いよいよ2020年に迫った東京オリンピック。暑さへの対策など多くの課題もあるが、自動車業界にとっても目標がある。
それが自動運転車の実現だ。技術立国として世界にアピールできる場でもあるのだ。多くの規制や法令を乗り越えて自動運転技術の開発は進んでいる。
しかし残り1年ほどになった現状でもあまりこの話題は扱われることが少ない。本当に大丈夫なのだろうか?
文:国沢光宏/写真:トヨタ、日産
ベストカー2019年9月10日号
■速度を落とせば自動運転へのハードルはグーンと下がる
「東京オリンピックの時に自動運転車を走らせ技術立国としてアピールしたい」というのが日本政府の目論見である。
だからこそ自動車メーカーに対し「自動運転技術を開発してほしい」と声を掛け、国交省や警察にも協力するよう働きかけているのだった。
結果、警察などイヤイヤながらハンズオフ(手放し走行)を認めざるを得なくなってます。遠からず国交省も今まで猛反対してきた「車載カメラからの情報により赤信号で自動停車」する制御を認めさせられることだろう。
果たしてオリンピックの時に自動運転車を走らせられるだろうか? そんな状況のなか、トヨタが『APM』というオリンピックの時に競技場周辺で使う電動カートを発表した。
最高速19km/hというから、おそらく自動運転車のプラットフォームにも使われるモビリティだと思う。
走行速度を落とすことにより、自動運転の技術的なハードルは大幅に低くなる。極端な話、歩くくらいのスピードなら、今すぐにでも自動運転は可能だと考えていいだろう。
ちなみに19km/hという速度なら、1秒間に進む速度は5m。車体全周に届くセンサーを付けておき、5m以内に接近してくる物体あれば緊急ブレーキ掛けることにより衝突せずに済む。
もしかしたら自動車メーカーと警察、国交省、政府などでオリンピック時に運用する自動運転の指針を作ったのかもしれない。
そのなかに「最高速は20km/h未満」などとあれば、最高速19km/hになります。逆に考えたらそのくらいの速度域を上限とした場合、完全自動運転は充分可能だと思う。
■ラスト1マイルだけの移動手段か、それとも?
おそらく台場や選手村のある晴海から、豊洲、夢の島といった湾岸地域のオリンピック施設のアクセスはこういった移動速度の低い自動運転車が運用されるんだろう。
トヨタeパレットのような自動運転移動式の販売店などが使われることだって充分考えられる。eパレットを20台くらい用意し、夜間に移動させておくことにより、簡単な”商店街”だって作れる。海外に対するアピール度だって充分。
はたまた、羽田空港〜湾岸地域への移動も自動運転車が登場しそう。すでに日産は横浜のみなとみらい地域で完全自動運転の実証実験を行っており、大きなトラブル出ていない。
スカイラインに搭載されたプロパイロット2.0に少し機能をプラスすれば、予め設定されているルートならボタンひとつで目的地に着くことは可能。
ハイヤーやタクシーに100台くらい投入すると、インパクトあるんじゃなかろうか。いずれにしろ様々な自動運転車が走るハズ。
ちなみにトヨタAPMを見て「暑いでしょうね!」と思った。オリンピックの開催時期は「外出や運動を控えましょう!」という勧告出るような暑さ。大型ゴルフカートのようなAPMはエアコンも付いていない。
歩くよりマシだが、トヨタの主張どおりラスト1マイルのモビリティで、外気温35度の中、長い時間乗る気にならない。
炎天下に駐めておいたら、シートに座った瞬間アッチッチです。やはりオリンピックは日本の真夏にやっちゃアカン。
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