々と整備作業を続けていた。