■まさかの“アレ”の出番!!
山へ向かうバスゆえに、道中のほとんどが上り坂。向かう最中に景色をジックリ眺めるなら、進行方向右側がオススメ。高度を稼ぐにつれて、阿蘇の街を見下ろす超パノラマが広がり圧巻。
阿蘇駅前〜阿蘇山上ターミナルまで約15kmあり、一般路線バスとしては中距離クラスに足を踏み入れる。それに対して停留所の数は全部で6つと、極めて少ないのが観光路線らしい特色。
途中の「草千里阿蘇火山博物館前」という停留所に、一般車向けの大型駐車場や各施設が揃っている。しかしこのバス停と駐車場とのアプローチに同じ道を使っており、その駐車場が混雑していたため、交通戦争とは無縁そうな山の上に来て施設内渋滞が起こるという珍妙な光景に出会した。
さらにこの博物館前から山上ターミナルまで行く利用がかなりあった。いよいよバスの席が全部埋まってしまったため、小学校の社会科見学か?と思わせるほど使う機会の少なそうな補助席の出番がやってくる、これまた物珍しい一幕も。
■運転手さんに言われた予想だにしない一言
阿蘇駅前を出て阿蘇山上ターミナルへは時刻表通りなら所要時間35分。当日は前述の渋滞に巻き込まれた関係で7分ほど遅れて到着した。運賃は1,000円と場所柄ちょっとお高め。
バスを降りる際、運賃を支払いつつ運転手さんに軽く挨拶をすると、こんな質問を投げかけられた。
「日本人ですか?」
……え? そういうのドイツとかアメリカとか行った時なら同じ経験ありますけど、阿蘇山って日本でしょ!? 日本でそれ聞かれたのは新しいパターンだねぇ。
確かに阿蘇駅前のバス停に来てすぐ気付いたのが、日本語があまり聞こえてこないという点。インバウンド、特に中国語が中心な印象で、バスの車内もほぼ同様だった。
運転手さんに聞くところによれば、1日少なくとも300人は乗客をさばくけれど、バスを利用する殆どが中国語圏からのインバウンド客らしい。熊本エリアは中国語圏に人気があると聞いたことはあったものの、現地へ来て改めて噂は本当だと実感した。
少し昔、爆買いが流行った頃のような、目も当てられない来訪者(あの頃ホテルバイキングでバッティングすると地獄絵図だったよ)は2024年現在にはかなり解消されて、観光で来るのはお行儀のよい人たちばかりなのは間違いない。
とはいえやはり言葉の壁があり、意思疎通がなかなかうまく行かない問題がどうしても付いて回るため、気疲れが大変なのだそう。それもあってネイティブな日本語を聞くと、凄くホッとするのだとか。
有名観光地が「世界的な」を冠すると、日本なのに日本人がレアキャラ化することだってあるのね。
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