伝統の直列4気筒エンジンを積む、最強ネイキッドCB1300SF

伝統の直列4気筒エンジンを積む、最強ネイキッドCB1300SF

 CB1300SFは、登場から20年以上が経過しても色褪せることないセールスを続ける稀有な存在だ。現在販売されているモデルは2代目となるSC54型だが、CB1000SF、SC40型とキープコンセプトのままモデルチェンジを重ねることでその地位を不動のものとした。

 
文/後藤秀之 Webikeプラス編集
 

ホンダのトップモデルとしての定めを背負い、進化を続けたCB

 ホンダにおける「CB」とは、メーカーを代表するスポーツバイクに与えられる名前であり、1980年代までは常に前だけを見て進化をづけた。ただ、バイクのジャンルの多様化と、ユーザーが求めるバイクの中で徐々に枝分かれしていく。

 1960年代、SOHCの直列4気筒エンジンを搭載し、時速200km/hというスピードの壁を破った「ドリームCB750Four」は、「CB」という名前を世界最高峰のバイクの中の一台に加えた。続いて1970年代にはエンジンをDOHC化し、排気量も最終的に1100ccまでアップすることになるCB750/900Fシリーズへと進化し、フルカウルを纏ったCB1100Rもラインナップされている。

 

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ドリームCB750Fourは当時のホンダの技術の粋を集めた超高性能モデルであり、世界中に輸出されて大ヒットした。

 

 

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CB750FはレーシングマシンRCB譲りのDOHC4バルブエンジンを搭載し、900、1100といったより排気量の大きい輸出専用モデルも存在する。

 

 1980年代、レースにおいてはV型エンジンの開発が進み、CBと並んでVFシリーズをラインナップ。CBはコンパクト化された空冷DOHCエンジンを積むCBX750Fに加えて、新しい水冷エンジンを積むCBR750/1000F系へと枝分かれを始める。「スーパーエアロ」コンセプトを掲げたCBR系はトップスピードや高速安定性を追求した今で言うスポーツツアラーであり、サーキットで活躍するようなバイクではなかった。ただ、この水冷DOHC4気筒エンジンはカムギアトレーン(残念ながら750ccのみではあるが…)を採用するなど、ホンダらしい当時の最先端技術を詰め込んだモデルであった。

 

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CBX750Fはコンパクト化された完全新設計の空冷DOHC4バルブエンジンを搭載し、ハーフフェアリングを装備した新時代のスポーツモデルとして1983年に登場。このエンジンは1992年に発売されたCB750に受け継がれ、2008年まで使われている。

 

 

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1987年に水冷化されたDOHC4バルブエンジンを搭載して登場したのが、CBR750スーパーエアロだ。当時流行していたエアロフォルムを纏い、そのカウルはエンジンやフレームなどを隠している。

 

 
 
 

ネイキッドバイクブームは、原点に戻った新しいCBを生み出した

 1980年代はカウル付きバイクが一気に増えてバイクブームが加熱し、250〜400ccを中心としたレーサーレプリカが爆発的に販売を伸ばした。そんな1980年代が終わりを告げる1989年、レーサーレプリカブーム一石を投じるバイクが発売される。カワサキ ゼファー、スズキ バンディット、そしてホンダ CB-1という後の「ネイキッド」カテゴリーの始祖となる3台のカウルレスバイクである。それぞれコンセプトの異なる3台のカウルレスモデルの中で、最も人気を博すことになったのはZ1由来のクラシックスタイルを持つゼファーであった。

 CB-1で模索した新しいスタンダードバイクのスタイルではあったが、ホンダの中でも過去のCB系モデルのスタイルを現代の技術で復活させるというプロジェクトが始まっていた。「PROJECT BIG-1」と名付けられたそのプロジェクトは、1992年に1台のバイクを世に送り出した。CBR1000F系のベースのエンジンを鋼管ダブルクレードルフレームに搭載し、ツインショックタイプのリアサスペンション、そして過去のCBシリーズのエッセンスを各部に纏ったデザインを持つそのバイクはには「CB1000SF(スーパーフォー)」という名前が与えられた。

 CB1000SFは現在のバイクカテゴリーで言えば、「ネオクラシックスタイルのネイキッドバイク」ということになるのだろうか。スペックを追い求めてCB、CBX、CBRと進化してきたCBの血統だったが、原点に近い形の現代的ネイキッドモデルとして「CB」というネーミングを復活させたのである。さらに1992年にはスーパースポーツCBR900RRファイヤーブレード、1996年にはCBR1000XXスーパーブラックバードがラインナップされ、「CB」の血族は再びホンダのメインストリームとなったのである。

 

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「PROJECT BIG-1」の第一弾モデルとして登場したのがCB1000SF。前後18インチサイズのホイールを採用し、過去のCBシリーズを彷彿させるカラーリングやタンク形状などがデザインに盛り込まれている。

 

クラストップの排気量1300ccを得て、ネイキッドの王となる

 CB1000SFは好調な販売を続けていたが、エンジンの基本設計自体に古さが見え始め、1100ccや1200ccという排気量を持つライバル車たちによる排気量マウントにも対抗する必要性に迫られた。ホンダは発売から10年以上人気を保ち続けていたヤマハのV-MAXをターゲットにしたX4を1997年に発売。このX4には1300ccのDOHC直列4気筒エンジンが搭載された。このX4のエンジンをベースに、「PROJECT BIG-1」コンセプトを引きづく新しいCB、型式名称SC40型の「CB1300SF」が1997年の東京モーターショーで発表された。

 

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1997年に発売されたX4は、ドラッグマシンをイメージさせるロング&ローデザインを採用。エンジンは新設計の水冷DOHC4バルブ1300ccで、CB1300SFのエンジンのベースとなる。

 

 

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CB1300SFはCB1000SFのコンセプトをキープしつつ、排気量をネイキッドモデル最大となる1300ccとしたエンジンを搭載。リアのダブルプロリンクサスペンションや、17インチホイールを採用している。

 

 このCB1300SFはCB1000SFとデザインに的には近似しているが、エンジンから車体までそのほとんどが新設計となっている。エンジンは先述した通りX4に最初に搭載たれたものがベースだが、キャブレターやエキゾーストシステム点火時期などを変更。また、ライバルモデルの中で最も新しい基本設計のエンジンを搭載しており、最高出力は規制値一杯の100PS/7500rpm、最大トルク12.2kg-m/5000rpmというスペックは、当時のネイキッドモデルとしては最強クラスのものが与えられていた。また、CB1000SFではウォータージャケットそのままであったシリンダー周りに、空冷エンジン風の放熱フィンが設けられたこともSC40型の特徴となっている。

 

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CB1300SFのイメージスケッチ。個性的なデザインのサイドカバーや、フィン付きのシリンダー、ダブルプロリンクサスペンションのロッドなど特徴的なパーツが確認できる。

 

 

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メインカラーとなるパールフェイドレスホワイト/キャンディブレイジングレッド。

 

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シンプルさが逆にスタイリングを際立たせる、フォースシルバーメタリック。

 

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シンプルながらインパクトのあるキャンディブレイズオレンジ。

 

 

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190サイズのタイヤと、左右2本出しタイプのサイレンサーが迫力を演出し、力強さを感じさせるリアビューになっている。

 

 

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総排気量1284ccの直列4気筒DOHC4バルブエンジンは、規制によって100PSに最高出力が抑えられているが、そのポテンシャルはそれ以上。また、放熱フィンが入るのはこの世代のモデルだけとなる。

 

 車体も新設計であり、CB1000SFでは18インチであったホイールサイズは主流の17インチへと変更された。リアサスペンションにはプロリンクサスペンションをツインショック化したダブルプロリンクサスペンションを採用し、作動性を大幅に向上させると共にアクスルストロークの荷重変化のスムーズ化を実現している。フレームはX4で採用されたバックボーンタイプのダブルクレードルタイプで、CB1000SFのディメンションをベースにヘッドパイプの位置の変更などを行なうことで旋回性能や低速での取り回し性能を向上させている。

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シンプルな丸目一灯タイプのヘッドライトと、シャープなデザインのヘッドライトステーやメーターケースがCBらしいフェイスを生み出している。

 

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スピードとタコの2眼タイプのメーターは視認性が良く、ブラックの文字盤を採用することでスポーティかつ落ち着いた雰囲気のコクピットを作り出している。

 

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前方が大きく張り出し、赤と白のツートンでペイントされるタンクは、空冷CBの象徴とも言えるCB1100Rをイメージさせる。

 

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サイドカバーに入る車名のエンブレムは、高級感のある立体タイプ。パールフェイドレスホワイト/キャンディブレイジングレッドは、サイドカバーが艶消しのガンメタリックとなる。

 

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角ばったデザインのテールカウルは、F系とはまた一味違うデザインに仕上げられている。

 

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アルミ製のステップのブラケットは、リアのダブルプロリンクサスペンションのロッドの受けも兼ねている。ステップの位置はCB1000SFよりも若干後退している。

 

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