クルマを思い通りに操るうえで、最も重要な操作は何か? 数々のレース実績や開発の経験を持ち、そしてドライビング講師もつとめる中谷明彦氏は、ステアリングだと明言する。だが車両の向きを決定づけるのがハンドル操作の精度は、回し方以前に姿勢で決まることをご存知だろうか? プロのドライバーが正しいドライビングポジションと操舵の基本を大公開しちゃうぞ!
文:中谷明彦/画像:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】ハンドルは引くのが正解なの? それとも押すのが正解なの? プロが徹底伝授クルマの挙動を決めるステアリング操作!(5枚)画像ギャラリー一にも二にもやはりステアリング!
走行中はステアリング操作がクルマの挙動の大半を決めると言っても過言ではない。スムーズな運転は、手の操作だけではなく姿勢から始まる。クルマを思い通りに走らせるために、最も重要な操作は何かと問われれば、私は迷わずステアリング操作だと答える。
アクセルやブレーキは基本的に速度を制御するための装置だが、ステアリングはクルマの向きそのものを決定する。すなわち、ドライバーの意思を最も直接的に車両挙動へ伝えるインターフェースだからだ。
私が1999年から開催しているドライビングスクール「中谷塾」では、ステアリング操作について非常に細かく、執拗とも言えるほど説明を行っている。ただし、その根底にある考え方は一貫している。それは、いきなり別人の操作を身につけようとしてはいけないということだ。
すでに長い運転歴を持ち、自分なりの操舵感覚を形成しているドライバーに対して、従来と全く異なる操作方法を強要すると、緊急時や高いGの環境下において操作の混乱を招くことがある。これは技術の優劣の問題ではなく、人間の反射と習慣の問題と言える。操作は無意識下でも再現できてこそ意味を持つ。
ドラポジがステアリング操作に影響を及ぼす!?
ステアリング操作方法を論じる前に、必ず整えなければならないものがある。それがドライビングポジションだ。これは精神論でも好みの問題でもない。物理的な必然と言える。
シートを後方に下げ、腕が伸び切った状態でハンドルを握っているドライバーは、例外なく正確な操舵ができていない。腕が伸びた状態では、細かな舵角調整も、切り増しも困難になる。一方で、初心者に多い極端に前寄りのポジションも問題で、肩や肘が自由に動かず、結果としてステアリング操作に無駄な力が入る。
正しいドライビングポジションとは、ハンドル操作をしようと意識せずとも、自然と正しい操作が生まれる位置であるべきだ。背中をシートバックにしっかり預け、肩甲骨が支点として機能する状態を作ること。それがすべての出発点となる。
【画像ギャラリー】ハンドルは引くのが正解なの? それとも押すのが正解なの? プロが徹底伝授クルマの挙動を決めるステアリング操作!(5枚)画像ギャラリー握りのかなめは小指から!
ステアリングを握る位置については、長年議論が続いている。いわゆる「9時15分」なのか「10時10分」なのか。結論から言えば、どちらが正しいという話ではない。
ドライバーの体格、腕の長さ、シートポジション、さらにはステアリング径やスポーク配置によって、最適解は変わる。重要なのは、状況に応じて適切な位置を選択すること。
握り方の基本は、指で掴むのではなく、手のひらで軽く押す感覚でステアリングに触れることにある。力は小指側から入り、人差し指方向にかけて徐々に抜けていく。これは剣道の竹刀やテニスラケットの握り方と同じ理屈だ。
人差し指と親指は、あえてフリーに近い状態を保つ。ステリングコラムのウインカーやワイパー操作のためだけではない。ステアリングが外力で急激に切り返された際、スポークに指をかけていると指を痛める危険があるからだ。現代車ではステアリング上のスイッチ操作も増えており、この握り方は合理性が高い。
ステアリングの回し方としてよく語られるのが、プッシュ式とプル式である。左コーナーを例にすれば、右手で12時方向へ押し上げるのがプッシュ式、左手で6時方向へ引き下げるのがプル式だ。一般道や低速域、停止状態からの車庫入れなどでは、プッシュ式でも特に問題はない。初期操舵で力を入れやすく、操作として分かりやすいからだ。








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