高級ミニバンといえば日本車の独壇場だったが、近年中国勢が猛追している。その出来栄えがどれほどのものか気になったので、代表的なモデル2台に乗ってみた。はたしてアルヴェルやエルグランドに比べて、どこが劣り、どこが勝っていたのだろう!?
文:山本シンヤ/写真:山本シンヤ、BYD、東風汽車
中国では高級ミニバンが増殖中!
2年ぶりに訪れた中国・上海。緑ナンバー(BEV/PHEV)、青ナンバー(HEV/ICE)の比率は筆者の肌感覚で7:3といった感じ。この辺りはあまり変化がないが、一番の違いは高級ミニバンが増えたことだ。
これまでトヨタ・アルファード/ヴェルファイア(アルヴェル)、レクサスLMの独擅場だったカテゴリーだが、中国での需要が高まり様々なメーカーからフォロワーが登場。どれも日本未導入なのでその実力は未知数だが、今回訪中に合わせて2台の中国製ミニバンに乗る(後席のみだが)ことができたので報告したいと思う。
最初に乗ったのはBYDのハイエンドブランドDENZA(デンツァ)のミニバン「D9」。2023年のJMSに展示されていた“あの”モデルだ。エクステリアがアルヴェルに似ているのは事実だが、個人的にはスクエアではなくラウンドしたプロポーションはオデッセイの雰囲気もあるかも? フロントグリルはパワートレイン違いで2タイプ用意されるが、今回のモデルはPHEVなのでブロック形状だ。
デンツァD9はボディ剛性を高めた30系アルヴェル?
インテリアはインパネからドアまで連続的なデザインで質感もなかなかのモノ。メーターとセンターディスプレイが独立しているのはBYDモデルのそれと同じで、中国車にしては意外とオーソドックスな印象だ。2列目はキャプテンシート仕様で、シートはやや小ぶりで体格の大きい人だとややタイトな印象。見た目はゴージャスだがクッション/シートバックがそれほど厚くないので、掛け心地は想像していたよりもやや硬めだった。
アームレストに装着されるスマホのようなコントローラーはアルヴェル以上の充実ぶりで、シートや空調、エンターテイメント、さらには冷蔵庫(センターコンソール後端に装着)のコントロールが可能。マッサージ機能はアルヴェルのそれよりも押す力が強いのは中国らしい感じだ。
パワートレインは1.5Lターボエンジンとモーター、バッテリーで構成されるPHEVだが、グレードが解らないのでバッテリー容量は不明。ただ、乗っている時に一度もエンジンは始動せず。フル乗車でも動力性能は十分で、中国のアグレッシブな走行環境(隙あらば居場所を見つけての信号ダッシュや車線変更など)にもシッカリ対応しているのが印象的だった。
プラットフォームはシール/シーライオン7にも使われる「eプラットフォーム3.0」を採用。後席で感じた乗り味は、ボディ剛性を高めたアルヴェル(30系)と言った感じ。
街中ではアタリが優しくふんわりした乗り心地で走りの質感も悪くないが、速度が上がるにつれてリアサスの追従性の悪さからクルマの動きがなかなか落ち着かず、常にドタバタしてしまうのが気になった。他のeプラットフォーム3.0採用モデルでも大なり小なり似たような動きが出るので、これは素性が関係しているのかもしれない。
コメント
コメントの使い方この手のクルマが増えていて気になっていた。今の時点ではイマイチかもしれないけど、急速に完成度を高めるでしょうね。売れれば利幅も大きい車種なのだから、メーカーの力の入れ具合も半端ないだろうし、3,4年したら脅威的な存在になりそう。