【アライ ツアークロスV インプレ】総合性能に優れたバイザー付きモデル、スタイル変更もイージーだ

【アライ ツアークロスV インプレ】総合性能に優れたバイザー付きモデル、スタイル変更もイージーだ

 ツアークロスVは、アウターバイザー(ひさし)とシールドを備えたクロスオーバーヘルメット。工具不要でバイザーを着脱でき、アドベンチャーモデルにもオンロードモデルにも似合う。その実力をチェックしてみた。

 
文/沼尾宏明 Webikeプラス
 

各部に最新機能を採用、3スタイルにチェンジできる

 日射しや泥を遮るバイザーを備え、ゴーグルを併用するのがオフロード系ヘルメット。これにシールドを採用することで、オンロードとオフに対応したモデルがクロスオーバー系ヘルメットだ。

 アライのツアークロスVは、通常のひさし付きクロスオーバー系に加え、ひさしを外したオンロード系、シールドを外したオフ系の3スタイルが楽しめるのが魅力。発売されたのは2023年で、前作のツアークロス3から実に11年ぶりの全面刷新となった。

 

ツアークロスV

ツアークロスV(アライヘルメット)。最新のスーパーファイバーと新開発樹脂で造り上げたPB-cLc2帽体を採用する。ピンロックシートはオプション設定(3080円)。



 ・価格:6万9300 円~
 ・サイズ:54cm、55-56cm、57-58cm、59-60cm、61-62cm
 ・規格:スネル、JIS
 ・メーカーサイト:
https://www.arai.co.jp/jpn/offtrial/tx-v_top.html

 まず特筆すべきは帽体。ツアークロス3はゴーグルを取り付けるオフ系メットがベースだったため、チンガードなどが突き出した形状だったが、本作では通常のフルフェイスのような曲面フォルムとなった。

 加えて、2軸構造のVASシステムによってシールドベースの位置を下げ、衝撃をかわす帽体面積を拡大。より丸く滑らかな卵型のフォルムにすることで安全性を向上している。

 また、ひさしやシールドをカンタンに外せるのもポイント。従来型はこれらを着脱する際、左右各2本のネジを外す必要があり、ひさしナシのスタイルにするためには別売のホルダーを装着する必要があった。しかし本作ではボタン一つで着脱でき、ホルダーも不要に。おかげでスタイル変更がよりイージーになっているのだ。

 

丸みを帯びた帽体と口元のエアダクトが特徴的。アイポートの上下も広い。

 

 

バイザーは角度調整が可能。可動範囲は広く、最も上げた状態と下げた状態でかなり角度が変わる。チンガードは前方に伸びているため、口元のスペースが広く、ハードな走りでも息苦しさを感じにくい。サイドはインカムを装着しやすい帽体形状としている。

 

 

後頭部には高速域で乱流を抑えるスポイラーを装備。頭部の熱気を負圧で引き出す排気ダクトの役割を兼ね、ゴーグル装着時はバンドストッパーとしても機能する。ダクトは3段階調整が可能。

 

アストロGXで好評だったフロントロゴダクトを採用(写真はバイザーを外した状態)。ロゴ上部のスイッチを下げるとオープンとなり、様々なライディングポジションで効果を発揮できるよう設計された。

 

バイザーにはワイドな通風口があり、高速走行時のブレを抑える。頭頂部には高さを抑え、かわす性能を向上させるコンパクトな吸気ダクトを設置。スイッチは、万一の際も壊れにくく操作感が良好なスライド式だ。

 

口元には3段階調整式のエアダクトを装備。開口部面積はツアークロス3の2倍で、シャッターサイド部のメッシュパーツを廃止することで軽量化にも貢献している。アゴ下には風の巻き込みを軽減し、整流効果を発揮する引き出し式のエアロフラップを採用。

 

ゴーグルの使用も想定した大型の専用ノーズディフレクターを採用。シールド内側に直接呼気がかかることを防いで曇りを軽減させるほか、ダクトから導入した空気を口元とシールド方向にコントロールする。着脱も可能だ。

 

ひさしは左右の樹脂製ネジをコインで回すだけで着脱可能。コインは500円硬貨が推奨されている。

 

 

 

バイザーを外したオンロード系スタイル。ストリートファイターやモタードに似合うデザインだ。

 

 

シールドを外したオフ系スタイル。従来はアイポート上部に吸気ダクトのインナーダクトを備えていたが、これを廃止。開口部が広くなったため、ゴーグル装着時に干渉しにくくなった。

 

 
 
 

開放感があり、直進安定性&換気効果も優秀

 被ってみて、まず実感したのは視野の広さ。アイポート上下が広がり、とても視界がいい。口元のスペースも広いことも手伝って、開放感がある被り心地だ。

 筆者はSHOEIなど他社製品ではLを被っている。アライは59-60cm(L相当)だと、こめかみから上が痛くなりがちな頭部形状のため、61-62cm(XL相当)でテスト。前後方向にやや緩いものの、全体的に頭部を包み、特に頬部は下から面で全体をキッチリ包む感じがいい。

 重さは実測1720g。バイザーの分、当然フルフェイスより重くなるが、この数値より着用感は軽快だ。重量バランスもいいため、疲れにくい。

 特に印象的だったのは換気性能だ。ひさしがあると額のダクトに走行風が導入されにくいが、ロゴダクトと頭頂部のダクトが前後に設置されているため、しっかり換気できている印象。

 口元にはアゴ下から適度に風が流れ込み、涼しい。アゴ下にあるエアロフラップを引き出すと風が減ったのが体感でき、変わりやすい気温にもすぐ対応できる。

 空力性能もバイザー付きモデルとしては優秀だ。通風口のあるバイザーや、リアスポイラーにより100km/hでも直進安定性は抜群。過去にツアークロス3をテストしたが、直進時では確実にバイザーが走行風に煽られにくくなっている。また、日射しなどに応じてバイザーを自由に可動できるのも便利だ。

 バイザー付きモデルは一般的に風切り音が大きくなる。本作でも100km/h超では風切り音がかなり発生するが、不快なレベルではない。ちなみにアップライトなバイクではひさしを下げた方が風切り音が静かになった。

 

メガネのツルはスムーズに出し入れでき、圧迫感もなかった。

 

 

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内装はアゴ紐カバーを含めフル着脱式。エコピュアー生地を採用し、抗菌、消臭、防汚機能を併せ持つ。側頭部と頬部、後頭部の厚みが調整可能だ。

 

 

インカムのスピーカースペースは深さがあり、厚みのあるスピーカーでも耳に当たりにくい。RX-7Xやラパイドネオなどは頬パッドのカバー内側にスピーカーをセットし、窪みも浅かったが、ツアークロスVではハメ込むだけでだけでOK。

 

バイザーを外したオンロードスタイルは高速走行が得意

 続いてバイザーを外したオンロードスタイルでもテストしてみた。

 

バイザーを外した状態では実測1613g。着用感も見た目も軽快だ。

 

 100km走行時では風切り音が大幅に減り、帽体の安定感も高まる。また、ロゴダクトから空気が流れ込んでくることが感じられ、換気性能も一段とアップ。高速走行を長時間走る際、バイクの積載性に余裕があるなら途中でバイザーを外すのも手だろう。そして何よりスタイルがいい。筆者はモタード系のバイクが愛車のため、実によく似合う。普段使いに欲しいと思ってしまった。

[まとめ]基本性能が高い上に、これ一つで様々なバイクに似合う

 バイザー付きのクロスオーバーヘルメットとしての総合性能が高いツアークロスV。アドベンチャーモデルに最適なスタイルなのはもちろん、バイザーを外せばモタードやストリートファイターにも似合い、様々な車種に対応できる。

 このスタイルチェンジのしやすさも特徴だ。ジャンルの違うバイクを所有している人は、その気になれば、本作一つで対応することも可能。バイザー付きとしては巡航性能が高いため、アドベンチャーモデルで高速道路をよく走る人を筆頭に、多彩なモデルにもフィットするヘルメットだ。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/parts-gears/380332/

【アライ ツアークロスV インプレ】総合性能に優れたバイザー付きモデル、スタイル変更もイージーだ【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=380332

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