住宅地などに多い道幅の狭い生活道路。警察庁がこうした道路の最高速度を時速30kmに見直す検討を始めた。不幸な事故を減らしたい意図は分かるけど、なんと一般道の71%が当てはまるという。弊害はないのだろうか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トビラ写真=Masaharu Shirosuna@Adobestock)
■これまでは時速60kmが制限速度だった
警察庁が道交法を見直して、いわゆる生活道路の制限速度を時速60kmから30kmに引き下げる検討を始めた。現在は意見を募集している段階だが、今年夏には施行令を改正し、再来年の2026年には施行となる予定だ。
該当するのは、中央線や中央分離帯のない5.5m未満の国道・市町村道。驚くことに全国に87万kmもあって、一般道の71%を占めるそうだ。一般道の7割が時速30kmになると聞くと、ちょっとびっくりだ。
こうした流れは以前からあり、今から13年前の2011年度の交通白書にも、「生活道路の最高速度規制の取り組みについて」というページがある。
その根底にあるのは、歩行者の事故を減らそうという考えだが、コロナ禍からの立ち直りを受けて社会活動が活発化した昨今、歩行者の事故が再び増加傾向にある点が、今回の道交法見直しに繋がったようだ。
全国の生活道路ではすでに「ゾーン30」という施策が進んでいる。これは生活道路における歩行者などの安全を確保することを狙い、道路単位ではなく一定の区域全体で最高速度を時速30kmに抑制するものだ。
こうした最高速度の抑制は多くの人の支持を得られると思うが、傍若無人に振る舞う自転車への対応は課題として残るし、狭い道でも運用可能な可搬式オービスの導入などが進むとしたらあまり喜べない。安全を第一に、現実に即した法整備を期待したい。
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