ひとつの歴史を締めくくる、最後のNinja系エンジン車「ZRX1200DAEG」

ひとつの歴史を締めくくる、最後のNinja系エンジン車「ZRX1200DAEG」

 ZRXシリーズ最後のモデルとなるZRX1200ダエグは、フューエルインジェクションを採用することで排気ガス規制に対応し、6速ミッションを採用するなど装備の充実も図られたNinja系パワーユニットを搭載した最後のモデルである。「DAEG=ダエグ」はルーン文字で「D」に当たり、ZRXのモデルチェンジにあたって、その進化や飛躍を表す言葉としてその名に刻まれた。

 
文/後藤秀之 Webikeプラス
 

ZRXシリーズ最後となる、フューエルインジェクションモデル

ZRX1200ダエグは、2009年にフューエルインジェクションを採用し、自動車排出ガス規制に対応した日本専用モデルとして登場した。8,000rpwで発生される最高出力は81kW(110PS)、最大トルク107N・mは6,000rpmで発生される。ダエグでは、ZRX1200R/1200Sまでは5速だったトランスミッションは6速となり、フロントブレーキには6ポットキャリパー+ペータルディスクローター、5本スポークデザインのホイールを装備するなど、ZRX系モデルの最高峰と呼ぶにさわしい装備が各部に与えられた。また、1100時代から受け継ぐS1スタイルのスイングアームを採用し、角目+ビキニカウルのデザインなどはブラッシュアップされている。

20240422_ZRX1200D

2009年に登場したZXR1200DAEGのスタイルは1980年代のZ1000Rにルーツを持ち、カワサキらしさに溢れた迫力のあるものだ。

 


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カワサキの水冷大排気量エンジンは、1984年に登場したNinjaことGPZ900Rに始まる。908ccで始まったGPZ系の水冷DOHC4気筒エンジンは様々なバイクへと転用され、1996年に登場したZRX1100/1100-IIには1,052ccまで排気量アップされたものが搭載された。往年のZ1000Rのデザインを踏襲したZRX1100は日本をはじめとして、ヨーロッパなどでも人気を博した。さらに2001年には排気量を1,164cccまでアップした、ZRX1200R/1200Sへと進化した。しかし、ZRX1200R/1200Sはキャブレターモデルであり、2008年の自動車排出ガス規制によって生産中止となった。

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1,164ccというNinja系エンジンとして最大の排気量を持つ、DOHC4バルブの四気筒エンジンには、空冷フィン風のデザインが施される。



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Ninja系エンジンの特徴でもあるサイドカムチェーン方式を引き継ぐため、エンジンのデザインは左右で異なっている。



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高回転域での心地よい伸びとパワーフィールを実現しつつ、低中速回転域での扱いやすさをさらに向上させたエンジン特性で、初心者からベテランまで楽しめる。

 


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ネイキッドバイクらしい、自由度の高いポジション

アップタイプのハンドルが採用されているため、基本的なライディングポジションでは上半身はリラックスしている。ステップの位置も自然に足を上げた位置にあり、全体的に自由度が高い。シート高は795mmでシートもしっかり厚みがあるが、170cm/65kgのモデルでも両足がしっかりと付くが、車重は246kgあるので取り回しには注意が必要だ。

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アップライトなポジションなので上半身はリラックスしたポジション。タンク形状の最適化や自然なステップ位置で、下半身の自由度も高い。

 

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モデルは身長170cm、体重65kgの体型で、シート高は795mm。両方の足がかかとまでしっかり付き、跨った時の不安感は無い。

 

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全幅は770mmあるが、乗り手を考えたシートやタンクの形状によって足付き性は良好だ。

 

最後にして究極のNinjaユニット搭載車

 GPZ900R系エンジンは、1984年から2016年にZRX1200ダエグが生産中止になるまで、実に30年以上現役であり続けた。ボア×ストローク72.5×55.0mmの908ccから始まり、ZRX1200ダエグのボア×ストローク79.0×59.4mmの1,164ccまで排気量が拡大された。このいわゆる「Ninja系」エンジンの特筆すべきところは、排気量が変更になる際、ボアとストロークの両方を変更していたことであろう。これはZ1とZ2の時代からの伝統とも言え、バランスにこだわった実にカワサキらしいエンジンなのである。ダエグに搭載されたエンジンは、最大排気量であるとともに、Ninja系としては唯一フューエルインジェクション化された、最後にして究極の仕様であったと言えるだろう。

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アイデンティティとも言えるビキニカウルはZRX1200Rよりも若干大型化され、デザインにはシャープさが加えられた。

 

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低めのバーハンドルが採用され、街乗りからスポーツ走行まで幅広い走り方に対応できる。

 

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左側にオフセットされた二連タイプのメーターを採用した、シンプルなコクピット。燃料計などはデジタル化されている。

 

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フューエルタンクの形状は変更され、日本人の体型に合ったポジションを生み出している。

 

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シンプルなデザインのシートは、絶妙な絞り込みで足付き性を確保している。

 

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テールライトは薄型のLED式となり、先代モデルとは異なったリアビューを生み出している。

 

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マフラーは右出しのシングルタイプで、大容量のサイレンサーを装備する。

 

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途中で2本に分かれるデザインの5本スポークホイールを採用。ブレーキは4ポットキャリパーとペータルディスクの組み合わせ。

 

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スイングアームは伝統のS1タイプを継承し、リアタイヤは180/55の17インチを履く。

 

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ブレーキは220mm径のペータルディスクと、フローティングマウントの2ポットキャリパーを組み合わせる。

 

ZRX1200DAEG(2009)主要諸元

・全長×全幅×全高:2,150×770×1,150mm
・ホイールベース:1,470mm
・シート高:795mm
・車重:246kg
・エンジン:水冷4ストローク4気DSOHC4バルブ 1,164cc
・最高出力:81kW(110PS)/8,000rpm
・最大トルク:107N・m/6,000rpm
・燃料タンク容量:18L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70 ZR17、R=180/55 ZR17
・価格:112万円(キャンディミスティックブルー/メタリックインペリアルレッド)(2009年)
    114万円(パールメテオグレー×メタリックスパークブラック)(2009年)

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/370606/

ひとつの歴史を締めくくる、最後のNinja系エンジン車「ZRX1200DAEG」【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=370606

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