威風堂々! 18年ぶりフルモデルチェンジのセンチュリーに試乗したテリーさんが「つくづく思ったこと」【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

威風堂々! 18年ぶりフルモデルチェンジのセンチュリーに試乗したテリーさんが「つくづく思ったこと」【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

 ベストカー本誌で30年も続いている超人気連載「テリー伊藤のお笑い自動車研究所」。過去の記事を不定期で掲載していきます。今回はトヨタ センチュリー(2018年-)試乗です!(本稿は「ベストカー」2018年11月10日号に掲載した記事の再録版となります)

撮影:西尾タクト

■「引きの美学」を感じるデザインが素晴らしい!

トヨタ センチュリー(電気式無段変速:1960万円)。ボディサイズは全長5335×全幅1930×全高1505mm、ホイールベース3090mm、車重2370kg
トヨタ センチュリー(電気式無段変速:1960万円)。ボディサイズは全長5335×全幅1930×全高1505mm、ホイールベース3090mm、車重2370kg

 新型センチュリーである。

 20年ぶりのフルモデルチェンジだそうで、ジムニーのモデルチェンジといい、平成最後の自動車業界は「20年ぶり」がキーワードになっているようだ。

 センチュリーはデザインが素晴らしい。独特の「引きの美学」を感じるのだ。

 ものを作る時に「足す」のは簡単だが「引く」のは難しい。しかし、センチュリーはデザインに足し算をしない勇気がある。

 昨年の東京モーターショーに行った時、私はセンチュリーのデザイナーと会うことができた。思いのほか若い人だったが、彼は本当にいい仕事をしたと思う。

 20年ぶりのモデルチェンジというだけでも相当なプレッシャーがあったと思うが、センチュリーはそれに加えて50年の歴史でこれが3世代目。

 そんな特殊なクルマのデザインを任されたら、普通は「どうすりゃいいのよ?」と戸惑うはずだが、そこを彼は「引きの美学」で乗り越えた。この一点だけでも優秀な人物であることがわかる。

「引きの美学」は「寸止めの美学」や「削ぎ落としの美学」と言い換えてもいい。

 私の印象では、ヘッドライトまわりをはじめとするフロントマスクを中心に、もっと「オラオラ感」を出したくなるところをこらえている。

 若いデザイナーでも「俺の感性を見せつけてやるぜ!」というタイプではこうはならなかったはずだ。

 このデザインには今までの歴史へのリスペクトがあるし、日本文化本来の美しさも感じさせる。

 日の丸を筆頭に、日本の文化は「削ぎ落とすこと」に特徴がある。センチュリーのデザインはそこをみごとに表現しているのだ。

 ただし、リアのライトはもっと小ぶりでもよかったと思う。トランクの切れ目の内側にまでライトを伸ばすのではなく、外側にだけ小さいライトを置いておけばよかったのではないか。これは私の個人的な意見だが。

 今後20年もちそうなデザインだというのも素晴らしい。落ち着きがあるだけでなく、耐久性も持ち合わせている。

 新型センチュリーのモデルチェンジは、デザインだけで成功と言えるのではないだろうか。

リアシートこそセンチュリーのメインステージ。電動オットマンもあって快適な乗り心地だったのは言うまでもない
リアシートこそセンチュリーのメインステージ。電動オットマンもあって快適な乗り心地だったのは言うまでもない

 インテリアも「引きの美学」が徹底している。

 そもそもドライバーは二の次というクルマだから、使いやすさが最優先されていて、ここでも「オラオラ感」はまったくない。

 必要なものを必要な場所に美しく配置する。それが徹底されていることに潔さを感じる。

 ただし、ここでもひとつ疑問があって、それは前席と後席の間に置かれている壁のようなモニターだ。

 昭和の時代、応接間にテレビを大切に置いていた家庭がよくあったが、それを思い出してしまった。

 いくらなんでもそこまで昔の伝統を持ってこなくてもいい。ここはもっとスマートにできなかったものかと思う。

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