不変性を感じるスタイルと最新コンポーネントを融合し、ネオレトロなデザインを実現している「ヤマハXSRシリーズ」。その原付二種モデル「XSR125 ABS」が初のカラーリング変更を実施し、同時に足着き性を最大約30mm向上するアクセサリーパッケージ「XSR125 Low」も発売された。
レトロな丸型デザインに最新機能を多数装備
ヘッドランプ、テールランプ、メーターに丸型を採用し、モールサイドカバーとマフラープロテクターには丸型の肉抜き加工を施し、XSRシリーズらしいネオレトロなスタイルを実現しているXSR125。フレームはスーパースポーツ「YZF-R125」、スポーツ・ネイキッド「MT-125」と共有しているが、アップハンドルとタックロールシートが自由度の高いライディングポジションを実現し、車重は137kgと上記2台を含めて最軽量に収まり、良好な取りまわしとなっている。
エンジンは7000~7400rpmで吸気側カムが低速向けから中高速向けに切り替わる可変バルブ（Variable Valve Actuation）を搭載した水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒。アシスト＆スリッパークラッチ、倒立フロントフォーク、前後ABSなど最新の機能も多数装備している。
このXSR125が2023年12月の発売以来、初のカラーチェンジを行なった。継続色となったブラックに加えて、引き締まった印象を与えるシルバー、1970~1980年代のスポーツモデルをモチーフとしたラインをタンクにあしらったクラシカルテイストのブラウンの2色を新たに採用している。
このカラーチェンジに合わせて、足着き性を最大約30mm向上するアクセサリーパッケージXSR125 Lowも新登場。乗車時の足着き性を約10mm向上させる「ロータイプシート」、リヤサスペンションのリンク長を変更してシート高を約20mm下げる「ローダウンリンク」を装着し、最大約30mmの足着き性改善を実現しているモデルで、価格は52万8000円となっている。通常モデルの価格は50万6000円。
往年のヤマハスポーツモデルをイメージしたブラウンと、引き締まった印象を与えるシルバーの2色がニューカラー。ブラックは継続ラインナップされる。
LEDヘッドランプは丸型でXSRらしいイメージをアピール。ウインカーはバルブ。
テールランプ／ブレーキランプも丸型デザイン。小型だがLEDで被視認性は良好だ。
丸型液晶メーターは速度、エンジン回転数、ギヤポジション、燃料計などを表示。小型が見やすい。
ハンドルグリップ部を少し手前に引いた形状となっているアップハンドル。幅は広すぎない。
ニーグリップしやすい形状の燃料タンクは容量10L。車体色ブラウンには、XSRのゴールドエンブレムが装着。
ノーマルとLowの足着き性比較チェック
ノーマルのシート。内部の素材が硬めで、尻を点で支えるような張りのある座り心地。
アクセサリーパッケージ専用のロータイプシート。尻を面で支えるような柔らかめの座り心地となる。
ノーマルのリヤサスリンク。タンデム走行が考慮され、やや硬めのセッティングに感じられた。
XSR125専用設計のローダウンリンク。ノーマルとのリンク比で約20mmシート高を下げる。単品での購入も可能で価格は8250円。
ライダーは身長172cm。ノーマルのシート高は810mm。背筋が伸びて、リラックスしたポジションが決まる。車体色は2024年モデル。
サスの沈み込みはあるが、少しだけ片足のカカトが浮いた状態となる。車重の軽さもあり、足着き性に不安はない。
最大約30mm下がったLow。シート高が下がり、着座位置とステップとの距離も短くなって、ヒザの曲がりがきつくなった。
約30mmダウンで両足の足裏まで着く。足着き性に余裕が生じ、車体をさらにコンパクトに感じた。
ライダーは身長156cmで、ノーマルのシート高では、つま先立ちとなる。「ライディング中に不安はないです」。
「ライディングポジションは楽ですが、停止した路面にギャップがあるとヒヤッとしますね」とのこと。
Lowでも片足つま先立ちとなる。「着座位置が下がった分、ハンドルが高くなり、少し遠くなったように感じました」。
Lowでは両足のつま先が着く。「安心感はかなり高まるので、足着き性に不安がある人はアクセサリーパッケージがおすすめです！」
操作系の軽さで走りも軽快
低回転からトルクが粘り、VVAで高回転の伸びもあるXSR125のエンジンが、市街地での軽快な走りを実現している。
各部に丸型デザインを採用し、レトロな雰囲気をまとっているXSR125。コンパクトでシンプルな車体構成で車重は軽く収まり、取りまわし性も良好だ。
可変バルブ機構（VVA）を搭載したエンジンにはアシスト＆スリッパークラッチが装備され、軽いクラッチレバー操作も実現している。水冷SOHC4バルブ単気筒エンジンは3000rpmくらいからトルクが立ち上がり、クラッチレバー操作の軽さは半クラッチのしやすさにもなっていて、発進時にエンストしにくい。4000rpmからは交通の流れをリードできる加速力も発揮し、5000rpmまで回せば、流れの速い幹線道路でもストレスのない走りができる。
市街地でVVAが作動する7000~7400rpmまで回すことはほぼなかったが、シフトアップするか迷うようなワインディングのコーナーや、上り坂で再加速したい時など、VVAが高回転での「もうひと伸び」を実現していて、最高出力15PSのパワーを使い切る楽しさも感じさせてくれる。
前後ブレーキはタッチもよく、確実な制動力を発揮する。ABSの介入は遅めで、コントロールできる幅が広いのも扱いやすさとして感じられる。前後サスはストローク感が分かりやすく、荒れた舗装路では手に衝撃が伝わってくることもあったが、舗装状態のいい路面では快適な乗り心地となっている。XSR125のデザインはレトロテイストだが、装備は最新で、現代的な扱いやすさとスポーツ性を兼ね備えた走りも実現している。
水温に応じて冷却水の循環経路を切り替えるバイパス式サーモスタットを採用し、暖機時間を短縮化。アルミ製ダイアジルシリンダー、アルミ鍛造ピストンを採用し、環境性能と走る楽しさを両立している。
足着きで諦める前に試す価値アリ！
ノーマルとの差異を感じることもあるが、足着き性改善で大きな安心感が得られる。
XSR125はアップハンドルを装備しているが、身長172cmの筆者でも、上半身が少し前傾するライディングポジションとなっている。しかし、この前傾でフロントに自然と荷重がかかってハンドリングが安定し、810mmとやや高めのシート高は視点の高さになっていて広い視界にも貢献し、ライディングのしやすさにもなっている。
車重の軽さもあって、筆者は足着き性に不安を感じることはなかった。だが、小柄なライダーや、ライディングに慣れていないライダーには810mmというシート高は不安要素となり、事実、足着き性でXSR125の購入を諦めた人も少なくないという。アクセサリーパッケージXSR125 Lowのローシートはウレタンの材質を見直した専用開発品で、足着き性を約10mm向上。ローダウンリンクも専用設計で、ノーマルから約20mmシート高を下げ、合計でノーマルから約30mmの足着き性改善を実現している。足着き性に不安のない筆者にも30mmの効果は絶大で、足着き性の改善だけではなく、シートに座ったまま車体を取りまわしやすくなり、利便性向上にも大いに貢献しているのを体感できた。
その一方で、着座位置が低くなったことでハンドル位置は相対的に高くなり、シートとステップの距離が近くなるのでヒザの曲がりも窮屈に感じた。ライディングポジションはノーマルとは異なり、違和感があったのも事実だ。また、リンクが変わったことでリヤサスの特性も変化し、荒れた路面ではノーマルよりも衝撃が伝わってきやすく感じた。これはシートのウレタン材質も影響しているだろう。ノーマルのウレタン材質は張りがあり、やや硬めの座り心地だが、路面からの衝撃はしっかり吸収し長時間でも尻が痛くなりにくい。ローシートは柔らかい座り心地で尻全体をホールドするが、路面からの大きな衝撃は伝わりやすく感じた。
ライディングポジションに関してはノーマルにバランスのよさがあり、足着き性に不安がなければノーマルをおすすめする。しかし、XSR125 Lowの市街地走行やコーナリングでのハンドリングには違和感はなく、足着き性に不安のある人には約30mmダウンのメリットのほうが遥かに大きいと言える。足着き性で諦める前に、ぜひXSR125 Lowを試してほしい。Lowでのライディングに慣れて、足着き性に不安を感じなくなれば、ノーマル状態への変更できる構造になっているのもメリットと言える。
スペック【2025年型ヤマハXSR125主要諸元】
・全長×全幅×全高：2030×805×1075mm
・ホイールベース：1325mm
・車重：137kg
・エンジン：水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒124cc
・最高出力：15PS/10000rpm
・最大トルク：1.2kgf・m/8000rpm
・燃料タンク容：10L
・変速機：6速リターン
・ブレーキ：F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ：F=110/70-17、R=140/70-17
・価格：50万6000円、アクセサリーパッケージXSR125 Low 52万8000円
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/458528/
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