香川県最長の路線バス……何キロ走ってどこへ行く? ほかの場所とスケール感が違いすぎた!!

香川県最長の路線バス……何キロ走ってどこへ行く? ほかの場所とスケール感が違いすぎた!!

 日本一長い距離を走る路線バスは奈良交通の八木新宮線、都営バスの最長路線は梅70系統、では香川県の最長一般路線バスは、となると……さてどれだ?

文・写真:中山修一
(香川県最長路線バスの写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

■そこそこ長いのあります

香川県のバス事業者の一つ・琴参バス
香川県のバス事業者の一つ・琴参バス

 香川県内にネットワークを広げる一般路線バスのうち、距離の長そうなものを軽くチェックしてみると、さぬき市コミュニティバス 志度・造田・多和線(38km)、小豆島オリーブバス 北廻り福田線(37km)、三豊市コミュニティバス 財田観音寺線(35km)などが出てきた。

 ほか、琴参バス 瀬戸大橋線(34km)、小豆島オリーブバス 田ノ浦映画村線(29km)、ことでんバス 塩江線(26km)といった路線が、香川県の長距離系路線バスに数えられる。

 このうち琴参バス 瀬戸大橋線は、高速道路を走行する大変ユニークな一般路線バスだ。走行距離34kmではあるが途中で県境を跨ぐため、香川県内の距離に絞ると28kmくらいになる。

 さて、30km台が最長クラスかと思いきや、もう少し長い路線があるようだ。全区間の走行距離41.9km、香川県内の一般路線バス路線で、恐らく最長クラスの頂点に位置していると思われるのが、大川バス「引田線」だ。

■どこから出て、どこへ行くバス?

 大川バス引田線は、どこからどこまでを結んでいる路線なのか……路線名にある「引田」には行きそうな雰囲気で、本当にそうかと言えばその通り、片側の終点・始発は引田で間違いない。なお読みは「ひけた」。

 引田は香川県の東寄り、徳島県との県境から4kmほど離れた場所にある海沿いの町だ。鉄道のJR高徳線が通っており、当地の引田駅には特急列車も停まる。

引田駅を出発した高徳線の普通列車
引田駅を出発した高徳線の普通列車

 ではバスが結んでいる反対側の終点・始発はどこか。なんとこれがJR高松駅の隣にある、高松駅のバスターミナルだ。高松〜引田間の直通運転が、40km以上走る距離の秘密といったところか。

■今や珍しい!? 電車との競合

 高松〜引田間はJR高徳線が結んでいる区間でもある。昔の日本各地には電車(高徳線は非電化ですが……)と同じ区間を並行して走る路線バスが結構あり、まさに競合関係を築いていた。

最長路線と深い関わりを持つ高松駅バスターミナル
最長路線と深い関わりを持つ高松駅バスターミナル

 しかし最近の公共交通網は棲み分けが進み、電車が直通している場所同士をバスでダイレクトに繋ぐのはそれほど一般的ではなくなり、競合系は数が減り続けている印象。

 そんな昨今のイメージがあるせいか、引田線の存在を初めて知った時、高松市街や「ことでん」がカバーしているエリアよりも先の徳島方面へ向かうには、JR高徳線しか交通手段がないと思っていた手前、「そこ路線バスで行けるの!?」と大変驚いた。

■乗るだけ乗りバスしてみると……

 先日ちょっと引田線の様子を見に高松へ行ってみた。引田線は高松駅バスターミナルの8番乗り場から出ている。高松駅周辺のバス事情といえば、スカイブルーの車体にイルカでおなじみの「ことでんバス」が多数を占めている。

 一方で、今回お目当ての大川バス引田線に使われる車両は、緑地にコウノトリと花柄のボディが目立つ中型路線車。乗り場で待っていれば、どれが引田線のバスかは大体すぐ分かる。

この日の大川バス引田線は日野レインボーで運転
この日の大川バス引田線は日野レインボーで運転

 毎時1本程度バスが出ているため、それほど利用は難しくない。当日は10時台に出発するバスをつかまえた。始め3人ほど乗せて、高松の市街地を順次回り、途中で何人かピックアップした。

 乗車中に気づいたのが、よく踏切を渡るバスだという点で、ちょくちょく「ことでん」の電車が車窓を通り過ぎていくのに気付く。この引田線、JR高徳線だけでなく、ことでん長尾線の線路とほぼ並んで走る路線でもあった。

 バスは、江戸時代に高松城を起点にした讃岐五街道の一つだった「長尾街道」と、国道11号線をメインルートに、あまり複雑な経路を取らず素直に進んでいく印象。このうち全体の2/5くらいが長尾線、1/5くらいが高徳線との並行区間になっている。

踏切待ちをする路線バスの図。ことでんが目の前を横切っていく
踏切待ちをする路線バスの図。ことでんが目の前を横切っていく

 終始内陸部を走行する形で、これはすごい!!と感嘆するほどの絶景はないかもしれないが、高松市街を出ると心なしかローカル路線バス色が濃くなり、肩肘張らないバス旅が味わえる。タイミングが合うと、長尾線の電車と追いつき追い越せな状況になり、それを眺めるのも楽しい。

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