1970年代にタイムスリップ!! それは中型バスが路線バスとして確立し始めた時だった

1970年代にタイムスリップ!! それは中型バスが路線バスとして確立し始めた時だった

 1970年代後半に各メーカーは中型バスに路線バスタイプを正式にラインナップする。ただし、1970年代のうちは中型バスが路線バスとして急速に普及するまでには至らなかった。

 まだ地方バスといえど大型を導入するケースが多く、本格的に中型路線バスが主力として導入されるようになったのは1980年代、おおむね「K-」以降のことであった。

(記事の内容は、2025年12月現在のものです)
執筆・写真/鈴木文彦(交通ジャーナリスト)
※2025年12月発売《バスマガジンvol.131》『写真から紐解く日本のバスの歴史』より

■ワンマン化を機に普及が始まる

【写真2】導入事例はそれほど多くなかったが8mクラスのRL300もラインナップ。宮城交通が好んで導入した(1982年)
【写真2】導入事例はそれほど多くなかったが8mクラスのRL300もラインナップ。宮城交通が好んで導入した(1982年)

 全長9m(短尺車で8m前後)、全幅2.3mのサイズでラインナップされた中型バスのうち、路線バス仕様が販売されるようになったのは1970年代後半であった。

 4メーカーすべてが中型路線バスタイプを用意したが、ボディは日野(日野車体)と日産ディーゼル(富士重工)が大型を縮小したイメージ、いすゞ(川重車体)と三菱(呉羽)が大型とは異なる中型オリジナルのデザインであった。

 【写真2】と【写真3】を見ていただこう。宮城交通が導入した日野と三菱の中型短尺車である。

【写真3】宮城交通は三菱の中型でも短尺モデルを一部採用。8mクラスのMK115F(1979年)
【写真3】宮城交通は三菱の中型でも短尺モデルを一部採用。8mクラスのMK115F(1979年)

 宮城交通は1978年以降、積極的に中型を導入した。短尺8mクラスのほか、9mクラスも数多く導入し、おそらく路線バスの主力を中型に転換していく先駆けとなった事業者である。

 当時同社は合併によって成立して10年弱で、合併前の会社から引き継いだ旧年式車の代替が必要だったという側面があった。

 もう一つの理由として当時まだワンマン化が60%程度にしか進んでおらず、労務面の理由ももちろんあったのだが、山間狭隘路線が多いという道路環境も大きく、ワンマン化を進めるためにバスのほうを小さくしてワンマン基準をクリアしたのである。

 宮城交通が当時導入した中型路線バスは日野、三菱、いすゞの9mクラスが主流ではあったが、より条件の厳しい路線向けには8mクラスとさらに小型(いすゞDBR370)も採用している。

■路線バスとしての中型需要の拡大

【写真1】日野の中型路線バスの主力となった9mクラスのRL320。今はない山口市交通局の前中(折)扉車(1982年)
【写真1】日野の中型路線バスの主力となった9mクラスのRL320。今はない山口市交通局の前中(折)扉車(1982年)

 この時期、日野は1975年に予燃焼室式EH300型エンジンを搭載したRL320(短尺RL300)を発売、全国的にはリヤオーバーハングに後扉を設置できる全長9m、ホイールベース4mのRL320の採用例が多かった(【写真1】)。

 在来のRL100を継承したホイールベース3.7mのRL300はどちらかというと前扉の自家用・観光タイプのほうが採用例が多かったようだ。1980年に54年排出ガス規制適合の直噴式エンジンのK-RL321(短尺K-RL301)にバトンタッチする。

 三菱は1976年に中型バスをモデルチェンジし、直噴6気筒D10型エンジンのMK115H(短尺MK115F)を発売、ここで初めて上下2段サッシ窓の路線バス仕様を設定した。やはり収容力があり後扉も設置できるMK115Hのほうが普及している(【写真4】)。

 1979年にいち早く54年規制に適合させ、K-MK116H(短尺K-MK116F)に移行、その後のほうが採用が伸びている。

 日産ディーゼルは中型バス自体が1975年のスタートと遅く、直噴式ED6型エンジンのRM90G(短尺RM90E)となった。

 1976年にRM90Gに路線タイプが追加されたが、RM90Gは全長8.7m、ホイールベース4.3mでほかの中型バスに比べてホイールベースが長かった。

 これは日産ディーゼルの大型路線バスが4サイクルエンジンのU系に移行するにあたり、9mクラスのいわゆる大型ショートがラインナップから外れたため、その後継車種としての考え方があったのかもしれない。

 1980年に54年規制適合のK-RM80G(短尺K-RM80E)に移行、短尺車に路線仕様が加わったのは正式にはこのときだが、観光タイプの前面傾斜ボディでサッシ窓のワンマン仕様にしたRM90Eも少数存在した(【写真5】)。

 中型バスは基本的には各メーカーの標準ボディで製造されたが、前回いすゞCCM系で北村ボディを紹介したように、標準以外のボディを架装するケースもあった。東武鉄道や加越能鉄道など数社で見られた富士重工製の日野RL320などがその例である(【写真7】)。

 【写真8】は一見川重車体のいすゞCCMに見えるが、1979年に西日本車体が中型ボディを開発するにあたり、川重車体と協定を結んで共通図面でいすゞCCM410を製造、西鉄で1990年代まで活躍した。

【画像ギャラリー】ワンマン化を機に徐々に普及が進んでいく……1970年代〜1980年代の中型路線バス(8枚)画像ギャラリー

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