■不思議なつくりの出雲大社
下車した正門前がこの付近でもっとも高い位置にあり、出雲大社にも一畑電鉄の大社前駅にも正門から緩やかな坂を下る形になる。往路はバスで復路を電車とした理由はここにある。サンライズ出雲到着後に発車するバスはやはり出雲大社に行く人が多く乗っていて、立席を含めて満員だった。
神社というのはたいていが高い位置にあり、参道は平坦か階段や坂を登る形が多いが、出雲大社は参道を下っていく珍しい形式だ。参道中央は神様が通る道なので通常はあけて端を通るが、出雲大社参道の中央には松並木があり参拝客は自動的に端を通る形となる。
■参拝は2礼4拍手1礼
出雲大社の参拝作法は通常の2礼2拍手1礼ではなく2礼4拍手1礼だ。他にも通常の神社とは異なる見どころが多く、先に「予習」しておくと参拝が有意義なものになるだろう。主祭神は大国主大神で、縁結びの神様と言われるが男女の縁だけではなく、あらゆる人の縁を取り持つとされている。
出雲大社とセットで参拝するとよいとされる神社は後述する。縁結びのお守りはデザイン別に3種類あり、好みの色を選ぶとよい。御朱印は神職が直筆で書いてくれるが、初穂料は決められていないので気持ちで納めることになっているのも昨今の大きな神社では珍しい。
■復路は一畑電鉄
さて、下ってきた参道は上らなければならないが、正門付近がサミットになっているので、そのまま下っていけば左手に一畑電鉄の出雲大社前駅がある。駅の入口は小さく沿道の商店と変わらない間口だ。自動改札がはないので、ICカード乗車券は券売機で乗車券を購入するときにタッチ決済で使用できる。
電鉄出雲市までの直通電車がないわけではないが、基本的には川跡駅で乗り換えることが多い。駅員がきっぷに入鋏する(ハサミを入れる)懐かしい方式で改札を抜けて電車に乗り込む。
繁忙期は出雲大社参拝客が出雲市駅まで戻る、または松江方面に抜けるケースが多く混雑するが、定員はバスよりもはるかに多いので首都圏のラッシュのような感じになるほどではない。
■ちょっと遠いけどセットで参拝したい荘厳な美保神社
出雲大社とセットで参拝すると良いとされているのが、島根県松江市の美保神社だ。主祭神は大国主大神の子とされる事代主神と妻とされる三穂津姫命。親であり夫である出雲大社と妻であり子(母親は異なる)である美保神社を両参りすれば、固く結ばれた両想いになるとされる。参拝の作法は2礼2拍手1礼でよい。
境港や松江から日の丸交通やコミュニティバス等の公共交通機関で行けないことはないが、約70㎞も離れているのでレンタカーで近くの皆生温泉(鳥取県米子市)にでも宿泊して、翌日に美保神社に参拝してもよいだろう。境港の街中には新鮮な魚介を出す食事処が多く点在するので昼食にはそちらもおススメだ。
少し足を伸ばすと美保関灯台がありリアス式海岸とともに美しい日本海を望むことができる。 せっかく美保関灯台まで足を伸ばすならばやはりレンタカーの方が都合がよい。
■帰りの駅弁は松江駅で!
帰りの列車もサンライズ出雲にした場合は、松江駅で駅弁を購入しておくことをお勧めする。始発の出雲市から乗車する場合でも、賞味期限の時間的な関係もあるが、駅弁の種類と量では松江駅の方が圧倒的に多い。コンビニ弁当で済ませるのであれば、出雲市駅構内のコンビニに豊富にそろっているので出雲市駅で買い物は完結する。
上りのサンライズ出雲は山陰線・伯備線を走り、まもなくお役御免となる国鉄381系の「特急やくも」と何度か交換して倉敷駅、岡山駅の順に停車する。先に到着しているサンライズ瀬戸と併合して一路、山陽本線を爆走する。
上り列車のみに乗車が許される三ノ宮や大阪に日をまたいで停車し、東海道本線をひた走り、定刻の0708に東京に到着した。サンライズ号に乗車する人は、撮り鉄でも乗り鉄でもなくても、ついつい撮影してしまうほど特別な列車だ。
岡山駅での分割・併合をゆっくりと眺めることができるのは下りは出雲、上りは瀬戸に乗車した乗客の特権だ。こうしたイベントもあり、乗客を楽しませてくれる列車は長く走ってもらいたいものだが、車齢25年を超える285系電車の寿命を考えると今のうちに乗車しておきたい。
本稿では主にパワースポットを紹介したが、神社はいわゆる「神頼み」をするところではなく、目標を立てて八百万の神々に誓いを立て、人知の及ばぬ最後の最後に背中を押してくれるように見守ってもらうことを誓う場所ということになっている。
もっともポピュラーな占い方法である「おみくじ」は卜術(ぼくじゅつ)という占術ではあるものの、自分が引いたのではなく神様が引かせたものと考えれば大吉でも大凶でも神託として解釈できるだろう。人事を尽くして天命を待つ姿勢が一般にいう神頼みとは異なる。
なお、フォトギャラリーでは今回取材した出雲市・松江市・米子市などの美味しいスポットも紹介しているので合わせてご覧いただきたい。
すべてをバスで行く旅ではないが要所で活躍し、旅行の足としてなくてはならない路線バスも大いに活用して、有意義なパワースポットめぐりと美味しい山陰の味めぐりを楽しんでいただきたい。
【画像ギャラリー】人気のパワースポットめぐり写真集 出雲市・米子市・松江市と魅力がいっぱい!(22枚)画像ギャラリー