スカニアは2024年3月26日、欧州市場でBEVラインナップの拡大を発表した。主に単車系トラック向けに電動パワートレーン/アクスルなどのコンポーネントを追加したもので、集配送用トラックやダンプ・ミキサ車を始めとする建設系特装車などの、より優れた電動化が可能となった。
また、トラックの車両ライフと同じ長寿命のグリーンバッテリーは、冷却・加熱機構により効率を最大化し、GVW29トン車の航続距離は最大520kmになった。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Scania CV AB
スカニア、電気トラックに新たなソリューション
2024年3月26日、スウェーデンのスカニアはバッテリーEV(BEV)トラックにさらに多くのソリューションを提供すると発表した。
スカニアはこれまでも電動機(電動のモーター、トランスミッションなどを組み合わせた電動パワートレーンをスカニアはエレクトリック・マシーン=電動機と呼称している)、アクスル構成、キャブ展開、搭載するPTO(動力取り出し装置)の種類など、BEVトラック用のコンポーネントやソリューションを追加・強化することでラインナップを継続的に拡大してきた。
これにより当初、一般的な車型だけだったBEVトラックが、今日では様々な架装と運行をカバーするようになっている。
一台ごとに使われ方が異なるのがトラックというクルマの特徴でもあり、様々なニーズを持った顧客が、それぞれに合ったテーラーメイドのソリューションを必要としている。スカニアの上級副社長でEモビリティ担当のフレドリック・アラード氏は次のように話している。
「継続的な導入を通じて仕様の選択肢が着実に増え、これにより新たな付加価値を提供します。お客様の関心もますます高まっています。なぜなら、これらのトラックが実際の運行でもうまく機能し、ドライバーたちから高く評価されていることが明らかになったからです。
私たちが頻繁に耳にするのは、当初は電動化に懐疑的だったトラックドライバーが、今ではBEVトラックとの恋に落ちたという話です」。
今回追加されたコンポーネントとソリューションは、都市部での集配送を行なっている運送会社や、建設関係の輸送を行なっている会社から注目を集めそうだ。
新たに導入する6×4タンデム駆動用のボギーアクスルは、ダンプカー、フックリフト、コンクリートミキサ車などの特装車に多く用いられ、駆動力や積載量を犠牲にすることなく、これらの車両の電動化が可能になる。これは、架装物に対して油圧をはじめとする様々な動力を供給するため、スカニアが異なる種類のPTOの導入を進めていることとも関連している。
また、電動機では出力210kW(馬力にすると約280hp)と240kW(同320hp)の「EM C1-2」が新たに導入される。これも単車トラックに適した出力だという。同機は、より強力な兄弟機より小さく、その分をバッテリーや補機、アウトリガーなどの搭載スペースとすることができる。
建設系のほか都市部の集配用、自治体のメンテナンス車両等、大型トラクタではできない作業に適したオールラウンダーな車両だという。なお車名は、240kWバージョンの電動機とPキャブを組み合わせた場合、スカニアの命名規則では「24 P」という名称になる。
「ディーゼル車で言えば9L級のエンジンに相当します。軽量かつ柔軟、それでいて強力な電動機はあらゆる作業に適合します。1つの永久磁石と2段ギアによる小さなサイズにも関わらず、本当にトルクがあります。もちろん、ドライバーが電動パワートレーンに期待する通り、優れたドライバビリティとスムーズさも備えています」。(同氏)