■猛烈にお買い得!?
その後バス共通カードは順調に広まっていき、神奈川・東京に留まらず埼玉県や千葉県でも使えるようになり、50以上のバス事業者が対応するまでに成長していった。
とはいえ、カードを買う時に結局現金で支払うのだから、バスに乗るときも「現金でよくね?」と考える向きは存在したはずだ。そこでメリットを強調すべく、バス共通カードには一度買ったら現金に戻れなくなる仕掛けがあった。
カードを購入して支払った金額に対して、利用可能な額面を上乗せするオマケが付いていたのだ。1,000円のカードでは1,100円分、3,000円のカードなら3,360円分が使えた。
バス共通カードの最高額だった5,000円カードに至っては、850円分ものボーナスが勝手に付いてきたため、バスによく乗る機会があるなら、選ばない手はなかったワケだ。
■新技術に道を譲ったバスカード
磁気のバスカードは長い間重宝されたが、2000年代に入るといよいよ新旧交代を迎える時が訪れた。非接触式のICカードが実用化して、先に鉄道会社が採用していたIC運賃払いシステムを、バスにも対応させることになったのだ。
2007年が交通系ICカードの本格的な幕開けだとすれば、磁気カードは役割を終える節目だった。しばらくは移行期間を兼ねて、磁気カードとICの両方が使えるようになっていた事業者が多かったようだ。
横浜市営バスの場合、運賃箱に内蔵されている磁気カードリーダーの保守点検のタイミングに、磁気カードの使用終了時期を合わせたとある。具体的な日付は2010年7月31日であったが、ほとんどの事業者でこの日が終了日になっていた。
その後、残額が残っているカードの払い戻しを2015年7月まで実施していた。2023年現在はそのサービスも終了して久しく、現存しているバス共通カードも、今や懐かしさだけを静かに語る、思い出に価値を全振りしたアイテムへと華麗な転身を遂げた。
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