普段、身分証明書として使う機会の多い運転免許証。自動車運転時に警察から提示を求められた際はもちろんだが、日常生活の中でも他人に見せることもあるはず。免許証には様々な情報が載っているわけだが、その中には意外な使われ方をしているものもある。
文:佐々木 亘/写真:Adobestock(トビラ写真=Hanasaki@Adobestock)
■ 運転免許証に載っている情報はどんなもの?
身分証明書として使われる自動車運転免許証には、氏名・住所・生年月日という「本人確認」に使う情報が記載されている。
また、運転の条件等の欄には、「眼鏡等」「普通車はAT車に限る」といった、機微情報(他人に知られたくない情報)も載っているのが特徴的だ。
運転免許証にもICチップが埋め込まれ、現在では本籍地の記載が無くなったものの、交付年月日や免許証の種類、優良ドライバー表示など、運転免許証1枚で知ることができる情報は非常に多い。
そしてパッと見ただけではわかりにくいが、免許証の中段下に記載されている「第〇〇号」の番号欄からも、暗号のごとく様々な情報を読み取ることができるのだ。
■免許証番号を正しく解読せよ
自動車運転免許証には、12ケタの番号が記載されている。このうち、初めの4桁と最後の2桁には、重要な意味が隠されている。
まずは最初の2桁。これは、初めて免許証の交付を受けた公安委員会の番号だ。北海道が10、宮城なら22、東京は30、千葉が44、大阪が62という具合に、日本列島の北から順に数字が割り振られている。
最小値は北海道の10であり、最大値は沖縄の97。数字を見れば、どこで免許を取ったのかが一目瞭然だ。同じ番号同士で、地元教習所トークに花を咲かせるのも面白いだろう。
次に3番目と4番目の数字だが、これは免許を取得した西暦の下2桁である。1995年に取得すれば95、2002年なら02になる。免許取得の先輩後輩がわかる数字なのだ。
さらに進んでいこう。5番目から10番目の数字は、各都道府県の公安委員会が独自に決めた管理番号であり、意味の公表はされていない。ちなみに、ここの数字で免許取得時の学科試験の点数がわかるという噂があるが、全くのデマである。
11番目はチェックディジットと呼ばれる、入力ミス検知のための検証用の数字だ。そして最後の1桁、12番目の数字が社会生活の上で最も大切な番号になってくる。
■ラストの番号は免許証を無くした回数! ここで社会的信用の高低が判断されることも
12桁目の数字は、免許証の紛失・盗難などによる再交付の回数だ。再交付を受けたことが無ければ「0」となり、再交付を受けるたびに数字は増えていく。
ちなみに、この再交付には汚破損によるものは含まれない。単純に無くしたか、盗まれた後の再交付回数なのだ。
多くの方が、0,1,2あたりの数字になっていると思う。この辺りなら、まだ普通のレベルだが、筆者は一度だけ、この項目が「6」になっている免許証を見たことがある。
この数字が大きすぎて困る可能性があるのは、金融機関などで新規口座を開設しようとした際だ。
詐欺事件が多発している昨今、銀行側も犯罪に使われる可能性のある余分な口座を作られないよう、チェック体制を厳しくしているのである。
そこで、窓口担当者に行われる教育の一つに、「免許証番号の最後の数字を見ろ」というものがあるのだ。異常なほどの再交付の数が記録されている免許証の持ち主は、何か怪しいという目を持ってほしいということである。
過去に筆者が見た最高値「6」の免許証を持った方も、銀行へ新規口座の開設に来たのだが、その他の事情もあり、上席と相談の上、口座開設をお断りした。
これは一つの例ではあるが、免許証番号の12桁目が大きすぎて良いことは無いと考えていい。
何度も大切な証明書である免許証を無くすということは、それだけ社会的信用も低く評価されてしまうということだ。
1枚で、様々な情報が読み取れ自動車運転免許証。その管理は厳重に行って欲しい。ちなみに、再交付回数は3以上になると、結構多いなという注意レベルになる。
既に2まで来ている人はリーチ状態。日ごろから盗難への対策をしっかりと行い、紛失にも注意するなど、数字を増やさない努力を行ってほしい。
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