旅先など土地勘のない場所で、利用する優先度が特に低い公共交通機関といえば、残念なことに路線バスかも知れない。鉄道以上に行き先が細かく設定されていて、果たして自分の目的地近くまで行ってくれるのか把握しづらい点もあるが、そもそも乗り方がよく分からないのも、バスをパスする理由のひとつになってしまっている。
バスの乗り降り・運賃の支払い方は地域やバス会社によってバラバラゆえ、利用し辛い印象を抱くのは確かで、使いたくない、というよりは、使いたくても怖くて使えないのが実情だろう。
文・写真:中山修一
【画像ギャラリー】難しすぎない? パターンを覚えれば楽勝だ! 全国路線バスの乗り方(4枚)画像ギャラリー6通りで大体こなせる!? 日本の路線バス
乗る難易度が高いイメージから、もはやエクストリームスポーツの領域なのでは? と錯覚させる路線バスであるが、全国のバス会社が採用しているバスの乗り降り・運賃の支払い方法をよく見てみると、ある程度の法則性があり幾つかの種類に分けられる。
(1)後ろ乗り・前降り
日本の路線バスの中でも、バスの後ろ側のドアから乗って前のドアから降りるスタイルが、比較的メジャーなスタイルだろう。行き先によって運賃が変わる(変動制)路線の大半はこれだと思って良い。運賃が変わる路線バスを利用する一連の流れとしては…
●後ろのドアから乗車→
→車内の整理券発行機から整理券を1枚取る
(交通系ICカードが使える場合はICカードパネルに1回タッチ)
→車内で過ごす
→降りる停留所が近づいたら降車ボタンを押す
→自分の整理券に記された番号と、車内前方の運賃表示器にある同じ番号の枠内に表示された金額を用意
→運転席横の運賃箱に整理券と運賃を投入
(ICカードなら運賃箱のICカードパネルに1回タッチ)
→前のドアから降車
…となっている。
最近はPayPayなどQRコード払いに対応しているバス会社もあり、その場合は整理券を取り、アプリを開いて車内に掲示されているQRコードをスキャン。支払う直前の段階まで操作しておき、降りる際に乗務員に画面を見せて、金額を確認してもらった上で支払いボタンを押すと完了だ。降車ボタンもお忘れなく。
(2)前乗り・前降り
(1)と同様、運賃が変わる路線で見られる利用方法のひとつ。路線バスの中にはドアが前にしか付いていない、又は後ろのドアを閉め切っている車両が使われることがあり、車両の構造や運用の都合で前乗り・前降りとなるわけだ。ドアが2箇所から1箇所に減っただけで、乗り方自体は(1)とほぼ同じだ。
(3)前乗り・後ろ降り
どこまで乗っても同じ運賃(均一制)の路線でよく見られる。利用方法は下記の通り。
●前のドアから乗車→
→運賃箱に運賃を入れる(ICカードならタッチ)
→車内で過ごす
→降りる停留所が近づいたら降車ボタン
→後ろのドアから降車
前乗り・後ろ降りスタイルは、最もシンプルで分かりやすい乗り方だ。
(4)前乗り・後ろ降り(申告制)
行き先によって運賃が変わる路線で採用されている、もう一つの乗り方。
●前のドアから乗車→
→乗務員に行き先を告げる(聞けば金額も教えてくれる)
→運賃を入れる(ICカードならタッチ)
→車内で過ごす
→降りる停留所が近づいたら降車ボタン
→後ろのドアから降車
この方法は、自分が降りたいバス停の名前を正しく伝える必要があることから、地元民の利用に特化したシステムとなっている。他に比べると初めての人にはちょっとテクニカルかも。
(5)前乗り・前降り(申告制)
(4)と同じく、乗車の際に行き先を告げて運賃を支払うスタイルで、ドアが前にしかない車、又は後ろのドアを閉め切っている場合がこれに該当する。
(6)後ろ乗り・後ろ降り
利用者の少ないローカル線やコミュニティバスで見られる。こういったバス路線には大抵、ドアが前輪より後ろの1箇所にしか付いていない小型車両が使われるため、自然に後ろ乗り・後ろ降りとなるわけだ。運賃は変動制と均一制の2通りがあり、前者が(1)、後者は(3)又は(4)とほぼ同じ要領だ。
大まかに分けると上記の6通りが、全国各地に共通して言える基本的なバスの乗り降り・運賃の支払い方法だ。旅などで訪れた知らない土地の路線バスでも、これら6つのうちどれかが当たる(地方は1が圧倒的多数な印象ではあるが…)と思っておけば、そう身構える心配がなくなり、より気軽にバスを利用できるようになることで、現地での行動範囲も一気に広がるハズだ!
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