日野自動車は、2025年1月3日〜17日にかけてサウジアラビアで開催予定のダカール・ラリー2025に、レーシングチーム「日野チームスガワラ」の参戦を表明した。ダカール2025に向けた参戦体制はどうなるのか?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/日野自動車
ダカール2025へ向けた参戦体制
1991年に当時のパリ・ダカール・ラリーのカミオンクラスに日本のトラックメーカーとして初参戦した日野自動車は、サウジアラビア開催となった現在のダカール・ラリーに至るまで連続出場を続けている。
今年挑戦したダカール・ラリー2024では、トラック部門の全46台中6位と大きく躍進し、初参戦以来更新が続く連続完走も33回を達成した。
その躍進の裏では、第2ステージでトランスファーに内蔵されている副変速機のハイギアが故障するトラブルに見舞われ、セミマラソンステージの第3、第4ステージにかけてはオートマチックトランスミッションのクラッチに滑りとロックアップが遅れる症状が発生。
また大会運営が新しい試みとして設定した、険しい砂丘郡を2日間に渡って走りきる「48hクロノ」では、燃料噴射系の配管に折損が見つかり、ガス欠状態でストップするという最大のピンチも経験した。
これらを受けて2025年大会参戦車両は、ハイブリッドシステムを撤廃した2024年大会のHINO600シリーズをベースに、エンジン周りの配管経路や部品剛性の見直し、オートマチックトランスミッションのクラッチ板の強化など、信頼性を高める改良を実施。
また整備体制では、トランスファーやサスペンションといった部品を使用状況の予測に基づいた交換サイクルを設定し予防整備を徹底、さらに人数と時間を要する整備が重ならないようにする体制の見直しも図る。
いっぽう、レース活動を通じ日野自動車のメカニックの育成とモチベーション向上を図る試みとして続けている、販売会社メカニックを登用する選考会を7月に実施。
今年は公募から選抜された青森日野自動車の柏谷壮一郎(かしわや そういちろう)、南関東日野自動車の邵相権(しょう そうけん)、長野日野自動車の上原智史(うえはら ちふみ)の3名がチームに帯同することが決定した。
また、日野の社員がメカニックとしてダカール・ラリーへの参加を目指す試みとして、今回社内より選抜された4名が参戦車両の製作に参加している。
2025年大会は、中東サウジアラビア1国開催となって6度目を迎える。正式ルートの発表はまだ未定だが、2日間サービスチームなしで砂漠に取り残されるマラソンステージ「48hクロノ」は今回も設定される見込みで、タフなレース展開が予想される。
整備体制の見直しと信頼性を高めたマシンで、大排気量エンジンを擁する強豪チームにどの程度肉薄できるか。日野チームスガワラの躍進に期待したい。
チーム代表と販社メカニックのコメント
■チーム代表・ドライバー 菅原照仁
2024年大会で日野自動車として33大会連続完走&総合6位を達成できたのも、協賛会社の皆様を筆頭に、多くのサポートをいただいたお陰です。チームを代表し、改めまして御礼申し上げます。我々を取り巻く環境は、依然として厳しい状況が続きますが、より速く信頼性の高い車、より強いチームを目指し、チーム一丸となって準備を進めてまいります。参戦に至る、日野チームスガワラの活動にもぜひご注目ください。
■メカニック 青森日野自動車 柏谷壮一郎さん
入社当初ダカール・ラリーの存在を知り、いつかはこの舞台に立ちたいと強い想いがありチャレンジしました。正直今回の結果に驚いています。販売会社代表としてプレッシャーも感じていますが、自分の今まで培ってきた知識・技術を発揮し連続完走、上位入賞に貢献できるよう頑張りたいです。
■メカニック 南関東日野自動車 邵相権さん
この度ダカール・ラリーのメカニックに選ばれたことを光栄に思います。チーム一丸となってレースを完走させ最高の結果を残したいです。これからの半年間、これまで経験したことのないとても貴重で有意義な時間になると思います。ダカール・ラリーを通じて得た知識と経験を今後の仕事に活かし、会社に貢献できるよう沢山のことを吸収して帰ってきたいと思います。
■メカニック 長野日野自動車 上原智史さん
今回、かねてからの目標だった、ダカール・ラリーメカニックに選出していただきまして、とても光栄に思います。応援してくれる、会社の皆様、家族、一緒に選考会を戦った仲間への感謝を忘れず、チームに貢献できるように頑張ります。