普通乗用車でも見かけるようになったEV・電気自動車。クルマを全電動化させる動きは公共交通機関にも及び、いわゆる電気バスが一部地域で活躍を始めている。そんな電気バス、現状どこのメーカー製が多数派なのだろうか?
文:中山修一
写真:キャプション参照
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■商用EVバスならあのメーカー!?
電動モーターの力で走行するバス車両にも様々な方式が見られるが、ここでは車載バッテリーの電力のみをパワーソースに用いるバス車両に絞り、トロリーバス、ハイブリッド車、燃料電池車などは対象外にした。
通常のディーゼル車と比較すれば、なかなかどうして物珍しさを依然キープしているものの、たま〜に街中で目にする電気バスのうち、比較的まんべんなく全国に分布している“多数派”車種と言えば、2024年冬現在のところ恐らくBYD製だろう。
BYDは中国の広東省を拠点に、普通乗用車をはじめ、小型〜大型商用車を製造する自動車メーカーだ。数多くの電気自動車を手がけており、その規模は世界最大級と言われる。
日本では現地法人のBYDジャパンが、右ハンドル仕様ほか日本向けにアレンジしたEVの乗用車、電気バス、フォークリフトなどを発売している。
■4種類から選べる電気バス
本家には路線車や貸切車、2階建てダブルデッカー、連接タイプといった電気バスのラインナップが用意されている。一方で日本仕様の現行車は「J6」「J7」「K8」「K9」の4種類。
「J6」は全長7m・36人乗りの小型路線車、「J7」は全長9m・60人乗りの中型路線車、「K8」は全長10.5m・80人乗りの大型路線車。「K9」は路線バスのほか観光バスにも利用可能な全長12mの大型バス車両だ。
ほかにも、カタログラインナップには掲載されていない、ハイデッカータイプで全長12m・49人乗りの貸切車「C9」の導入実績もある。
ちなみに販売価格は大型路線車の2021年式「K8」で税抜3,850万円となっている。
■どれくらいの数が走っているのか
2023年現在のデータを参考にすると、BYD製のバスは全世界で累計7万台以上、日本国内向けでは2015年の初導入から累計150台ほど、となっている。国内での電気バスのシェアは約7割とのこと。
およそ150台の中で、導入実績が公表されているものは合計86台あった。車種別で見ると、今のところJ6が37台と最も多い。
さらにK9(31台)、K8(13台)、K7(3台)、C9(2台)と続く。J7は2024年1月に予約が始まったばかりなので現状ノーカウントだ。