春・夏・冬に毎回やってくるJRのフリー乗車券「青春18きっぷ」。この切符を使うにあたり、より自由度を高めるポテンシャルを秘めた乗り物があるらしい……路線バスだ。
文・写真:中山修一
■“苦行”しなくても使えますので
オンシーズンになれば必ず話題にのぼる青春18きっぷ。日本全国のJR全線の普通または快速列車を自由に乗り降りできるのが特徴だ。
1日あたり1人2,410円でどこまでも行けるため、長い距離を移動する際に、費用の節約につながるような論調で語られることが多い。
ただし、その安さを享受するには鋼のメンタルと足腰の強さが不可欠であるのを、一度でも実践経験のある誰もが体で覚えているハズだ。
500kmを超えるような猪突猛進型のプランに固執するのも良いが、青春18きっぷなら来た道を戻ってもルール的には問題ない。
たとえば、列車の本数がそう多くない路線で駅巡りをする場合、1つの路線を何度も行き来してジグザグに各駅に降り立つと効率が良くなる。
しかし、そのつど乗車券を購入したり運賃を支払うのは大変……そんな時に青春18きっぷのようなフリー乗車券が絶大な威力を発揮する。
安く乗るためだけでなく、便利に乗るための使い方も多々考えられるわけだ。
■実は相性抜群!? 18きっぷと盲腸線
青春18きっぷの利用を絡めた格好のテーマに、大動脈系の幹線から外れた、普通列車しか走っていないローカル寄りの路線が挙げられる。
とりわけ、どこかの駅で分岐して、最後に着いた先のレールがぷっつり途切れている「盲腸線」は全国でも数を減らしつつあり、18きっぷのシーズンには各所で賑わいを見せる。
そういった盲腸線には、利用者側からすると共通した悩みどころが大抵ある。列車の本数がかなり少ないのだ。1本逃したら数時間待ち、最悪でなくても“詰む”可能性がフツーに高い。
フリー乗車券を持っていれば、乗ってきた列車で戻っていくのが最もシンプルで簡単な方法だ。ただし、折り返しが出るまでの猶予の関係で、あまり長く滞在できないのがお約束になっている。
「周辺散策をしてみたい」や「出ていく電車を見送りたい」のような、行動に乗り鉄以外のオプションを付ける、あるいは「乗り遅れてしまった」となると、急に難しくなるのが盲腸線探訪なのだ。