経年劣化で塗装が剥がれたブレーキキャリパーやマスターシリンダーを簡易的なボロ隠しのつもりでラッカースプレーなどでシューッとペイントして、かえってひどい見た目になってがっかり……という経験をしたサンデーメカニックは少なくないはず。ブレーキフルードには塗装を傷める性質があるため、ペイント面に付着したら速やかに水で洗い流さなくてはなりません。ではボロボロのキャリパーをリフレッシュするにはどうすれば良いのか? 確実な仕上がりを期待するなら「ガンコート」一択といって過言ではありません。
ラッカースプレーはもちろんウレタン塗装も簡単に溶かすブレーキフルード
バイクや自動車のディスクブレーキ(自動車ではドラムブレーキもあります)に使用しているブレーキフルードが塗装にダメージを与えることは、DIYでバイクの整備を行うライダーの多くが知っているはず。ブレーキフルードを交換する際にマスターシリンダーのリザーバータンクから飛び出したフルードがガソリンタンクに付着したことに気づかず、いつの間にかシミが付いたり、さらにひどい場合は塗装が剥離してショックを受けたという人もいるかもしれません。
そもそもブレーキフルードが塗装にダメージを与えるのは、主成分であるグリコールエーテルやポリアルキレングリコールと塗装の相性が悪いからです。これらは200℃以上の高温でも沸騰や酸化をしづらく低粘度で流動性が高い点で、油圧ブレーキや油圧クラッチの作動油として最適な性質を持っていますが、一方で極性が強いため塗膜に存在する微細な隙間に浸透しやすい性質もあります。
ただ塗装を傷めるのは多数派のDOT3やDOT4など「グリコール系」と呼ばれるフルードで、少数派である「シリコン系」のDOT5にはそれほどの攻撃性はありません。それならDOT3やDOT4のフルードを使用するブレーキにDOT5のフルードを入れれば良い気もしますが、グリコール系とシリコン系ではピストンシールやダストシールに使われているゴムの性質が異なり互換性がないため入れ替えることはできません。
塗装面に付着したグリコール系ブレーキフルードが塗膜の隙間に浸透すると、塗料のベースである樹脂分子の間に入り込み膨潤させます。剥離剤を塗布すると塗装面が縮れてシワシワになり浮き上がりますが、ブレーキフルードにも同じような機能があるのです。
そのため、一般的に外装パーツの塗装に使われているウレタン塗料やラッカー塗料に付着した際は、塗膜に浸透する前に流水で洗い流さなくてはなりません。水に濡らした雑巾や乾いたウエスでは、一見すると拭き取れたようでもかえって塗り広げる結果になりかねないので、水で流すことが重要です。
ガンコートはブレーキフルードでも剥離されない機能性塗料

愛知県東海市のカーベックはガンコートを製造するKG社の正規総代理店で、70色ものカラーバリエーションを在庫しており、ネットショップ経由ですぐに購入できる。容量は500cc、1000cc、1ガロンの3サイズで、価格は色によって異なる。
カウルやガソリンタンクにブレーキフルードが付着すると塗装が剥がれるのに、ブレーキキャリパーやマスターシリンダーに付着しても簡単には剥がれないのは、ブレーキ周りで使用している塗料はラッカーやウレタンとは性質が異なるためです。
市販車に装着されているブレーキパーツの多くは、高温で焼き付けて硬化させるエポキシ樹脂やポリエステル樹脂を用いた塗料で塗装されています。これらの樹脂はブレーキフルードの成分であるグリコールエーテルやポリアルキレングリコールに対して耐性が強いため、簡単に膨潤したり剥離することはありません。
これは化学的な特性、塗料の設計によるものなので、ラッカーやウレタン塗料を高温で焼付乾燥してもブレーキフルードに対する耐性は得られません。それどころか200℃近い高温に晒せば、樹脂が劣化してしまいます。
そんなブレーキ用塗装も、経年劣化によって剥離しはじめるとボロボロになってしまうことがあります。ラッカーやウレタン塗料で再塗装しても、ブレーキフルードが付着すれば簡単に剥がれてしまいます。
このような場面で最も頼りになるのが機能性塗料のガンコートです。
銃弾や砲弾を発射する際に非常に高温になる銃火器をコーティングする目的で開発されたガンコートには「放熱性の高さ」「表面硬度の高さ」「耐薬品性の高さ」という特長があります。
このうち耐薬品性の高さについては、ガソリンやシンナー、有機溶媒のイソプロピルアルコール、さらにアセトンやブレーキフルードに浸しても塗膜が変化しない性能を持っています。これは、そうした特性が得られるよう設計されたガンコートだからこそ実現できる性能です。
同様の性能を持つ塗料は他にもあるかもしれませんが、ガンコート正規総代理店のカーベックは常に70色近くのカラーバリエーションを在庫しており、同社のネットショップから簡単に入手できるというメリットもあります。
サンドブラストした部品に直接ペイントできる
塗装の仕上がりの良さを求めるには下地作りが重要なのはガンコートも同様です。汚れや油分が弾きや密着不良の原因になるのはもちろん、焼付乾燥を行うガンコートの場合は古い塗装が高温で悪さをすることも考えられるので、剥離しておくことが必須です。
その際、剥離剤を塗布してブラシで擦り落としても良いのですが、施工を撮影したカーベックではサンドブラストで剥離とクリーニングを行いました。
外装パーツをウレタン塗装する際は、パーツの素地にプライマーやサーフェーサーなどの下塗りを行うのが一般的ですが、ガンコートは金属に対する密着力が高いため下塗りなしで塗装可能です。
ただしガンコートはスプレー塗りが原則なのでスプレーガンが必要で、必然的にエアーコンプレッサーも使用します。また焼付塗装を行うための乾燥器も不可欠です。
170℃1時間以上の焼付乾燥でブレーキフルードが付着しても傷まない強固な塗装が完成する
ガンコートは常温でも乾燥しますが、「放熱性の高さ」「表面硬度の高さ」「耐薬品性の高さ」というガンコートならではの特性を得るには170℃1時間以上の焼付乾燥が必須です。これは塗料を設計する際の必須条件なので、100℃で3時間焼けば同等の性能が得られるということにはなりません。
プライベーターにとっては、この焼付乾燥が最も高いハードルになるでしょう。ヒートガンでも200℃以上の温度を設定できる製品がありますが、局所的な加熱では平均的な塗膜性能は得られません。
それよりも、ここで紹介しているブレーキキャリパー程度のパーツであれば、温度設定が可能なオーブントースターを流用することで焼付けが可能です。またカーベックでも卓上に置ける小型乾燥器を販売しています。
ブレーキパーツは機能性優先なのは間違いなく、見た目はボロでもブレーキパッドの残量が充分でピストンがスムーズに作動することが重要です。しかし好きで乗っているバイクの部品があまりにみすぼらしいままではテンションが上がりません。
どうせ塗り直すならブレーキフルードに負けない耐薬品性や耐久性も重視したいというなら、使用する塗料はガンコート一択といって良いでしょう。
- ポイント1・DOT3やDOT4規格のブレーキフルードの成分であるグリコールエーテルやポリアルキレングリコールは一般的なペイントとの相性が悪く、塗膜を剥離してしまう
- ポイント2・機能性塗料のガンコートには「放熱性の高さ」「表面硬度の高さ」「耐薬品性の高さ」という特長があり、ブレーキフルードが付着しても塗膜が変質しない
- ポイント3・170℃1時間以上の焼付乾燥によってガンコートのポテンシャルを引き出すことができる
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/maintenance/520511/
使用感漂うボロボロのブレーキキャリパーはブレーキフルードに負けないガンコートで再ペイント!!【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/520511/520521/









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