【バス運転士不足問題】シニアの求人は西高東低だと? 手遅れにならないうちに対策を!!

【バス運転士不足問題】シニアの求人は西高東低だと? 手遅れにならないうちに対策を!!

 シニア転職支援のシニアジョブは、シニア専門求人メディア「シニアジョブ」に掲載されたドライバーの求人のうち、2024年9月19日時点での傾向調査結果を発表した。関東よりも九州の求人数が多い特徴が見られたという。バスに軸足を置きながら詳細を見てみよう。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■シニア向けドライバー求人の傾向は西高東低か?

九州の求人が多い?
九州の求人が多い?

 特にタクシードライバーの求人では、関東の15.5%に対して九州・沖縄では60.7%と桁違いに多く、バス運転手・バス乗務員でも関東が9.1%、九州・沖縄が41.4%になっている。「九州では飲み会のためにタクシーの利用が多い」という話があるというものの、ドライバーの求人が九州で多い正確な理由までは不明とのこと。

 ただし、シニア向け求人全般でも関西よりも九州・沖縄の求人件数が多いため、ドライバーに限らない傾向である可能性もあるとしている。

 記者の考察としては、九州はバス王国として知られているが、鉄道を補完するのみならず並行して挑む路線も高速バスに限らず路線バスでも多いため、バス依存は他地域の比ではなく第一選択肢としてのバスが距離にかかわらず普通の移動手段になっていることもバス運転士の需要が多い要因だと考える。

■ドライバー・運送の求人割合

運輸業界としてはバス運転士の求人割合は低いが全国的に足らないのは事実
運輸業界としてはバス運転士の求人割合は低いが全国的に足らないのは事実

 運輸業界の職種別の割合は上位から、セールスドライバー・配送・宅配 27.6%、運送ドライバー(中・長距離) 11.1%、トレーラー(牽引)ドライバー 0.6%、ダンプドライバー 2%、タクシードライバー 18.1%、役員運転手 3.2%、送迎ドライバー 8.5%、収集運搬ドライバー 4.5%、回送ドライバー 3.6%、新聞配達・集金 1.5%、バス運転手・バス乗務員 7.5%、電車運転士・車掌・機関士・航海士 0.2%、構内倉庫作業・倉庫管理 9.8%、運行管理 3.2%、運送現場作業員 1.4%であった。

 エリア別の割合は、北海道・東北 4.9%、関東 22.8%、北陸・甲信越 6.9%、東海 7.9%、関西 14.2%、中国 4.1%、四国 4.8%、九州・沖縄 34.5%となっており、確かに九州での求人が突出して多いことがわかる。

■バスだけを見てみると…

高齢化もやむなしの求人状況?
高齢化もやむなしの求人状況?

 バス運転手・バス乗務員の求人全99件(平均年収425万円)だけで内訳をみてみると、エリア別では北海道・東北 6.1%、関東 9.1%、北陸・甲信越 4%、東海 16.2%、関西 10.1%、中国 5.1%、四国 8.1%、九州・沖縄 41.4%で、九州のバス運転士が圧倒的に不足している現状が見て取れる。

 また特定の条件下での求人にスポットを当てると、60代歓迎 20.2%、70代以上歓迎 9.1%、定年なし 48.5%、経験不問 60.6%、女性活躍中 18.2%となっており、働ける年齢を高齢側にシフトしないと需要を満たせない現状も垣間見える。

■受け皿はもうない!

早く手を打たないと手遅れに!
早く手を打たないと手遅れに!

 バス運転士不足の影響でバス事業者は路線廃止や減便を行っているのが現状だ。運賃を値上げしてもすぐに運転士の待遇が改善することはなく、新たな運転士はもちろんだが既存の運転士も離職すれば足らないのは当然だ。

 今までは赤字を回避するために自治体からの補助金を充てたり、それでもダメな場合はコミュニティバスに移管して自治体の計算で運行するということをやってきた。しかし、物理的に運転士が足らなくなった現在では、コミュニティバスに移管しても運転士は必要なので、コミュニティバスですも赤字理由ではなく運行不能により廃止に追い込まれているので、もう路線バス廃止後の受け皿は自家用車以外にないのだ。

 自治体が公営交通(市バス等)を持っていても独立採算制のため赤字を垂れ流すわけにもいかず、公務員といえどもコミュニティバスを無条件で引き受けるケースは多くない。実際に住民がコミュニティバスの運行を要望しても市バスがあるにも関わらず市の回答としてそのつもりがないことを明言している大都市すらある。

公営交通ではない別の役所内運行組織を立ち上げ、赤字承諾の上で一般会計の中で公務員たる運転士が住民の足を確保すれば、待遇の良い公務員ということで運転士は集まるのかもしれない。

 しかし運賃を民営並みに設定しても永遠に赤字だろう事業を議会が手放しで許すとは思えず実現には至っていない。かといって国が一時的でもテコ入れをする様子も見られず、成り行き任せなのが現在のバス事業なのだ。民間企業なので仕方がないと言われればそれまでだ。

 しかし過去に不良債権でつぶれかけた銀行は公的資金を注入して守るのに、バス事業者は手当てしないのは財務省と国土交通省の力関係や財布事情という声も一部にはあるが、重要なインフラには違いないので手遅れにならないうちに考えてほしいものである。

 「乗って応援」というフェーズは過ぎてしまったのかもしれないが、自分たちの足を守るために沿線住民ができることは、ささやかながらこれくらいしかないのも事実なのだ。短いだろう秋の行楽シーズンはバスに乗って出かけてみよう。

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