【新型カローラ発売でプレミオ終売へ!!】コロナから60年 なぜ伝統セダンは消滅するのか

【新型カローラ発売でプレミオ終売へ!!】コロナから60年 なぜ伝統セダンは消滅するのか

 新型カローラ発売の影でトヨタ伝統のセダンが消滅へ。

 2019年9月17日、5ナンバー枠を超えた新型カローラとカローラツーリングが発売。これにより、コロナの伝統を受け継ぐプレミオ/アリオンの廃止が、ほぼ確実となりました。

 プレミオ/アリオンは、1957年に発売されたコロナから数えて62年の歴史を持つ伝統のセダン。トヨタのなかでも随一の長い伝統を持つモデルが、新型カローラの発売によってなぜ消滅に向かうのでしょうか?

 元レクサスディーラーの営業マンでもある筆者が、販売店の動向も含めて解説します。

文:佐々木亘
写真:編集部、TOYOTA

【画像ギャラリー】伝統はここから始まった!! コロナ&プレミオ/アリオンの系譜


コロナは“カローラより上位”の中核セダン

写真は1964年発売のトヨペット・コロナ(3代目)。この2年後にカローラが“コロナより下位の大衆セダン”という位置づけで誕生した

 1957年のデビューから、トヨタのセダンラインナップの中核を担ってきた「コロナ」は、クラウンとともに日本の自動車文化を引っ張っていた存在でした。

 日産(ダットサン)ブルーバードと常にライバル関係にあり、のちに登場するカローラやカリーナなどの「トヨタの小型乗用セダン」の祖先のような存在です。

 カローラはコロナの登場から9年後の1966年に誕生します。コロナより小型で、大衆向けに経済性とデラックス感を兼ね備えた、セダンのベースモデルとしての位置づけでした。

 その後1970年に、コロナとほぼ同サイズのセダン「カリーナ」が登場し、スポーツイメージのカリーナと、落ち着いた雰囲気のコロナの姉妹車種関係となりました。

 長らく続いた「コロナ」でしたが、空前のミニバンブームによるセダン衰退のため、車名変更によるイメージ変更を余儀なくされます。

現行型プレミオ。2001年に「コロナプレミオ」の後を受け、初代プレミオが誕生。現行型は2007年に登場した2代目モデルとなっている

 そして2001年、コロナの後継として「ラグジュアリー」をコンセプトとした「プレミオ」、カリーナの後継として「スポーティ」をコンセプトとした「アリオン」が登場し、約半世紀続いたコロナのペットネームが消滅します。

 5ナンバーセダンとしては長い2700mmのホイールベースを備えるプレミオ・アリオンは、5ナンバー枠を感じさせない、車室内の広さが際立ちました。

 特に、後部座席足元の空間が広く作られ、ワンサイズ上のカムリと、同程度の居住性を確保しています。

なぜ消滅へ? プレミオ/アリオンが消えゆく2つの理由

現行型アリオン。全長4590×全幅1695×全高1475mmと5ナンバーサイズを守る。2007年の発売から9年目の2016年に登場した改良型(写真)でデザインが変更された

 これには2つの原因があると思います。

 1つ目は、「販売は3ナンバーが中心であった」ということです。

 2018年のトヨタ車種別販売台数をみると、セダンタイプでプリウスが11万5000台、カローラが8万9000台、クラウンが5万台、カムリが1万1000台となっており、1万1000台のプレミオはその次にランクインします。

 これは、セダン全体の人気の下降から、選択肢が少なくなっているなか、「5ナンバーセダン」にこだわってクルマを選ぶユーザーが、かなり少なくなっているためです。

 もともと、大型車種を多く扱うトヨタ店とトヨペット店で専売されていたアリオンとプレミオは、クラウンやカムリ、マークXというセダンの王道を行く車種では大きすぎる、プリウスのようなハイブリッド車もいらない、質感の高い手ごろで良いクルマが欲しいというユーザーのニーズに合わせて作られていました。

 しかし、昨今、3ナンバーは排気量もボディも大きいという、一昔前のイメージがなくなり、3ナンバーでも小排気量で取り回しの良い車が増えたことから、3ナンバーだから、5ナンバーという括りが、車選びに反映されにくくなっているのです。

 2つ目が、トヨタ販売店での全車種取り扱いの影響です。

 他メーカーに比べると、トヨタは車種展開が非常に多く、全店での全車種取り扱いによって、車種の整理は必須課題となります。

 小型車が得意なネッツ店、カローラ店の人気車種が、トヨタ店とトヨペット店でも取り扱われることにより、トヨタ店やトヨペット店にいるダウンサイジングを望むユーザーや、小さめの車を求めるユーザーが流出するリスクも少なくなります。

 小型セダンを求めるユーザーに対して、実質的には、新型カローラがアリオン・プレミオの代わりを担う格好となるため、消えてしまっても問題はないというのが大勢の意見ですが、そうとも言えないのが、販売現場なのです。

次ページは : 販売現場から懸念の声もトヨタは消滅を決意

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