現在はバスやトラックなどの働くクルマを専門的に開発・生産しているいすゞ自動車だが、日本国外向けにはピックアップトラックを含めたモデルをリリースしている。そんないすゞのSUVの代表格とも言えるのが、1981年に初代モデルが登場したビッグホーンだろう。
文/小鮒康一:写真/いすゞ
■日本のSUVの草分け的存在の初代ビッグホーン
初代ビッグホーンは登場時の正式名称がロデオ・ビッグホーンであったことからも分かるように、4WDピックアップトラックであるファスターロデオのシャシーを使用し、ワゴンタイプのボディを載せたものとなっていた。
のちに登場するパジェロやハイラックスサーフ、テラノといったピックアップトラックベースのSUVの元祖とも言えるものだった。
ただ当初はバンモデルのみのラインナップで、エンジンも117クーペに搭載されていたものと同じかつ、トランスミッションが4速MTと前時代的なもので、動力性能的に非常に物足りないものとなっていた。
その後は乗用モデルの追加やディーゼルターボモデルの追加、トランスミッションの5速化、パワーステアリングの装着など近代化がなされ、1987年には角型ヘッドライトを備えるフェイスリフトを実施。
さらに1987年10月にはイルムシャーチューンのサスペンションやレカロシート、MOMOステアリングなどを装着したイルムシャーが追加されるなど、徐々に改良を重ね続けていったのだった。
そんな初代ビッグホーンは、年数を経るごとにより快適に、より豪華に進化していったのだが、デザイン的には初期の丸型ヘッドライトとナローボディだった時代のものが非常に秀逸だった。
角ばったキャビンとシンプルなフロントマスクの組み合わせは飽きの来ないもので、当時はレンジローバーとの類似性が指摘されるほどだった。
しかし当然レンジローバーのような高級感溢れるものではなく、無骨なピックアップトラックベースのモデルであることは明白であったため、レンジローバーの代用品として購入するユーザーは皆無に近かったことは留意すべき点だろう。
もちろん快適性なども現代のSUVに比べるとかなり劣るため、デザインだけで購入することはオススメできないが、レトロ風な意匠を纏ったカスタムカーが人気の今こそ、本当のレトロを感じたい人にはぜひ乗って苦労を歓びに変えていただきたいところだ。
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