大都会の短距離路線バスに乗ると、運賃は高くても3ケタ台前半に収まるケースがほとんど。とはいえ全国各地には、数百円台を盛大にハミ出す長い距離を走るバスだってある。
文・写真(特記以外):中山修一
(バスの運賃にまつわる写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■運賃が千円を超えるバス路線
高速道路を通らない一般路線バスで、長い距離を走るものには独特の味わいがあって乗ると楽しいものだ。
中・長距離の一般路線はほぼ100%の確率で、整理券を使用した運賃後払い方式。乗車して車内前方の運賃表示器を見ると、距離が増すにつれて金額がちょっとずつ上がっていくのが窺える。
900円を過ぎて、いよいよ4ケタ・1,000円台に突入しようとする……距離で言うと何kmくらい進んだ先なのだろうかと以前調べて、同バスマガジンWebの別の記事で紹介した。
その結果19kmだったり53kmだったりと、バス会社ごとに完全にバラバラで、1,000円の壁が建っている「これ」といった基準はないようだった。
■支払った千円札のゆくえ
これまで距離の長い路線バスに乗ってみて、ある時ふと気になったのが、運賃を千円札で支払おうとした場合、その千円札をどう扱うのか、という点だ。
運転席の脇に取り付けられている、運賃収受のための機械(いわゆる運賃箱)には、千円札だけ受け付ける紙幣→小銭の両替スロットと、実際の運賃を投げ込む投入ボックスがそれぞれ個別に搭載されていて、後払い方式の路線バスでは全国ほぼ同じ要領。
例えば運賃が890円で小銭を持っておらず千円札で払うケースなら、両替スロットに千円札を入れると、500円玉×1と100円玉×4、50円×1、10円玉×5枚が出てくるので、そこから110円を抜いて、残りを投入ボックスに投げ込めばOK。
問題は運賃が1,210円のような1,000円台になった時。全部小銭で1,210円分ちょうど用意できるなら、整理券と一緒に同額をそのまま投入ボックスに入れるだけ。
しかし、運賃の額面で見てちょうど持ち合わせがあっても、おカネの種類が千円札1枚+210円だった状況下において、最初の千円札をどこに入れればいいのかが悩みどころに化ける。
■千円札処理法その1:いったん両替
過去に体験したことのある千円札の処理方法のうち、まず挙げられるのが一旦ぜんぶ小銭に崩してから支払う方法。
運賃1,210円のうち、千円札を両替スロットに入れて小銭に替えて、出てきた小銭をぜんぶ投入ボックスに入れてから、残りの210円を放り込んで降車という流れだ。
■千円札処理法その2:人力で回収
次の例は、まず千円札を運転手さんに手渡しして、残りの210円を通常通り投入ボックスに入れる、札だけ人力で回収するスタイル。
これはおそらく、運賃箱内蔵の金庫が紙幣に対応していない仕様の関係から、そういった方法が採られていると思われる。
千円札を入れるための専用ボックスが、運賃収受器に外付けされていることもあり、その場合は札だけその専用ボックスに納めるかたちだ。
■千円札処理法その3:そのまま投げ込む
そのほか、手元の千円札+210円を、運賃箱の投入ボックスに全部まとめて放り込んで支払い完了な、札の処理方法としては最も効率のよいパターンも見られる。
このパターンでは、運賃1,210円を千円札2枚で払いたい場合、最初の1,000円分を投入ボックスに入れて、もう一枚の千円札は両替スロットで小銭に崩し、残りの210円分を取って投入ボックスに投げ込む流れが一般的な気がする。
なお投入ボックスに札を入れる際、そのまま投げ込む、ふんわり二つ折り、しっかり四つ折りにしてから入れるなど、投入時のお作法が何種類かあるのもポイント。