個性的で独特なちぢみ模様が缶スプレーでお手軽に。結晶塗料の魅力と特長を解説

純正部品がカスタムパーツに変貌する結晶塗装の実例

 

純正塗装をサンドブラストで剥離して下地を整えたヘッドカバー。ポリッシュ仕上げの場合も、塗料の密着性をアップするためサンドブラストをかけたり#600番程度のサンドペーパーで足付けを行うと良い。

 

結晶塗装にどれほどの効果と魅力があるのか、4気筒エンジンのシリンダーヘッドカバーをサンプルに実際の塗装工程を紹介します。
結晶塗装を行う際は、古い塗膜が残っていると結晶塗料の溶剤と反応して仕上がりに影響を与えるリスクがあるため、剥離剤やサンドブラストで古い塗装を剥離して下地を整えます。用意したヘッドカバーは表面に腐食痕があってあまり程度が良くないため、ウレタン塗料で塗装する場合は耐熱パテやサフェーサーで凸凹を埋めなくてはなりません。
しかし結晶塗装は仕上がり表面が凹凸模様になるため、素材表面のコンディションが良くなくてもあまり気にする必要はありません。ただしアルミパーツの腐食痕がシミのようになっている場合、下地が透ける傾向にある赤や黄色などでは硬化後もシミが見える場合もあるので、心配な場合は焼付硬化タイプのハイブリッドプライマーで隠しておくと良いでしょう。
またスピードメーターやタコメーターなどのプレス成形カバーが凹んでいるような、形状自体が変化しているものには対応できませんが、クロームメッキ仕上げのメーターケースがサビであばたになっているような場合、ボロ隠しとカスタムを兼ねた結晶塗装は最適な塗装方法と言えます。

 

塗りやすい大きな面からではなく、スプレーガンや缶スプレーのノズルが届きづらい部分を先に塗っておく。立体的なパーツはこの点を意識しておかないと、シリンダーヘッドと接する縁の部分が「あれ?薄いかも……」ということになりがち。

 

サンドブラストで下地を整えたシリンダーヘッドカバーは、プライマーやサフェーサーなどの下地塗装を行うことなく、いきなり結晶塗料で塗ることができます。今回はスプレーガンを使用しましたが、これは缶スプレーでも同様です。
どんなパーツにも共通しますが、塗装には「塗りやすい部分」と「塗りづらい部分」があることを意識して作業することが重要です。このシリンダーヘットカバーの場合、カバー上面は塗料もよく付着しますが、プラグホールに面する内側の縁はスプレーが届きづらい部分になります。
したがって、塗装する際は縁の部分に塗料を載せておいてから上面を塗ることで、塗りムラや透けのない仕上がりとなります。特に結晶塗装の場合、塗膜の厚さのムラが結晶模様の大きさのムラに直結します。
4気筒エンジンのシリンダーヘットカバーの場合、上面のちぢみ模様がしっかり出ると単体での見栄えが良いのは確かですが、実際にエンジンに組み付けた際には両端の側面から左右それぞれ1気筒分ほどしか見えないことも多いので、側面や縁部分にも充分な膜厚になるよう塗り重ねます。

 

塗膜が厚い方がちぢみ模様がはっきり出るが、一度に塗り重ねて加熱すると下層の溶剤の逃げ場がなくなり、表面は硬化したのに内側が柔らかいままという塗装不良の原因になる。それを防ぐには、ひと通り塗装したら塗り重ねる前に10~20分程度の乾燥時間を確保すると良い。

 

常温乾燥を挟みながら重ね塗りを行った表面はウェット状態で、徐々にツヤが退け始めたら120℃に設定した乾燥器に移動して本乾燥を行います。繰り返しになりますが、結晶塗装ならではのちぢみ模様は塗膜の厚みで決まるため、乾燥中に細工できることはありません。
ただし黒以外の赤、黄、青色に関しては、乾燥温度を高くすることで色味が濃くなる傾向があるため、120℃より高温で焼き付けると暗めに仕上がります。
昔から結晶塗装を知っている人にとっては黒か赤という印象が強いと思いますが、カーベックの4色の結晶塗料はカスタムペイントにも有効です。絶版車のレストアから現行車のカスタムまで、幅広いジャンルで活用してみることをお勧めします。

 

120℃に設定した乾燥器に入れて、パーツ自体の温度が100℃ぐらいまで上昇すると徐々にちぢみ模様が出始めて、120℃20分で模様が完成する。ウレタン塗装やポリッシュ仕上げとは異なるグレード感の高さが結晶塗装の魅力だ。

 

 

結晶塗装はガンコートのように放熱性が向上することはなく、一液性なので溶剤に対する耐久性も高くないが、塗装自体のデザイン性が大きな特長となる。

 

POINT
 

 

  • ポイント1・結晶塗料は加熱によって収縮樹脂を使用することで独特の模様を描く
  • ポイント2・加熱前の塗膜が薄いと結晶模様が小さくなり、塗膜が厚いと陰影の深い大きな模様ができる
  • ポイント3・ちぢみ模様を均一に仕上げるには、パーツ全体の温度をムラなく120℃まで加熱することが重要

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/maintenance/383368/

個性的で独特なちぢみ模様が缶スプレーでお手軽に。結晶塗料の魅力と特長を解説【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=383368&slide=8

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