【保存版】ミシュラン130年の歴史はこんなに凄い、世界初ラジアルタイヤほか革新尽くしだ

 ケイ素とは、水晶や石と同様の物質のため、タイヤのゴムと均一に混ぜ合わせることは非常に困難。しかしミシュラングループの基礎研究プログラムによって実現し、1992年シーズンの世界GP500クラスに初めてシリカを主成分とするタイヤを投入した。特にウエット路面で行われるレースで圧倒的な強さを見せ、新たな覇権時代の幕開けとなった。

 1999年にはシリカを用いた市販タイヤ「ミシュランパイロットスポーツ」をリリース。現在では多くの公道向けタイヤがシリカを配合するまで一般的となり、スポーツ向けタイヤをはじめ、ライフを重視しつつ雨の日にも強いツーリングタイヤなどに採用されている。レース用に関してもシリカ配合のウェットタイヤが採用され続けているのが現状だ。

 

ミシュラン130年の歴史はこんなに凄い、世界初ラジアルタイヤほか革新尽くしだ

タイヤのゴムと結合したシリカコンパウンド(写真はイメージ)。転がり抵抗を犠牲にすることなく、優れたドライ&ウエット性能を発揮できる。※ミシュラン四輪用のプライマシーSUV+資料より

 

センターとサイドで異なるコンパウンドを1本のタイヤに融合

 続いて、1994年に登場した三つ目の革命がデュアルコンパウンドテクノロジー(2CT)だ。

 2CTが登場する以前は、タイヤ一本に同じコンパウンドが使用されてきた。一方、2CTはショルダー(サイド部)とセンター部のラバーコンパウンドを使い分けることで、最適な特性が得られる。

 例えば、直進中に接地するセンターには、急加速や減速時にかかる強い力に耐えられるよう硬めのコンパウンドを使用。一方、コーナリング時に接地するショルダーにはそれほどストレスがかからないため、柔らかめのコンパウンドでグリップ力を向上可能だ。

 ミシュランが世界GP500クラスにデュアルコンパウンドテクノロジーを導入したのは1994年。前述のシリカと合わせ、1994~1998年に5年連続チャンピオンに輝いたミック・ドゥーハンの勝利に貢献することとなった。

 そして2005年のプロダクションレース向けタイヤ「ミシュランパワーレース」から市販品にフィードバックを開始。グリップと耐久性を兼備するデュアルコンパウンドは今やメジャーな技術となり、ライダーの走りを支えている。もちろんミシュランでも2024年発売のPOWER 6やPOWER GP2には2CT+が採用されている

現在は2CTに加え、2CT+も登場。ショルダーのベースにハードコンパウントを用い、その上にソフトコンパウンドを使うことで、コーナリング時の剛性を確保する技術だ。レースの世界ではサーキットの特性に応じて左右どちらかをハードにしたコンパウンドを使用することも。

 

【まとめ】常勝レースの技術を市販品にフル注入、バイクの進化に貢献してきた

 圧倒的な技術革新により世界GPの最高峰クラスでは、1981年から2006年までミシュラン使用のライダーがほぼ全てチャンピオンを獲得してきた。例外は1984年と1991年のみなので、まさに驚異的な戦績である。2008年をもってミシュランはGPを撤退したが、2016年に復帰。再び数々の栄光を打ち立て続けている。

 これまで見てきた通り、レースの世界で培われた技術は市販タイヤにも遺憾なく還元されてきた。ミシュランの技術がなければ、現在のバイクはここまで進化していなかったに違いない。

 ミシュランは1889年の創業以来「モビリティの継続的発展に貢献する」をミッションに掲げてきた。バイクを取り巻く環境は大きく変わろうとしているが、今後もバイクをより安全に、便利に、楽しくする革新技術の開発に期待したい。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/parts-gears/367750/

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