■紆余曲折を経て、ついに来た“その日”
鉄道代替バスにして国内屈指の長距離を走る、ローカル路線バス界のスター的存在であった宗谷バス天北宗谷岬線も、2016年頃に一部の区間を廃止して、乗合タクシーに転換する案が持ち上がった。
しかしこの案は、別の交通手段に変えるほうが、むしろコスト高になってしまうとの結論に至り、当面はそのまま続ける形で収まっている。
鉄道代替バスだけに、天北宗谷岬線は補助金を投入して路線を維持していた。ところが2019年に補助金の投入がなくなり、その関係で3往復あった通し便が1往復に減便された。
1日1往復という厳しい状況にまで迫るも、最後まで昼間の便が残ったので、バス旅目的で使う限りは以前と変わらない要領で利用できた。
それから4年後の2023年10月1日、ギリギリの状態で運行を続けていた天北宗谷岬線にとうとう大鉈が振るわれた。浜頓別〜音威子府間の部分廃止だ。
全区間廃止ではないものの、これでまた一つ、時代の流れによって鉄道代替バスが節目を迎える瞬間を目の当たりにしたように思えてくる。
■実はそんなに変わってない!?
天北宗谷岬線が途中でプッツリ切れたため、浜頓別から先は完全な公共交通機関空白地帯と化したのかと思いきや、どうやらそうでもなさそうだ。
宗谷バスが通っていた廃止区間には、浜頓別町と中頓別町による、ワゴン車タイプの車両を使用したデマンドバスが走るようになった。
前日18時までの電話予約制で、音威子府〜浜頓別間の所要時間が約1時間21分、運賃は1,500円となっている。
音威子府→浜頓別行きが3便、浜頓別→音威子府行きが1便設定され、浜頓別で宗谷バス天北宗谷岬線との接続が取れるダイヤになっている。
稚内駅から向かった場合、部分廃止される前の最後に残った通し便のスケジュールに最も近い。音威子府駅では旭川/稚内両方面の特急列車にもつながる。
1台のバスで乗り通すのは過去帳入りしてしまったが、デマンドバスになった現在も、稚内〜音威子府を公共交通機関で通り抜けること自体は、前と変わらず無理なく実行できるとみた。
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