でも、かといって、中・高回転域がつまらないという訳でもありません。例えば、ギアを2速や1速に落として旋回するタイトなコーナーなどの立ち上がり。加速時に一気にスロットルをひねっても、トルクの谷を感じさせず、パワーが心地よくスムーズに吹け上がる特性も合わせ持っています。
もちろん、低・中回転域と比べると、高回転域ではパワーの出方がややフラットな感じになります。でも、筆者が持っている空冷シングルの既成概念を覆すほど、全域でストレスを感じさせない特性であることは間違いないでしょう。
ウェット路面でのコーナリングも安定
試乗時は、一時的に雨が降ったことで、残念ながら路面はウェット。ややスリッピーな状況でしたが、あまり車体を寝かし込まないように注意すれば、安定感はばっちりでした。
そもそも、このバイクは、前述の通り、あまりガンガンに攻めるというよりも、エンジンの鼓動感を味わいながら、余裕を持って走る方が楽しいバイクです。でも、コーナーリング性能自体は犠牲になってはおらず、ハンドリングはかなりナチュラルな感じ。思い通りの狙ったラインをトレースできますし、前述の車両重量143kgという軽量な車体もあり、軽やかな旋回性を味わえるのも魅力です。
ちなみに、メグロS1にはトラコンなどの電子制御を装備していませんが、その分、ライダーが、より自在に操れる感覚を味わえるのではないかと思います。また、フロント265mm、リア220mmのシングルディスクを装備した前後ブレーキも効きは十分。コントロール性も抜群で、ブレーキのレバーやペダルの操作に対し、リニアな制動力を発揮できる点も好印象でした。
昭和家電のような所有する喜びも味わえるバイク
以上が、メグロS1に乗ってみた印象ですが、W230も乗り味はほぼ同じです。
違うのは、各部の装備などですが、特に、メグロS1では、前述したブラック×クロームメッキの燃料タンクや、エンジンの切削加工付き空冷フィンなど、磨いたり、洗車のしがいがあるパーツが多いのも注目ですね。
特に、バイクの中でも、メグロS1のようにビンテージ感も高いモデルの場合は、乗るだけでなく、所有することに喜びを感じるユーザーも多いのではないでしょうか。しかも、こうした昭和レトロ感満点のバイクであれば、貴重な骨董品を所有しているような感覚も味わえそうです。
例えば、昭和の時代に使われた古いコーヒーミルや家電などを収集している人のように、暇さえあれば磨いて、その輝きなどに魅入る。最近は、シニアだけでなく若い世代にも、そうした趣味を持つ人が増えているといいますが、メグロS1の実車を見ていると、そんな幅広い世代のコレクター的な楽しみも味わえそうな気がします。
もちろん、カワサキでは、従来、これも先述のメグロK3をラインアップしており、こちらも質感の高さには定評があります。でも、773cc・空冷2気筒エンジンを搭載するメグロK3は、運転するのに大型二輪免許が必要となります。
対して、232cc・空冷単気筒のメグロS1なら、普通二輪免許で乗ることも可能です。価格も、メグロK3は税込み140万8000円ですから、税込み72万500円のメグロS1は68万7500円も安い。より幅広いライダーが、よりリーズナブルな価格で、カワサキ伝統のテイストを堪能できるという点で、メグロS1はかなり注目のモデルだといえるでしょう。
メグロS1主要諸元(2025年モデル)
・全長×全幅×全高:2125×800×1090mm
・ホイールベース:1415mm
・シート高:740mm
・車両重量:143kg
・エジンン:空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒232cc
・最高出力:13kW(18PS)/7000rpm
・最大トルク:18N・m(1.8kgf・m)/5800rpm
・燃料タンク容量:11L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=90/90-18、R=110/90-17
・価格:72万500円
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/426633/
メグロS1は空冷シングル的ドコドコ感と、磨いて楽しい質感が魅力! 昭和レトロな新型モデルに試乗【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=426633&slide=1
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