名前は知っていたけれど……「木炭車」(代燃車)って一体どんなクルマだった?

名前は知っていたけれど……「木炭車」(代燃車)って一体どんなクルマだった?

 遥か遠い昔、「木炭車」と呼ばれる種類の自動車が、公道を日々行き来していたらしい。名前くらいは聞いたことのある木炭車がどんなクルマだったのか、ちょっとだけ掘り下げてみた。

文:中山修一
写真:キャプション参照
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■ヨーロッパ生まれのパワーソース

木炭車現役当時のガス発生装置の仕組みを表すイメージイラスト 「国産自動車商品案内(1940)」より
木炭車現役当時のガス発生装置の仕組みを表すイメージイラスト 「国産自動車商品案内(1940)」より

 木炭車とは、名称の通り木炭で走るクルマで、木炭自動車とも言う。このジャンルのクルマには「木炭ガス発生装置」が組み込まれている。同装置で木炭を燃やしてガスを発生させ、そのガスを燃料に変えてエンジンに送り込む仕組みだ。

 木炭車専用のエンジンではなく、通常のガソリンエンジンに少し手を加えるだけで使用できるのが特徴の一つ。木炭ガス発生装置自体は燃料タンクの一種であり、車軸を回転させるのは従来通りガソリンエンジンの力を使う。

 木炭ガス発生装置の起源はヨーロッパと言われる。1839年にドイツ人科学者のカール・グスタフ・ビショフが発明した装置が世界初とされる。この発明をきっかけに、英国などヨーロッパ各地で当時使われ始めていたガス灯の普及が進んだ。

 自動車を木炭ガスで動かすアイデアが形となったのは1901年の英国が初らしい。ガソリン車や電気自動車ほど普及することはなかったようだが、ヨーロッパでは木炭車の研究が進み、1920年代に一応の実用化を見せている。

■半ばゴリ押しな木炭車の広がり

 日本で木炭車と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、ボンネット型をした路線バスかもしれない。

1930年代の平均的な日本の路線バス車両 「市バス十周年(京都市電気局)」より
1930年代の平均的な日本の路線バス車両 「市バス十周年(京都市電気局)」より

 映画の刷り込み効果か、坂道にさしかかると止まってしまい、乗客総出でバスを押している光景をつい想像してしまう。そんな路線バスを含め、日本で木炭車が広がりを見せたのは1930年代だ。

 当時はガソリンの節約が叫ばれており、代用可能な燃料が模索されていた。家庭用燃料にも普通に使われていた木炭でクルマが走るとあれば、相当な節約効果が見込めるだろうとの算段から、木炭車が代用燃料車のフラッグシップ的な扱いとなった。

 ちなみに木炭車のほかアルコール燃料をはじめ、ガソリンに比べて燃費が良いとされたディーゼルエンジン、電気自動車なども同時期に注目された。

 昭和9(1934)年には、木炭車を購入(基本的には既存のガソリン車を改造)する際、300円を限度として費用の半額を負担する助成金制度が開始された。当時の300円は感覚的に75万円くらいだろうか。

 しかし当時の文献を見ると、制度開始直後はまだ普通にガソリンが買えたため、年10台くらいしか申請がなく、いかに木炭車が不人気な存在だったかが伺える。

 急激に木炭車が伸び始めたのは1938年以降。この年から民間へのガソリン流通が規制されるようになったためだ。「助成金が出るなら…」と、ガソリン車から木炭車へのコンバートを、半ば国にゴリ押しされたのが実情かもしれない。

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